2012年7月12日木曜日

ロンドン・オリンピック会場近くに「ミサイル」配備と聞いて・・・・,絶句。

 オリンピック・ムーブメントは平和運動である・・・・・・・・・・,ということばが虚ろに聞こえはじめてすでに久しい。しかし,とうとう「ミサイル」を配備しなくてはならないオリンピック・ムーブメントとはいったいなにか,とその論理矛盾の前に茫然自失してしまう。なんということか。平和運動とは「ミサイル」に守られなければ実現できないものなのか,と。そういう平和運動とはいったいなにか。

 あえて正解を書くまでもない。オリンピックは,ミサイルに守られる人々のための平和運動でしかないということだ。それ以外の人はみんな「敵」である。その「敵」はいかなる方法を用いて殺しても「国際社会」は咎め立てはしない。それが,こんにちの平和運動の実態である。(どこぞの国では,増税に反対した議員はつぎの選挙では党の公認候補としては認めない,という。あまりに似すぎていて怖いほどだ。)

 文明先進国の安寧な生活を脅かす勢力はすべて「テロリスト」と名付け,手段を選ばす殺戮に及ぶ。それが「正義」の名のもとに正当化される。それが「国際社会」というものの実態だ。オリンピック・ムーブメントもまた,そういう「国際社会」に守られることによって,はじめて存続が可能なのだ。ということは,全地球上に棲息する人間の総数からすれば,圧倒的少数の「正義」が世界を支配しているということだ。これが,武力と経済に守られた「民主主義」の実態でもある。

 オリンピック・ムーブメントとはなにか。近代スポーツ競技とはなにか。

 片田舎のヨーロッパという世界文明史から考えたら,もっとも遅れた後進国だからこそ,そして,キリスト教国だからこそ,世界を支配するカトリシズムを普遍の原理として展開する運動の,最先端の片棒をかつぐことになったのがオリンピック・ムーブメント(いささか圧縮した書き方になっているので,なんのことかと疑問を持たれる方も少なくないだろう。しかし,これを説明しはじめると一冊の本にもなる,わたしなりの根拠があることはここで指摘しておきたい)。ついてに,もっと言っておこう。欧米を機軸とするグローバル・スタンダードを世界に広める戦略の,最先端の役割をはたしているのもまたオリンピック・ムーブメントなのである,と。

 だから,それらの勢力にとっては,オリンピック・ムーブメントは世界平和運動の象徴として,なにがなんでも守られなくてはならないのだ。いかなる「テロ」攻撃にも対応できる態勢を整えることが,グローバル・スタンダードを推進し,維持していくためには不可欠であるから。

 軍隊・警察,およそ3万人を配備して安全を確保し,なおかつ,地対空ミサイルまで配備して開催されるロンドン・オリンピックとはいったいなにか。そういうオリンピックを東京に誘致しようという,その真意はなにか。わたしには「狂気」としかいいようがない。そこには「理性」のかけらも働いてはいない。ただ,あるのは利害・打算のみ。なにがなんでも「オリンピックありき」でものごとを進めていく,原発推進と同じ論理がそこに透けてみえてくる。メディアも,政治も,なにもかもがそれに便乗して。

 しかし,東京都民だけは「冷静」だ。もはや,オリンピックを招致することの是非を論じている場合ではない,その前にもっとやるべきことが山ほどあるではないか,と。これこそが真の「理性」の働きだ。

 ロンドン市民は,ミサイル配備に反対運動を展開し,その無効性を訴えて裁判所に持ち込んだ。その判決が7月10日,英国高等法院によってくだされた。「ミサイルは住民の脅威とならず,五輪の安全を確保する重要な一部だ」として。

 おやおや,これまた「原発は住民の脅威とならず,国民全体の生活を確保する重要な一部だ」とそっくりそのまま置き換え可能だ。狂っているのは日本国だけではなさそうだ。

 東京にオリンピックがくることになれば,アメリカさんは喜んで,日本の各地に「過剰に」ミサイル配備することに協力してくれることだろう。第二,第三の「オキナワ」が本土に誕生することになる。だれかさんにとっては,めでたし,めでたし,である。いよいよ,星条旗の「星」がもうひとつ増える日も間近にみえてくる。そのくらいの覚悟が必要だということだ。いや,すでに,実質はそうなっている,という声が聞こえてくる。これは「空耳」であってくれればいいのだが・・・・。でも,そうではないらしい。オキナワを見据えていると,そうとしか思えない現実がどんどん進展していく。日本政府は,オキナワの住民を守ろうという意思は毛頭ないかのように。

 ロンドン・オリンピックも,こうした動きと無縁ではないのだ,ということを強調しておきたい。むしろ,まったく同じロジックの上に成立しているということ,この事実だけは,しっかりと認識しておこう。

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