友人の能面アーティストの本の刊行がいよいよ軌道に乗り,仕事が動きはじめました。そのためのひとつの大きな山場の仕事であるすべての能面作品の撮影が今日(19日)の朝からはじまりました。わたしもお預かりしている能面作品(4面)を持って,撮影現場に馳せ参じました。場所は,能面アーティストのご自宅。全部で130面以上もの作品を撮影するというのですから,大変なことです。
カメラマン,デザイナー,編集者の3人が揃ったところで撮影開始。わたしの興味は,友人の能面アーティストの全作品が一度にみられることと,プロのカメラマンがどんな風に撮影するのかということと,さらには,デザイナーという人の役割がどういうものなのかということ,の以上3点でした。もちろん,編集者は本の刊行までの全体のマネージメントをしていくわけですので,こういう撮影現場でどのような働き方をするのかということも,大いに関心がありました。
いよいよ撮影がはじまりましたら,その瞬間からピンとした緊張感がその場にみなぎります。まず驚いたのは,撮影方法でした。一つは作品への光の当て方。ちょっとした光の当て方の違いによって映像がいかようにも変化するということ。カメラマンはデジタルカメラのディスプレイをみながら,矢継ぎ早にシャッターを切っていきます。そして,カメラマンのイメージに近い映像が得られた段階で,こんどは,その映像をパソコンで確認していきます。映像を大きく拡大して細部のチェックをしたり,色の出方を微妙に調整したり,明暗のバランスを確認したりしていきます。その上で,再度,カメラの位置や光の加減を調整しながら,撮影をつづけます。そうして,これでよし,というところまでカメラのディスプレイで確認し,それをパソコンでチェック。最終的な微妙な調整をしていきます。そして,カメラマンは「これだ」という画像を保存していきます。一つの能面の写真の画像が決まるまでに,これほどの手続きを経ていくのだということを知り,驚きつつ感心してしまいました。その間,カメラマンは真剣勝負です。
その間,デザイナーと編集者は,画像を覗き込みながら,「あっ,いいですねぇ」とか,「もうちょっとアクセントをつけてみて」とか,「優しい表情がいいですねぇ」とか,「この能面は恐さを強調しようか」とか,カメラマンに声をかけながら被写体となる能面をセットしたり,片づけたりしています。そんな作業をしながら,さらに,これらの能面の画像がきれいに印刷できる紙質の相談をしたり,本の大きさ(サイズ)を決めたり,表紙の能面をどれにするか,というような話をしています。さらには,正面アングルからの映像だけではなく,能面によっては横から,上から,下から,あるいは,部分のアップ,という具合にカメラマンに注文をつけていきます。カメラマンはそれらの注文に応じて,驚くような画像を生みだしていきます。それを見たデザイナーと編集者は,誌面の構成の仕方や,能面の種類による分類の仕方や,この画像はこんな風に使おうとか,その瞬間瞬間のアイディアを出し合いながら,本の全体のイメージが共有されていきます。この三者の絶妙な呼吸が,みているわたしにはとても刺激的でした。そして,この三者の阿吽の呼吸がかみ合っているかぎり,この本はいい本になる,と確信しました。
昼食をはさんだ雑談をとおして,この人たちが「ただ者」ではない,ということが次第にわかってきました。30代から40代の,どちらかといえば若い人たちです。しかも,3人とも,フリーランサーで,独立して立派な仕事をしている人たちです。しかも,話題の質のレベルがとても高いのです。無駄なことは言わず,ポイントを外さない話術を身につけています。ですから,とてもいい雰囲気をかもしだしています。ああ,やはり,どの世界でも一流といわれる人たちは,そのできが違う,と納得してしまいました。
と同時に,カメラマンの仕事はたいへんなものだ,ということを肌で知ることができました。まず,なによりも体力勝負であること,そして,集中力,持続力,忍耐力,その上に「この画像で決まり」と見極める「眼力」(アーティスティックなセンス)が必要だということです。これは並大抵の仕事ではありません。そして,そのことを熟知しているデザイナーと編集者は,それとなくカメラマンを元気づけることばを発しています。この人たちもすごいものだ,と驚くことが多々ありました。しかも,この人たちに機嫌よく仕事をしてもらえるように,そこはかとなく気配りをする友人の能面アーティストも,いつもながらの,いや,それ以上の気持の籠もった振る舞いをみせ,すごいものだとあらためて認識し直しました。
やはり,一流は違う,これが今日の撮影現場での体験から得られた結論です。そして,いい本はこのようにして生まれるのだ,と。
まだまだ,勉強しなくてはならないことは山ほどある,と思い知らされた次第です。
本が刊行されましたら,実名を挙げて,カメラマンさん,デザイナーさん,編集者さん,そして能面アーティストさん,みなさんのすごさについて,もう一度,語ってみたいと思っています。本は,来年2月刊行の予定だそうです。乞う,ご期待!
