2014年1月17日金曜日

ソチの冬季五輪は大丈夫か?その1.

 ロシアはなぜ,以前から治安の悪いソチに冬季五輪を招致したのか。その理由は,このあたりに潜むイスラム過激派を徹底的に弾圧し,排除するための「口実」に冬季五輪を利用するためだったのだ,という説がある。だとしたら,五輪とはなにか。国際平和運動を旗印にかかげる五輪精神に悖る,ゆゆしき事態の出現だと言わざるをえない。

 では,なぜ,そんな事態が起きてしまうのか。
 結論を言っておこう。
 IOCは,もはや,五輪を管理・運営していく能力を持ち合わせてはいない,ということだ。

 ソチ五輪と同じようなことが,東京五輪にも言えそうだ。

 ソチ周辺の都市はイスラム過激派の巣窟になっていて,ロシア政府も以前から手を焼いていたということは,かなり広く知られていたことだ。それと同じように,東京には,すぐ北にフクイチという危険な状態に陥った原発がある,ということは国際社会もよく知っているとおりである。ソチについては,ロシア政府は,気候温暖なロシア国民の憩いの場所である,と言って売り込み,イスラム過激派については完全に「under control 」と説明していたのだ。

  日本の首相もまた,フクイチについては「under control 」と大上段に振りかぶった。しかし,これは言ってみれば詐欺のようなものである。ロシア政府が,かつて,ソチは安全である,と宣言したのも同じような詐欺である。だれに対して? 国際社会に対すると同時に,自国の国民に対して。その両方を詐欺にかけたようなものである。

 何回も言うが,いまもフクイチでは放射能を封じ込める決め手もなく,野放し状態のまま飛び散るにまかせっきり,その一方では,汚染水が海洋に垂れ流しのまま,こちらも決め手が見つかってはいない。のみならず,肝心要のメルトダウンの状態すら詳細は把握できてはいない。こんなことを百も承知の上で,わが国の総理大臣はIOC総会の最終プレゼンテーションで,のうのうと「under control 」と言ってのけたのである。

 あの,東京五輪招致決定の瞬間の,あの似非「感動シーン」は,あれから何回も何回もテレビで繰り返し流されたのである。その結果,日本国民の圧倒的多数の人びとの意識から,フクイチのことは消えてしまった。そして,わたしなどがフクイチの実情について話をすると,必ず,首相が「under control 」と言ったじゃあないか,と反論してくる。お前の言うことより首相の言うことの方が正しいのだ,と。思考停止してしまった人間には勝てない。

 東京五輪招致決定は,政府自民党にとっては思惑どおりの大成功だったのだ。これでフクイチを当分の間,世間の関心事から封じ込めることができる,と。少なくとも,2020年までは東京五輪の旗を降りつづけていれば,国民の眼はそらしておくことができる,と。

 しかし,そうはさせてはおかないとばかりに,都知事選という舞台を利用した小泉劇場の幕が切って落とされた。それでも,おそらく,議論は「脱原発」をめぐる表層的な,短期決戦で終わってしまうのだろう。本質的な重要な議論はそっちのけにして。でも,議論がまったくなされないよりはずっといい。なぜなら,東京五輪開催に向けて国民の感情を浮き立たせておけば,原発推進の道がおのずから開けてくる,と踏んでいた政府自民党のシナリオが崩れることになるからだ。少なくとも,この都知事選をとおして,多くの国民は「脱原発」がなにを意味しているかということに目覚めるはずだから。そして,東京五輪がなにを意味しているかも明らかになってくるからだ。

 つまり,東京五輪開催はフクイチ隠しのための,そして原発推進のための絶好の「口実」になる,と政府自民党はほくそ笑んでいる,という事実が。それだけではない。ここでは深追いはしないが,経済効果(だれのための経済効果であるかが問題なのだが)があり,TTP問題があり,安全確保のための国防軍編成への道があり,国民の体位向上があり・・・・,という具合に,なにからなにまで「東京五輪開催」はまことに都合のいい「切り札」なのだ。ここが大問題なのだが,これらの問題については,いつか,何回にも分けて考察をしてみたいと思う。

 さて,話を最初のところに戻すと,IOCにはこうした高度な政治・経済・外交・秩序不安定,などのあらゆる条件を,すべて総括して判断する能力はない。そのなによりの証拠の一つが,ソチの冬季五輪開催である。そして,今回の東京五輪開催の決定である。

 では,なにが,IOCの各委員たちの判断の基準になったのか。それは,いわずとしれたことだ。水面下でどれだけの〇が取り引きされたことか。噂だけでもたいへんなものである。東京都にはそれだけの備蓄があった,という(その一部については,このブログでも明らかにしてきたことだ)。しかも,これらの〇は公開する必要がないのだそうな・・・・。

 ああ,またしても脱線していく。このブログの落ちは,もう一度,仕切り直しをして,書き直そうと思う。でないと,どうにもまとまりがつかなくなってしまった。ということで,お許しのほどを。このつづきは,すぐにも書く予定。ではまた。

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