2012年10月21日日曜日

ついに補聴器を購入しました。「幕引き」も近いか。

  加齢とともに老化現象が現れるのは仕方のないこと,自然のなりゆきにまかせるしかありません。幸いなことに,からだの根幹に関してはとても頑健にできているらしく,ここ数年は風邪を引くこともなく,快適に暮らしています。が,耳だけは,もう10年ほど前から健康診断のたびに「軽い難聴」と言われていましたので,それなりに覚悟はしていました。

 が,ここ数年は,研究会や大勢の人のなかでの会話では,相手の話が聞き取りにくくなり,困っていました。まあ,なんとかわかったようなふりをして誤魔化してきたというわけです。しかし,テレビの音声も相当に大きくしないと,肝心要のところを聞き逃してしまいます。ニュースなども,アナウンサーの声質によっては,とても聞き取りにくいので困っていました。

 つい,この間の「アフター国際セミナー」のときも苦労しました。お話をしてくださる西谷さんの声が,精確に聞き取れないのです。すぐ,近くに坐っていながら。ですから,インタヴューアーとしての役割をきちんと果たすことができません。おそらく,トンチンカンな会話になっていたのではないか,といささか心配になっています。わたしの足りないところはうまく西谷さんがカバーしてくださって,なんとか体裁を整えてくださった,と信じていますが・・・・。

 そのあとの懇親会でも,西谷さんの声も,ほかのみなさんの声も,とても小さくしか聞こえません。ですから,断片的にしか会話についていかれません。あとは想像力を逞しくして,補うしかありませんでした。たぶん,このわたしの不調に西谷さんは気づかれたのでしょう。「稲垣さんもそろそろ歳だから,幕引きのことを考えておかないと・・・・」と切り出されてしまいました。でも,心優しい西谷さんは,「じつは,ぼくも幕引きのことを考えはじめているんですよ」と気遣ってくれましたが。

 じつは,わたしはかなり以前から「幕引き」のことを考えてきました。そして,研究会の世話人の人たちに,そのタイミングについては間違いのないように見極めてください,自分では判断できなくなるのが老化ですから,とお願いがしてありました。ですから,西谷さんから突然,「幕引き」のことばを聞いたときには,正直に言って「ハッ」としました。そして,思わず西谷さんの顔をじっとみてしまいました。難聴の度が進んで,いよいよみなさんにご迷惑をおかけするようになっていたのだな,と。ひょっとしたら,相当の実害もあったのではないか,と。

 ほんとうのところを申しますと,もう2,3年前から補聴器を買おう,と考えつづけていました。新聞の下に,補聴器の広告(かなり大きい)がでると,そのつど切り抜いていました。ですから,何種類もの補聴器が売られていることも知っていました。その性能も比べながら,どれが自分には合っているのだろうか,と密かに検討もしていました。両耳仕様がいいか,片耳仕様がいいか,ということも考えていました。そして,集音マイクの位置もどこについているものがいいのだろうか,ということも考えていました。そうして,買うなら,これがいいだろうというのも,じつは決めていました。

 ですから,今回の「アフター国際セミナー」と懇親会,そして西谷さんの「幕引き」発言は,ちょうどいいタイミングでわたしに引導をわたしてくれた,というわけです。しかも,2,3日前に,購入しようと思っていた補聴器の新聞広告がわたしの眼に飛び込んできました。迷わず注文をし,今朝(20日),配達されてきました。早速,調整をして試し聞き。ラジオでも,テレビでも試してみました。驚くほどはっきりと音声が聞こえてきて,世界が変わったように思いました。これなら,ラジオの音量を相当に小さくしても,こちらの補聴器の方のボリュームをあげれば,大丈夫です。その場,その場の状態に応じて自在に調整ができる,ということがわかりました。

 この補聴器のおかげで,いましばらくは「幕引き」のタイミングを遅らせることができそうです。でも,明らかに,五感のひとつに顕著な衰えがでてきたことは間違いありません。つぎは,どこなのだろうか。眼なのだろうか,それとも味覚なのだろうか。あるいは,しゃべるための歯なのだろうか。その前に脳ミソの方が危ない。すでに,相当におぼつかなくなってきていることは,はっきりと自覚できるほどですから・・・。とくに,自慢できるほどのものではありませんが・・・・(笑い)。

 でも,ありがたいことに足腰だけは太極拳のおかげもあって,まだ,しばらくは大丈夫のようです。まあ,歩けなくなったら,だれがみても,そこが完全に「幕引き」のときであることは間違いありません。が,一番困るのは脳の衰えでしょう。脳が衰えてきているなぁ,とわかるうちはまだ大丈夫でしょう。ほんとうに脳が衰えてしまったら,そのことすらも自分では判断できなくなってしまうのですから。この判断は,やはり第三者にお願いするしかありません。でなければ,自分で判断できるうちに「幕引き」をしなくてはなりません。

 そのようにしてもろもろのことを考えると「幕引き」のタイミングもそう遠くはないなぁ,と補聴器をいじりながら考えている今日このごろです。

1 件のコメント:

大仏 さんのコメント...

われわれ(はやまんちゅう)の間では、死ぬまで元気で、が合い言葉です。幕引きはその時で。
その時までは現役でいてください。