2011年12月1日木曜日

五輪招致議員連盟発足だとか。正気の沙汰か。

鳩山由紀夫元首相を会長に,五輪招致議員連盟が発足した,というニュースが流れた。来週には,五輪招致推進を求める国会決議をめざす,という。正気の沙汰か,とわが眼を疑う。

2020年夏季五輪招致に東京都が立候補したこと自体が時代錯誤であるのに,それに便乗して議員連盟までもが・・・・と開いた口がふさがらない。最高顧問に森喜朗元首相,会長代行には五輪メダリストの橋本聖子,谷亮子の両議員。

2年前の招致に失敗した鳩山元首相は「東日本大震災から日本が復興した姿を世界に強く示すことが重要」とあいさつしたという。どうやら8年後には東日本大震災から日本は復興すると信じているらしい。ならば,すぐにも,福島原発の周囲の土地を買い取って,そこに立派な五輪用の競技施設と宿泊施設を建造することも「決議」していただきたい。

2016年の五輪招致がいかなる理由で失敗したかという分析も十分にしないまま,またまた,2020年五輪招致をめざすというイシハラ君を支持する国会の議員連盟のレベルの低さに愕然としてしまう。「3・11」以後の政府与党はもとより,野党の議員の対応をみているだけでも,すでに,この国の政治がほとんど機能マヒに陥っていることは明々白々となってきていたが,そこに輪をかけるようにして2020年の五輪招致を国会決議する,というのだからあきれてしまう。

いま,そんなことをしている場合か。

いまもなお,寒さに震えながら,このさきの展望もえられないまま,絶望の日々を送っている人びとのことを思い描く想像力すら欠落してしまっている議員連盟のセンセイ方。それどころか,そういう生活不安に怯えている人びとの情報をシャットアウトして,蓋をしてしまうような情報を,あえてこの時期に意図的・計画的に生産して,流しているとしか思えないセンセイ方。すなわち,脱「脱原発」情報の発信である。ここには,かつての「原発安全神話」をでっちあげたときとまったく同じ構造が機能しているように思われる。そこが恐ろしいところ。またまた,みんな騙されてしまう。

オリンピックもまた「原発安全神話」と同じで,地球をひとつにする立派な「平和運動」だとする「オリンピック神話」が浸透しきっていて,それを疑う人もほとんどいない。しかし,オリンピックの「平和運動」はヨーロッパのルールにもとづく「平和」を世界に広めること,すなわち,近代スポーツ競技による「世界制覇」という野望がその裏に隠されている。そして,それはみごとに成功しつつあるかにみえる。しかし,オリンピック開催国は,テロリストの攻撃に備えて,信じがたいほどの過剰な警備をしなければ「安全」には開催できないという現実があることも事実だ。オリンピックが,支配権力のための「平和運動」でしかない,ということはこの事実が証明している。

東京都で五輪開催となれば,1964年のときとはまったく違った,徹底した「安全」対策をしかなくてはなるまい。つまり,ギリシアで開催したときのような,巨大な軍隊(NATO軍)に匹敵する警備が求められることになろう。それは,すでに,自衛隊ではまかないきれないほどのものとなろう。となれば,どこが守ってくれるかは,もはや論ずるまでもあるまい。

この問題は恐ろしいことに,沖縄の基地移転問題ともリンクしていく。アメリカの思うツボだ。ならば,本土の各都道府県は,本気で基地の一部を分担する覚悟が必要だ。でなければ,米軍基地を国外に移転する運動を展開すべきだ。そういう努力はいっさいしないまま,ズルズルと沖縄に基地を押しつけて,あとは知らぬ勘兵衛。

こんなこともトータルに考えた上で,国会は,五輪招致に猛進する東京都の動きに対して,冷静に歯止めをかけていくべきではないのか。そんなそぶりはどこにも認められない。すべては「五輪招致はよいことだ」という前提に立っている。ひょっとしたら,過剰な警備が必要だという理由で,自衛隊をさらに補強していくことを企んでいるかもしれない。

フクシマの行方がまったくわからない現状を無視するかのように「東日本大震災から日本が復興した姿を世界に示すことが重要」と,平気で演説をぶつことのできる宇宙人には付き合っていられない。しかも,こういう考え方が多数を占める国会をいつまでも容認するわけにはいかない。新しい先見性のある政党を立ち上げて,旧態依然たる政治姿勢からの脱出を諮るしか,もはや,手はない。

大阪府民は,いい,悪いはともかくてとして,勇気ある選択をしたものだとある意味で感動している。こういう流れが,もっと違う形で起きてくることを待ち望んでいる。

五輪招致問題もまた,そういう根本的な議論を産み出すことが先決だ。これを機会に,国のあり方とリンクさせながら,思考を深めていきたいと思う。

それにしても,まずは,この「五輪招致」国会決議を求める動きが,脱「脱原発」とつながっていて,欧米ルールによる「世界制覇」の片棒を担ぐことに等しい,ということを指摘しておきたい。そして,
沖縄の基地移転問題ともからみ,自衛隊の増強への道を開くことでもあることを,わたしたちは忘れてはならない。

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