カメラマン,デザイナー,編集者の3人が揃ったところで撮影開始。わたしの興味は,友人の能面アーティストの全作品が一度にみられることと,プロのカメラマンがどんな風に撮影するのかということと,さらには,デザイナーという人の役割がどういうものなのかということ,の以上3点でした。もちろん,編集者は本の刊行までの全体のマネージメントをしていくわけですので,こういう撮影現場でどのような働き方をするのかということも,大いに関心がありました。
いよいよ撮影がはじまりましたら,その瞬間からピンとした緊張感がその場にみなぎります。まず驚いたのは,撮影方法でした。一つは作品への光の当て方。ちょっとした光の当て方の違いによって映像がいかようにも変化するということ。カメラマンはデジタルカメラのディスプレイをみながら,矢継ぎ早にシャッターを切っていきます。そして,カメラマンのイメージに近い映像が得られた段階で,こんどは,その映像をパソコンで確認していきます。映像を大きく拡大して細部のチェックをしたり,色の出方を微妙に調整したり,明暗のバランスを確認したりしていきます。その上で,再度,カメラの位置や光の加減を調整しながら,撮影をつづけます。そうして,これでよし,というところまでカメラのディスプレイで確認し,それをパソコンでチェック。最終的な微妙な調整をしていきます。そして,カメラマンは「これだ」という画像を保存していきます。一つの能面の写真の画像が決まるまでに,これほどの手続きを経ていくのだということを知り,驚きつつ感心してしまいました。その間,カメラマンは真剣勝負です。
その間,デザイナーと編集者は,画像を覗き込みながら,「あっ,いいですねぇ」とか,「もうちょっとアクセントをつけてみて」とか,「優しい表情がいいですねぇ」とか,「この能面は恐さを強調しようか」とか,カメラマンに声をかけながら被写体となる能面をセットしたり,片づけたりしています。そんな作業をしながら,さらに,これらの能面の画像がきれいに印刷できる紙質の相談をしたり,本の大きさ(サイズ)を決めたり,表紙の能面をどれにするか,というような話をしています。さらには,正面アングルからの映像だけではなく,能面によっては横から,上から,下から,あるいは,部分のアップ,という具合にカメラマンに注文をつけていきます。カメラマンはそれらの注文に応じて,驚くような画像を生みだしていきます。それを見たデザイナーと編集者は,誌面の構成の仕方や,能面の種類による分類の仕方や,この画像はこんな風に使おうとか,その瞬間瞬間のアイディアを出し合いながら,本の全体のイメージが共有されていきます。この三者の絶妙な呼吸が,みているわたしにはとても刺激的でした。そして,この三者の阿吽の呼吸がかみ合っているかぎり,この本はいい本になる,と確信しました。
昼食をはさんだ雑談をとおして,この人たちが「ただ者」ではない,ということが次第にわかってきました。30代から40代の,どちらかといえば若い人たちです。しかも,3人とも,フリーランサーで,独立して立派な仕事をしている人たちです。しかも,話題の質のレベルがとても高いのです。無駄なことは言わず,ポイントを外さない話術を身につけています。ですから,とてもいい雰囲気をかもしだしています。ああ,やはり,どの世界でも一流といわれる人たちは,そのできが違う,と納得してしまいました。
と同時に,カメラマンの仕事はたいへんなものだ,ということを肌で知ることができました。まず,なによりも体力勝負であること,そして,集中力,持続力,忍耐力,その上に「この画像で決まり」と見極める「眼力」(アーティスティックなセンス)が必要だということです。これは並大抵の仕事ではありません。そして,そのことを熟知しているデザイナーと編集者は,それとなくカメラマンを元気づけることばを発しています。この人たちもすごいものだ,と驚くことが多々ありました。しかも,この人たちに機嫌よく仕事をしてもらえるように,そこはかとなく気配りをする友人の能面アーティストも,いつもながらの,いや,それ以上の気持の籠もった振る舞いをみせ,すごいものだとあらためて認識し直しました。
やはり,一流は違う,これが今日の撮影現場での体験から得られた結論です。そして,いい本はこのようにして生まれるのだ,と。
まだまだ,勉強しなくてはならないことは山ほどある,と思い知らされた次第です。
本が刊行されましたら,実名を挙げて,カメラマンさん,デザイナーさん,編集者さん,そして能面アーティストさん,みなさんのすごさについて,もう一度,語ってみたいと思っています。本は,来年2月刊行の予定だそうです。乞う,ご期待!
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