日本人横綱誕生の夢を一身に背負っての今場所の稀勢の里。それにしても,あまりにもふがいない負け方。相手の豊ノ島を褒める以上に,稀勢の里の一人負け。しかも,いいところが一つもない相撲。なにからなにまで全部駄目。稀勢の里の欠点がまるみえになってしまった。
これから稀勢の里に対戦する力士は,みんな今日のこの相撲を分析して,作戦を立てればいい。その見本のような悪い相撲をさらけ出してしまった。
稀勢の里が横綱になるためには,もう一度,0(ゼロ)からやり直すくらいの覚悟が必要だ。解説の北の富士さんは「気持の問題だ」と片づけたが,そうではない。気力も体力も問題はない。そのくらいのことは稀勢の里だって,もうとっくのむかしに克服している。とりわけ,先場所の後半戦で,すっかり自信をつけたはずだ。
では,どこが悪いのか。
まずは,立ち合いの姿勢。この姿勢がまことに奇怪しい。以前から,わたしは気になっていたが,仕切りの姿勢が,なんとも横着な姿にみえる。つまり,からだに力が漲っていない。だから,迫力がない。それどころか,だらしがない。
第一に,腰が割れていない。仕切ったときの姿勢は,お尻が一番高い位置にある。膝も曲がっていない。足首も曲がっていない。だから,頭の位置が一番低くて,その首根っこから背中の線が,お尻に向けて斜め上に競り上がっている。こんな姿勢の仕切りをこれまでみたことがない(北勝力が,この姿勢に近かったが,それよりもっとひどい)。その上,両手はからだの真横にぶらりと下ろすだけ。少なくとも両手は自分の両肩よりは前に出して,さあ,来い,という気魄を相手に対して示してほしい。
この姿勢からの立ち合いは,相手に圧力をかけるだけの当たりはできない。いきなり,上体を起こして腹を前に突き出すだけ。おまけに脇が甘い(舞の海秀平さんが,脇の甘さに恐さを感じると予想したとおりの相撲になってしまった)。豊ノ島は低い姿勢から頭で当たって,難なく双差し。もっとも得意とする組み手。稀勢の里は,仕方がないので閂に決めてでようとする。一瞬,決まりかかったが,そこは相撲巧者の豊ノ島。からだをゆすって,閂をゆるくする。なおも閂に決めて前に出てこようとする稀勢の里を左からすくうようにして振る。それだけで,稀勢の里は左足から崩れ落ちてしまった。なんとも脆い,という印象。
立ち合いで先手がとれないのが稀勢の里の最大の難点。その原因は,あの腰高の仕切りにある。だから,立ち上がったときに一瞬,上体が前のめりになる。それを急いで起こして腹を出すようにして自分の体勢を整える。この立ち合いを見切った相手力士は,いつか,頭で当たっておいてはたくという戦法を考えるだろう。わたしなら,一度はやってみたい,と思う。
脇の甘さは,このからだで勝つことを覚えてしまったので,そんなに簡単には直らない。
では,どうすればいいのか。
いまのところ打つ手はない。
したがって,横綱になる道はまだまだ遠い,ということだ。
本来なら,日馬富士が左足首の怪我で休場している今場所は,絶好のチャンスなのだ。その他にも,大関陣も万全ではない。相手は白鵬だけだ。しかし,稀勢の里には下位にとりこぼす,というなんとも不思議な弱点がある。おまけに,今場所は初日に,相撲巧者・豊ノ島を相手に,自分の欠点をほとんど全部,さらけ出してしまった。豊ノ島につづく相撲巧者が虎視眈々と「おれも勝てるのでは」と意欲満々になるだろう。こうなると,いつもよりも力がでるようになる。
さあて,明日から14日間,稀勢の里の相撲に注目である。
豪栄道,妙義龍,松鳳山,豪風,旭天鵬,安美錦,といった相撲巧者との対戦がことのほか楽しみである。
今場所の優勝は白鵬。いつも言うが,白鵬が圧倒的に強いからではない。ほかの力士が弱すぎるからだ。いま,絶好調同士で対戦すると,日馬富士には勝てない。それがなによりの証拠。大関陣が弱すぎるだけの話。もっと強い大関がでてくれば,いまの白鵬を倒すことは可能だ。先場所の稀勢の里が,そのいい例だ。今場所も白鵬戦だけは,ひと波瀾起こしてほしい,と期待している。
強い大関・稀勢の里。当分,据え置き。それでいいのかも・・・・。
横綱に死角はない。そうなるには,まだまだ,修行が足りないということだ。
器ということばもある。人それ相応の仕事の仕方がある。
稀勢の里よ,しっかりと相撲道(貴乃花が好きなことばだった)を究めよ。横綱はその結果だ。あとから,ついてくるものだ。
これから稀勢の里に対戦する力士は,みんな今日のこの相撲を分析して,作戦を立てればいい。その見本のような悪い相撲をさらけ出してしまった。
稀勢の里が横綱になるためには,もう一度,0(ゼロ)からやり直すくらいの覚悟が必要だ。解説の北の富士さんは「気持の問題だ」と片づけたが,そうではない。気力も体力も問題はない。そのくらいのことは稀勢の里だって,もうとっくのむかしに克服している。とりわけ,先場所の後半戦で,すっかり自信をつけたはずだ。
では,どこが悪いのか。
