大相撲夏場所初日の打ち止めの相撲で,白鵬が逸ノ城の「突き落とし」に破れ,黒星スタートとなった。あっという間の短い勝負だったが,なかなか含蓄のある相撲内容であった。テレビ観戦していたわたしは思わず「ウーン」と唸ってしまった。これはたいへんなことになるぞ,というのが第一感。
なぜ,そう思ったか。いくつものパターンが頭に浮かんだ。そのいずれが真実なのか,虚実こもごもというところ。それを堪能するのも相撲の醍醐味。以下に,その虚実ないまぜになった,わたしの透視の結果を述べておこう。
まずは,スタンダード・ナンバー。白鵬は,まず,逸ノ城の右差し・左上手を封じる作戦で立つ。立ち合いは,左足から一歩踏み込み,逸ノ城の右差しを左腕で絞り上げ,逸ノ城に左上手を引かれないように右足を後ろにのこし右腰を引いたまま右差しをねらう。逸ノ城は立ち合いすぐに左手を伸ばすも上手を引くことはできない。得意の右差しも絞られて苦しくなり,差し手を抜く。その瞬間,白鵬は双差しの理想の体勢になり,しめた,と思ったに違いない。そこに落とし穴が待っていた。苦し紛れに右の差し手を抜いた逸ノ城は,とっさにからだを左に開きながら右腕で白鵬の左腕を小手に巻こうとしたようだ。ところが,白鵬の左脇がしっかり締まっていたので,腕が入らず「突き落とし」のようなかたちになった。これがみごとに決まって,白鵬はたまらず右手を土俵についてしまった。タイミングのいい,みごとなからだの開きと突き落としだった。「相撲の流れでああなったが,自分の相撲ではない」と逸ノ城はヒーロー・インタヴューで答えている。
さて,この相撲をどのように分析するか。立ち合いも前裁きも白鵬のものだった。万全だった。にもかかわらず負けた。なぜか。逸ノ城の左上手をあまりに警戒しすぎたことだ。そのため,右足,右腰を後ろに引いたまま,左足・左手の攻防だけに頼りすぎた。しかも,それが成功した。苦し紛れに抜いた逸ノ城の「右手」は,完全に自由となった。この「右手」はこれまでも,得意の「はたき」で大活躍してきた,いわくつきのものだ。言ってみれば,なにをしでかすかわからない「右手」だ。今回は,偶然にも「突き落とし」の役割を果たすことになった。白鵬の完敗である。
その裏には,右四で左上手を引いて,がっぷり組み合ったら白鵬は勝てない,という頭があったはずである。この力の差が,今日の相撲の結果となって表出してしまった,とわたしはみる。だから,考えに考えて,逸ノ城の右差し・左上手を封じる立ち合いにでた。しかも,それは成功した。そこに一瞬のスキができた。逸ノ城が右差し手を抜いた瞬間に,白鵬はすかさず前に出て圧力をかけ,つぎなる攻撃を仕掛けるべきだった。しかし,逆に安心して,一呼吸入れてしまった。
逸ノ城は「自分の相撲ではない」と謙遜したが,今日の相撲で学んだものは大きい。たぶん,無意識のレベルでからだが覚えたものは計り知れないものがあるだろう。それが「本番」の力というものだ。百番の稽古よりも本場所の一番,ともいう。これで自信をつけると,逸ノ城は白鵬には負けなくなるのではないか。これまでの4連敗が嘘のように力が逆転し,逸ノ城が勝ちはじめるのではないか,と来場所以後が楽しみだ。
もうひとことだけ付け加えておけば,白鵬の引退の日も,そう遠くはない,と直観したことだ。白鵬のからだが「守勢」に入っていたことが気がかりだ。立ち合い一気の攻撃がみられなかった。それと流れるような汗も,一瞬の相撲にしては異様にみえた。力士としての力のピークはあっという間に通過する。そんな場所にならなければいいが・・・。
なぜ,そう思ったか。いくつものパターンが頭に浮かんだ。そのいずれが真実なのか,虚実こもごもというところ。それを堪能するのも相撲の醍醐味。以下に,その虚実ないまぜになった,わたしの透視の結果を述べておこう。
まずは,スタンダード・ナンバー。白鵬は,まず,逸ノ城の右差し・左上手を封じる作戦で立つ。立ち合いは,左足から一歩踏み込み,逸ノ城の右差しを左腕で絞り上げ,逸ノ城に左上手を引かれないように右足を後ろにのこし右腰を引いたまま右差しをねらう。逸ノ城は立ち合いすぐに左手を伸ばすも上手を引くことはできない。得意の右差しも絞られて苦しくなり,差し手を抜く。その瞬間,白鵬は双差しの理想の体勢になり,しめた,と思ったに違いない。そこに落とし穴が待っていた。苦し紛れに右の差し手を抜いた逸ノ城は,とっさにからだを左に開きながら右腕で白鵬の左腕を小手に巻こうとしたようだ。ところが,白鵬の左脇がしっかり締まっていたので,腕が入らず「突き落とし」のようなかたちになった。これがみごとに決まって,白鵬はたまらず右手を土俵についてしまった。タイミングのいい,みごとなからだの開きと突き落としだった。「相撲の流れでああなったが,自分の相撲ではない」と逸ノ城はヒーロー・インタヴューで答えている。
さて,この相撲をどのように分析するか。立ち合いも前裁きも白鵬のものだった。万全だった。にもかかわらず負けた。なぜか。逸ノ城の左上手をあまりに警戒しすぎたことだ。そのため,右足,右腰を後ろに引いたまま,左足・左手の攻防だけに頼りすぎた。しかも,それが成功した。苦し紛れに抜いた逸ノ城の「右手」は,完全に自由となった。この「右手」はこれまでも,得意の「はたき」で大活躍してきた,いわくつきのものだ。言ってみれば,なにをしでかすかわからない「右手」だ。今回は,偶然にも「突き落とし」の役割を果たすことになった。白鵬の完敗である。
その裏には,右四で左上手を引いて,がっぷり組み合ったら白鵬は勝てない,という頭があったはずである。この力の差が,今日の相撲の結果となって表出してしまった,とわたしはみる。だから,考えに考えて,逸ノ城の右差し・左上手を封じる立ち合いにでた。しかも,それは成功した。そこに一瞬のスキができた。逸ノ城が右差し手を抜いた瞬間に,白鵬はすかさず前に出て圧力をかけ,つぎなる攻撃を仕掛けるべきだった。しかし,逆に安心して,一呼吸入れてしまった。
逸ノ城は「自分の相撲ではない」と謙遜したが,今日の相撲で学んだものは大きい。たぶん,無意識のレベルでからだが覚えたものは計り知れないものがあるだろう。それが「本番」の力というものだ。百番の稽古よりも本場所の一番,ともいう。これで自信をつけると,逸ノ城は白鵬には負けなくなるのではないか。これまでの4連敗が嘘のように力が逆転し,逸ノ城が勝ちはじめるのではないか,と来場所以後が楽しみだ。
もうひとことだけ付け加えておけば,白鵬の引退の日も,そう遠くはない,と直観したことだ。白鵬のからだが「守勢」に入っていたことが気がかりだ。立ち合い一気の攻撃がみられなかった。それと流れるような汗も,一瞬の相撲にしては異様にみえた。力士としての力のピークはあっという間に通過する。そんな場所にならなければいいが・・・。
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