2014年5月25日日曜日

新国立競技場計画はこのまま突き進んでしまって,ほんとうに大丈夫なのか。

 日本建築家協会が,国民の間に異論が多いので,国立競技場の解体工事を延期するよう関係機関に申し入れをした。それに対して,文部科学大臣兼五輪担当大臣である下村氏は「もう時間切れだから予定どおり進める」と応答し,東京都知事の舛添氏は「これから視察をして判断したい」とこれまた時間切れ作戦の応答。JOCの竹田会長はIOCとの約束ごとでもあるので,いまさら変更はできないと応答。

 しかも,新国立競技場のコンペから選定,そして工事計画にいたるまで中心的役割を担っているはずの日本スポーツ振興センター(近く改組される予定)は,一切を無視してだんまりを決め込んでいる。だから,関係者がどのような議論をし,どのような計画変更をし,最終的にどのような案で進めていこうとしているのか,まったく不明。まさに,藪の中。まるで秘密保護法に守られているかのように。

 なんともはや気の抜けた応答ばかり。

 新国立競技場問題は,コンペの段階から,つまり,去年の夏前から,建築家の間では大いなる疑問の声があがり,もう一度,見直すべきだという声があがっている。それ以外の市民団体までも声を挙げ,運動を展開している。そして,多くの意見書が提出されてきている。

 建築家の槙文彦氏は,公開のシンポジウムまで開催し,コンペの主査をつとめた安藤忠雄氏に参加を呼びかけた。しかし,あっけなく拒否されてしまった。なんとも情けない男であることか。元ボクサーで,独学で東大教授になった,国際的に著名な建築家,ともあろう人が。シンポジウムに参加してみずからの主張をすることもできないなんて・・・。公の席に顔を出すこともできないほどの「後ろめたさ」を背負っている,ということがバレバレ。

 
 オリンピック・ムーブメントを国民の間に周知徹底させる上でも,新国立競技場の建設計画については,公開すべきではないか。そして,大いに議論をして,多くの国民が納得づくで五輪開催を盛り上げるべきではないか。そのための絶好のチャンスではないか。それをあたら握りつぶしてしまい,すべては密室で決めようとしている。民主主義を標榜する日本国家として情けない。

 いったいオリンピックはだれのものなのか。広く国民のものではないのか。特定の関係者だけが密室で好き勝手に,なにもかも決めてしまっていいのか。しかも,巨額の税金を使って。狭い範囲の仲良しクラブのお友だちだけで,お手打ち式に,ものごとが決まっていく。そこには批評の目が抜け落ちてしまう。大きな落とし穴にだれも気づくことなくことが進んでいく。そのさきに待ち受けているものは「カタストローフ」。

 このまま新国立競技場の建設に突き進んでいけば,間違いなく破局が待ち構えていることを予言しておこう。その理由をいちいち論うことはやめておくが,そんなことをしなくても,いまや,だれの目にも明らかなことだ。

 それでもやみくもに突き進んでいくのだろう。しかし,その最後の責任はいったいだれが取るのだろうか。どうやら,だれも責任を取らなくて済むように「密室」と「守秘義務」が用意されているらしい。そして,なにもかも闇から闇へ。そのツケは全部,国民に押しつけて,おしまい。

 日本という国家はどこまで腐ってしまったのだろうか。東京五輪開催もまた,その腐ったままの体質で押し切られようとしている。あなおそろしや。

 くわばら,くわばら。どうせ,もとはすがわら。
 えっ? いずもだって?
 そう,カッパの屁。

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