「スポーツ学」には三つの固有の研究領域があることは,すでに述べたとおりです。すなわち,「スポーツ実践学」「スポーツ科学」「スポーツ文化学」の三つです。これらのうち,研究方法がまだ十分には定まってはいない領域があります。それは「スポーツ実践学」です。
それ以外の「スポーツ科学」はすでに長い歴史をもっており,学として広く認知されています。しかし,「スポーツ文化学」ということばはまだ新しく,馴染みの薄い学といってよいでしょう。しかし,「スポーツ文化学」そのものは,スポーツ哲学,スポーツ史,スポーツ社会学・・・・といった,いわゆるスポーツに関する人文・社会系の諸学の総称ですので,この中に含まれるそれぞれの学の研究方法はある程度まで定着しています。
「スポーツ科学」も「スポーツ文化学」も,その中に包摂される個別の学は,じつは,先行する親科学(親学)があって,その応用学という体裁をとっています。たとえば,スポーツ生理学の親科学は「生理学」です。あるいは,スポーツ哲学は「哲学」から枝分かれして新たに成立した学です。ですから,それぞれの研究方法はその親科学(親学)からの応用ということになります。そして,この場合には,その研究対象が「スポーツ」に限定される,というにすぎません。
問題は「スポーツ実践学」です。その2.で,この学の研究方法の概略は触れておきました。しかし,細部についてはどのようになるのかは,まだ,未解決のままです。といいますのは,この「スポーツ実践学」のなかに含まれる諸学の研究方法はまだこれから明らかにされる分野であるからです。つまり,後発,あるいは未発の学である,ということです。
しかしながら,後発の学として,近年では徐々にその体裁が整いつつあります。たとえば,日本テニス学会とか,日本ゴルフ学会・・・といった学会がつぎつぎに組織され,つぎつぎに学問的な研究の途についているからです。その意味では明るい未来が開かれているといっていいでしょう。ですから,この「スポーツ実践学」に属する諸学は,大いに議論を闘わせて,その体裁を整えていけばいい,ということになります。
とりわけ魅力的なのは,「野外スポーツ学」の領域ではないかと思われます。といいますのは,野外スポーツそのものが大自然をフィールドにした分野です。ですから,そこでは当然のことながら,「環境」と真っ正面から向き合うことになります。
そこには二つの大きなテーマがあるように思います。一つは,文明化とともに「環境」が破壊されていく傾向に対して,野外スポーツがどのように対峙していくか,というテーマです。もう一つは,文明化とともに子どもたちの生育環境が自然から遠ざけられていくという現状認識に対して,野外スポーツがどのように貢献していくことができるか,というテーマです。
後者については,これまでにも多くの実績を残してきています。が,文明化の進度の速さにくらべると野外スポーツの対応はやや遅れをとっているように思われます。もっと積極的に,子どもの遊びの段階から,自然のなかに溶け込んでいけるような環境づくり,すなわち,指導者や組織や制度の整備が求められているように思います。その意味で,野外スポーツは,21世紀のスポーツ文化を構想する上で,きわめて重要であり,大いに期待される分野でもあります。
前者については,野外スポーツが単独でなにかを変えられるという問題ではありません。しかし,野外スポーツをとおして,環境保全の大切さを考え,環境保全のための運動を展開していくことは可能です。それどころか,野外スポーツのさまざまな活動が,いわゆる環境教育の先端に立つことも可能だと思いますし,大いに期待されるところでもあります。
「スポーツ学」が,このような環境の分野にも深く切り結んでおり,そこでの貢献にも大いなる可能性を秘めているということは,まさに,21世紀型の新しい「学」としての条件をもっているという証しでもあります。ですから,大いに自信をもって議論を闘わし,野外スポーツの新たなる可能性に向けてチャレンジしていくべきだ,とわたしは考えています。
ということで,この稿は終わりです。
それ以外の「スポーツ科学」はすでに長い歴史をもっており,学として広く認知されています。しかし,「スポーツ文化学」ということばはまだ新しく,馴染みの薄い学といってよいでしょう。しかし,「スポーツ文化学」そのものは,スポーツ哲学,スポーツ史,スポーツ社会学・・・・といった,いわゆるスポーツに関する人文・社会系の諸学の総称ですので,この中に含まれるそれぞれの学の研究方法はある程度まで定着しています。
「スポーツ科学」も「スポーツ文化学」も,その中に包摂される個別の学は,じつは,先行する親科学(親学)があって,その応用学という体裁をとっています。たとえば,スポーツ生理学の親科学は「生理学」です。あるいは,スポーツ哲学は「哲学」から枝分かれして新たに成立した学です。ですから,それぞれの研究方法はその親科学(親学)からの応用ということになります。そして,この場合には,その研究対象が「スポーツ」に限定される,というにすぎません。
問題は「スポーツ実践学」です。その2.で,この学の研究方法の概略は触れておきました。しかし,細部についてはどのようになるのかは,まだ,未解決のままです。といいますのは,この「スポーツ実践学」のなかに含まれる諸学の研究方法はまだこれから明らかにされる分野であるからです。つまり,後発,あるいは未発の学である,ということです。
しかしながら,後発の学として,近年では徐々にその体裁が整いつつあります。たとえば,日本テニス学会とか,日本ゴルフ学会・・・といった学会がつぎつぎに組織され,つぎつぎに学問的な研究の途についているからです。その意味では明るい未来が開かれているといっていいでしょう。ですから,この「スポーツ実践学」に属する諸学は,大いに議論を闘わせて,その体裁を整えていけばいい,ということになります。
とりわけ魅力的なのは,「野外スポーツ学」の領域ではないかと思われます。といいますのは,野外スポーツそのものが大自然をフィールドにした分野です。ですから,そこでは当然のことながら,「環境」と真っ正面から向き合うことになります。
そこには二つの大きなテーマがあるように思います。一つは,文明化とともに「環境」が破壊されていく傾向に対して,野外スポーツがどのように対峙していくか,というテーマです。もう一つは,文明化とともに子どもたちの生育環境が自然から遠ざけられていくという現状認識に対して,野外スポーツがどのように貢献していくことができるか,というテーマです。
後者については,これまでにも多くの実績を残してきています。が,文明化の進度の速さにくらべると野外スポーツの対応はやや遅れをとっているように思われます。もっと積極的に,子どもの遊びの段階から,自然のなかに溶け込んでいけるような環境づくり,すなわち,指導者や組織や制度の整備が求められているように思います。その意味で,野外スポーツは,21世紀のスポーツ文化を構想する上で,きわめて重要であり,大いに期待される分野でもあります。
前者については,野外スポーツが単独でなにかを変えられるという問題ではありません。しかし,野外スポーツをとおして,環境保全の大切さを考え,環境保全のための運動を展開していくことは可能です。それどころか,野外スポーツのさまざまな活動が,いわゆる環境教育の先端に立つことも可能だと思いますし,大いに期待されるところでもあります。
「スポーツ学」が,このような環境の分野にも深く切り結んでおり,そこでの貢献にも大いなる可能性を秘めているということは,まさに,21世紀型の新しい「学」としての条件をもっているという証しでもあります。ですから,大いに自信をもって議論を闘わし,野外スポーツの新たなる可能性に向けてチャレンジしていくべきだ,とわたしは考えています。
ということで,この稿は終わりです。
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