2014年11月19日水曜日

鶴竜にスイッチが入る。白鵬,日馬富士も好調。終盤の星のつぶし合いが見どころ。

 久しぶりに3横綱がそろって好調だ。日馬富士が序盤戦でつまづいたが,完全に復調した。白鵬もひとつ落としたが,かえってのびのびと相撲をとっているようにみえる。全勝街道をつっぱしる鶴竜も,逸ノ城との一戦を寄り切りで破ってから,スイッチが入ったように相撲内容がよくなってきた。このままいくと,最後の横綱対決の三日間の星のつぶし合いがみものだ。横綱3人が絶好調同士でぶつかる相撲,久しぶりだ。

 なかでも鶴竜はこのところ真っ向勝負にでていて,すべて寄り切り。しかも,がっぷり四つに組んでの寄り切りだ。この勝ち方がいい。相撲内容からすると,このまま鶴竜が全勝街道を突っ走るのではないか,という予感がする。横綱に昇進したときのようなオーラがでている。眠っていた眼にも光るものが垣間見られる。気魄の表出である。いよいよ大物ぶりを発揮か。いまの鶴竜なら白鵬とがっぷり四つに組んで,充分に闘える。しかも,負けないだろう。

 白鵬は高安に一敗してから追う立場になって気が楽になったのか,相撲を楽しんでいるようにみえる。かえって動きがよくなってきている。あとは,3大関・2横綱との対決だ。まずは,苦手としている稀勢の里戦をどう通過するか。そして,豪栄道だ。このところ苦戦している。そこさえうまく通過すればあとは両横綱との対決を残すのみだ。しかし,今場所の両横綱はいつもと違って調子を上げてきている。力の差はほとんどない。しかも,日馬富士が絶好調のときには勝てないという過去の実績がある。鶴竜も同じだ。だとすると,今場所の白鵬はかなり苦しい展開になりそうだ。

 序盤にくらべたら,中盤の日馬富士の相撲は見違えるばかりだ。休場明けを考えると,これでようやく波に乗ったということか。得意の左に変わっての左上手出し投げで2番つづけて勝ったと思ったら,こんどは真っ向勝負で押し出しで2番つづけて勝っている。とくに,今日(18日)の稀勢の里戦はみごとだった。スピードに乗った鋭い立ち合いで圧倒。まずは,左のど輪で突き放し。この立ち合いで稀勢の里はいっぺんにはね飛ばされてしまった。そして,そのまま一気に押し出し。稀勢の里になにもさせない一方的な勝負だった。立ち合いの先制攻撃という武器をもっている日馬富士は,今場所は台風の眼となりそうだ。

 このまま3横綱が好調をつづければ,どんな展開が待っているのか予測がつかない。まあ,手堅く考えてみて,鶴竜もひとつくらいは星を落としそうだし,白鵬ももうひとつくらいは星を落とすだろう。それでも,日馬富士の優勝の目はでてこない。しかし,うまくすれば2敗で3横綱が並ぶ可能性もなきにしもあらず・・・。そうなると3横綱による優勝決定戦(巴戦)となる。そうなれば申し分なし。最高の場所になる。

 稀勢の里の2敗は立派だが,ここまでの勝ち方がよくない。たまたま勝ちを拾ってここまできたという感じだ。自分から攻めて,自分の型で勝ちきった相撲が少ない。だから,終盤はかなりの負けがこんでくるに違いない。安定しているようにみえても,相撲に迫力がない。これでは綱を手にすることはできない。やはり,破壊的な攻撃の型をもたなければ,綱への道は遠い。

 それに比べれば星はさっぱりだが,豪栄道の方が攻めている。しかし,勝ちに恵まれない。あと一歩というところで逆襲されている。どこか相撲勘が狂っているとしかいいようがない。二場所目にして,大関カド番。これを薬にして,来場所の活躍を待ちたい。

 今場所は,幕内上位の力士たちが力をつけてきた。つまり,上位との力の差が小さくなってきたということ。大関たちが食われてしまう原因はここにある。とてもいいことだ。だから,どの取り組みも目が離せない。

 逸ノ城の相撲については,場所が終わったところで総括することにしよう。

 というところで,今日はここまで。

最後の三日間の相撲にすべてがかかってくる,そんな予感でいっぱい。楽しみではある。

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