猪瀬知事がIOC総会に向けて出発した,という。9月7日の開催地決定にむけてのロビー活動に全力を挙げる,とか。乗り掛かった舟を,いまさら引き上げるわけにもいかず,なりふりかまわず前進するしかないとでもいうかのように。そのさまはまるで「ドンキ・ホーテ」のように見えてくる。いやいやそれ以下だ。それにしても,なんともはや無駄な労力というか,狂気の沙汰というか,情けないというか,公費の無駄遣いというか,やり切れない気分でいっぱいです。
なぜなら,オリンピック憲章をよく読んでみれば明らかです。五輪のマークに象徴的に示されているように,オリンピック精神の根底にあるものは,五つの大陸がひとつになって,みんな仲良しになることです。つまり,相互理解にもとづく平和運動です。そして,その相互理解をより深めるために,できるだけ多くの都市を巡回してオリンピックを開催することが前提になっています。
このオリンピック精神の原点に立ち返れば,2020年の開催都市は,イスタンブールが本命です。よほどの特殊な事情がないかぎり,初めて開催する都市が優先されるのは当然のことです。今回の立候補国は,日本もスペインも二回目の開催となります。しかも,AP通信によれば,現段階では(31日現在),3都市が横一線に並んでいて,やや東京が優位に立っているようだ,と報じています。
過去の実績をみてみますと,開催地決定の直前の下馬評が第一位の都市が決まったためしはない,といわれています。このジンクスが生きているとすれば,東京は,この時点でみごとに脱落です。となりますと,あとはマドリードとイスタンブールです。最後の最後まで選挙権をもつ委員たちは
悩み抜くことになるとおもいますが,委員たちが健全な精神の持ち主であれば,つまり,オリンピック憲章をよく理解した人たちであれば,イスタンプールに票が投じられることでしょう。
三つの都市が「横一線」で並んでいるというAP通信の下馬評は,よくよく考えてみると面白いことがみえてきます。どこの都市も,東京と同じような,それに匹敵するような難題を抱え込んでいるということです。つまり,どこの都市も東京と同じ満身創痍だということです。しかも,そんななかで東京がやや優位だという下馬評が流れているというのですから,まあ,どこもかしこもまともな条件を整えた都市ではない,ということになります。
しかし,他の二つの都市にくらべて,東京はいささか特殊な悪条件を抱え込んでいるようにおもいます。ひとつは,フクシマ原発の「レベル3」問題,もうひとつは,尖閣諸島をめぐる問題です。さらに忘れてはならないのは沖縄の米軍基地とオスプレイの問題です。この他にも,都市直下型大地震が予想されていることです。
わたしたち日本人は,自分たちのマイナス要素はできるだけ甘く考える性向がありますが,国際社会のみる目は甘くはありません。
なかでも,フクシマ原発の高濃度汚染水漏洩問題は深刻です。なぜなら,タンクから漏れでた量ですら,いまも流動的で,精確には把握されていません。ましてや,地下水によって海洋に流出した量はまったく把握されていません。しかも,メルト・ダウンした原発の下がどのような状態になっているのかも,まったくわかっていません。つまり,今回,タンクから流出した量だけで「レベル3」と判定したにすぎません。その何十倍,何百倍もの,いやいや天文学的な数値の高濃度汚染水が海洋に流出している可能性があるというのです。そして,2020年には東京湾もほぼ間違いなくこの高濃度汚染水にまみれることになるだろうと推定されています。これは恐るべきことです。わたしたち日本人にとっても脅威です。いよいよ東京都民も移住しなくてはならなくなる可能性があるというのです。
IOC総会の最終の詰めの段階で,この問題が大きく取り沙汰されるのではないか,とわたしは予想しています。しかも,これが致命的なダメージになると考えています。
それに加えて,尖閣諸島の問題があります。国内向けの報道では,日本固有の領土である,と統一されていますが,国際社会の認識では,日中の「領土問題」であり,「紛争」地帯であるということです。しかも,いまは,中国が大人的に対応してくれていますので(これは中国の余裕です),ことなきをえていますが,中国が本気になったらすぐにも戦闘が始まります。その意味でも,オリンピックを東京で開催したいのであれば,まずは,「棚上げ」にもどすことが先決だとわたしは考えています。それにしても,イシハラ君はなにを考えていたのでしょうねぇ。
というような次第で,ここに沖縄の米軍基地移設問題(これからますます大きな問題となる)とオスプレイ配備(東京の空の上を飛ぶのも時間の問題です。日米地位協定を読めばわかります)が加わります。そして,都市直下型大地震(加えて,富士山の大噴火も)が遠からず起こると予想されています。
こんな問題だらけの都市がオリンピックを開催する資格はありません。まずは,これらの問題をクリアしてから名乗りを挙げるべきでしょう。それが国際社会に対する「マナー」というものです。なにがなんでもオリンピックを招致すればいいという考え方は,要するに,これらの重大問題に蓋をし,人びとの意識から遠ざける戦略でもあるのです。つまり,オリンピックが政治的に悪用される,ということの典型です。
この他にも書いておきたいことは山ほどありますが,これらを俎上にあげるだけで,東京にオリンピックを招致する資格はない,ということは明白でしょう。
それでもなお,IOC委員の多数が東京を選んだとしたら,もはや,オリンピック精神そのものが形骸化していることのなによりの証拠になります。となれば,もはやオリンピック・ムーブメントそのものが意味をなさなくなります。そのときがオリンピックの幕引きのときとなるでしょう。