まずは,立ち合いの姿勢。この姿勢がまことに奇怪しい。以前から,わたしは気になっていたが,仕切りの姿勢が,なんとも横着な姿にみえる。つまり,からだに力が漲っていない。だから,迫力がない。それどころか,だらしがない。
第一に,腰が割れていない。仕切ったときの姿勢は,お尻が一番高い位置にある。膝も曲がっていない。足首も曲がっていない。だから,頭の位置が一番低くて,その首根っこから背中の線が,お尻に向けて斜め上に競り上がっている。こんな姿勢の仕切りをこれまでみたことがない(北勝力が,この姿勢に近かったが,それよりもっとひどい)。その上,両手はからだの真横にぶらりと下ろすだけ。少なくとも両手は自分の両肩よりは前に出して,さあ,来い,という気魄を相手に対して示してほしい。
この姿勢からの立ち合いは,相手に圧力をかけるだけの当たりはできない。いきなり,上体を起こして腹を前に突き出すだけ。おまけに脇が甘い(舞の海秀平さんが,脇の甘さに恐さを感じると予想したとおりの相撲になってしまった)。豊ノ島は低い姿勢から頭で当たって,難なく双差し。もっとも得意とする組み手。稀勢の里は,仕方がないので閂に決めてでようとする。一瞬,決まりかかったが,そこは相撲巧者の豊ノ島。からだをゆすって,閂をゆるくする。なおも閂に決めて前に出てこようとする稀勢の里を左からすくうようにして振る。それだけで,稀勢の里は左足から崩れ落ちてしまった。なんとも脆い,という印象。
立ち合いで先手がとれないのが稀勢の里の最大の難点。その原因は,あの腰高の仕切りにある。だから,立ち上がったときに一瞬,上体が前のめりになる。それを急いで起こして腹を出すようにして自分の体勢を整える。この立ち合いを見切った相手力士は,いつか,頭で当たっておいてはたくという戦法を考えるだろう。わたしなら,一度はやってみたい,と思う。
脇の甘さは,このからだで勝つことを覚えてしまったので,そんなに簡単には直らない。
では,どうすればいいのか。
いまのところ打つ手はない。
したがって,横綱になる道はまだまだ遠い,ということだ。
本来なら,日馬富士が左足首の怪我で休場している今場所は,絶好のチャンスなのだ。その他にも,大関陣も万全ではない。相手は白鵬だけだ。しかし,稀勢の里には下位にとりこぼす,というなんとも不思議な弱点がある。おまけに,今場所は初日に,相撲巧者・豊ノ島を相手に,自分の欠点をほとんど全部,さらけ出してしまった。豊ノ島につづく相撲巧者が虎視眈々と「おれも勝てるのでは」と意欲満々になるだろう。こうなると,いつもよりも力がでるようになる。
さあて,明日から14日間,稀勢の里の相撲に注目である。
豪栄道,妙義龍,松鳳山,豪風,旭天鵬,安美錦,といった相撲巧者との対戦がことのほか楽しみである。
今場所の優勝は白鵬。いつも言うが,白鵬が圧倒的に強いからではない。ほかの力士が弱すぎるからだ。いま,絶好調同士で対戦すると,日馬富士には勝てない。それがなによりの証拠。大関陣が弱すぎるだけの話。もっと強い大関がでてくれば,いまの白鵬を倒すことは可能だ。先場所の稀勢の里が,そのいい例だ。今場所も白鵬戦だけは,ひと波瀾起こしてほしい,と期待している。
強い大関・稀勢の里。当分,据え置き。それでいいのかも・・・・。
横綱に死角はない。そうなるには,まだまだ,修行が足りないということだ。
器ということばもある。人それ相応の仕事の仕方がある。
稀勢の里よ,しっかりと相撲道(貴乃花が好きなことばだった)を究めよ。横綱はその結果だ。あとから,ついてくるものだ。
1 件のコメント:
横綱。考えてみると、面白いシステムです。
綱を腰に巻いて、手数入りができる免許。
こういったことになるのでしょうか。
この綱は、ボクシングのチャンピオンなどが腰に巻くチャンピオンベルトとは異なるものです。
チャンピオンベルトは、原則として(前)チャンピオンを倒した者が巻くもの。チャンピオンというのは、このボクシングのようにチャンピオンを倒した者や、ワールドカップなどの大会での優勝者。
ちなみに大相撲で公式に優勝制度が導入されるのは大正15(1926)年の1月場所から。
西洋のスポーツとは、かなりことなったものだということがわかります。江戸時代の「うかつあやまり」にも通じるものが横綱のような気が私はします。
加えておけばアベコベ総理は、こういった江戸時代の庶民の感覚っていうのをまったく持ち合わせていないように思います。
ついでに書いておけば、後進に道を譲らず、まだ現役を続けようとしている女子レスリングのY選手など(過去の女子柔道のTR選手も同様)も、譲り合いを美徳とする江戸庶民の「うかつあやまり」を理解できていないように思います。
話が脱線しましたが、「横綱」という制度自体が、大相撲で優勝制度が公式に導入される以前にできたものですし、いろいろと難しいものがあるように思います。
本日のゲスト・でーもん木暮氏が、どんなスタンスで横綱について語るか、そのあたりも楽しみです。
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