はたして,9月7日の結果やいかに。
なぜなら,オリンピック憲章をよく読んでみれば明らかです。五輪のマークに象徴的に示されているように,オリンピック精神の根底にあるものは,五つの大陸がひとつになって,みんな仲良しになることです。つまり,相互理解にもとづく平和運動です。そして,その相互理解をより深めるために,できるだけ多くの都市を巡回してオリンピックを開催することが前提になっています。
このオリンピック精神の原点に立ち返れば,2020年の開催都市は,イスタンブールが本命です。よほどの特殊な事情がないかぎり,初めて開催する都市が優先されるのは当然のことです。今回の立候補国は,日本もスペインも二回目の開催となります。しかも,AP通信によれば,現段階では(31日現在),3都市が横一線に並んでいて,やや東京が優位に立っているようだ,と報じています。
過去の実績をみてみますと,開催地決定の直前の下馬評が第一位の都市が決まったためしはない,といわれています。このジンクスが生きているとすれば,東京は,この時点でみごとに脱落です。となりますと,あとはマドリードとイスタンブールです。最後の最後まで選挙権をもつ委員たちは
悩み抜くことになるとおもいますが,委員たちが健全な精神の持ち主であれば,つまり,オリンピック憲章をよく理解した人たちであれば,イスタンプールに票が投じられることでしょう。
三つの都市が「横一線」で並んでいるというAP通信の下馬評は,よくよく考えてみると面白いことがみえてきます。どこの都市も,東京と同じような,それに匹敵するような難題を抱え込んでいるということです。つまり,どこの都市も東京と同じ満身創痍だということです。しかも,そんななかで東京がやや優位だという下馬評が流れているというのですから,まあ,どこもかしこもまともな条件を整えた都市ではない,ということになります。
しかし,他の二つの都市にくらべて,東京はいささか特殊な悪条件を抱え込んでいるようにおもいます。ひとつは,フクシマ原発の「レベル3」問題,もうひとつは,尖閣諸島をめぐる問題です。さらに忘れてはならないのは沖縄の米軍基地とオスプレイの問題です。この他にも,都市直下型大地震が予想されていることです。
わたしたち日本人は,自分たちのマイナス要素はできるだけ甘く考える性向がありますが,国際社会のみる目は甘くはありません。
なかでも,フクシマ原発の高濃度汚染水漏洩問題は深刻です。なぜなら,タンクから漏れでた量ですら,いまも流動的で,精確には把握されていません。ましてや,地下水によって海洋に流出した量はまったく把握されていません。しかも,メルト・ダウンした原発の下がどのような状態になっているのかも,まったくわかっていません。つまり,今回,タンクから流出した量だけで「レベル3」と判定したにすぎません。その何十倍,何百倍もの,いやいや天文学的な数値の高濃度汚染水が海洋に流出している可能性があるというのです。そして,2020年には東京湾もほぼ間違いなくこの高濃度汚染水にまみれることになるだろうと推定されています。これは恐るべきことです。わたしたち日本人にとっても脅威です。いよいよ東京都民も移住しなくてはならなくなる可能性があるというのです。
IOC総会の最終の詰めの段階で,この問題が大きく取り沙汰されるのではないか,とわたしは予想しています。しかも,これが致命的なダメージになると考えています。
それに加えて,尖閣諸島の問題があります。国内向けの報道では,日本固有の領土である,と統一されていますが,国際社会の認識では,日中の「領土問題」であり,「紛争」地帯であるということです。しかも,いまは,中国が大人的に対応してくれていますので(これは中国の余裕です),ことなきをえていますが,中国が本気になったらすぐにも戦闘が始まります。その意味でも,オリンピックを東京で開催したいのであれば,まずは,「棚上げ」にもどすことが先決だとわたしは考えています。それにしても,イシハラ君はなにを考えていたのでしょうねぇ。
というような次第で,ここに沖縄の米軍基地移設問題(これからますます大きな問題となる)とオスプレイ配備(東京の空の上を飛ぶのも時間の問題です。日米地位協定を読めばわかります)が加わります。そして,都市直下型大地震(加えて,富士山の大噴火も)が遠からず起こると予想されています。
こんな問題だらけの都市がオリンピックを開催する資格はありません。まずは,これらの問題をクリアしてから名乗りを挙げるべきでしょう。それが国際社会に対する「マナー」というものです。なにがなんでもオリンピックを招致すればいいという考え方は,要するに,これらの重大問題に蓋をし,人びとの意識から遠ざける戦略でもあるのです。つまり,オリンピックが政治的に悪用される,ということの典型です。
この他にも書いておきたいことは山ほどありますが,これらを俎上にあげるだけで,東京にオリンピックを招致する資格はない,ということは明白でしょう。
それでもなお,IOC委員の多数が東京を選んだとしたら,もはや,オリンピック精神そのものが形骸化していることのなによりの証拠になります。となれば,もはやオリンピック・ムーブメントそのものが意味をなさなくなります。そのときがオリンピックの幕引きのときとなるでしょう。
はたして,9月7日の結果やいかに。
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