『世界』5月号の翁長雄志×寺島実郎対談は,ピンチのなかにチャンスありをおもわせる,まさに沖縄の夜明け前の予感でいっぱいです。読んでいてワクワクドキドキしてくるほどの迫力をもっています。沖縄に関してはかなりわかっていたつもりでしたが,沖縄の最先端の議論や世論はもうずっとさきに進んでいるということが手にとるように伝わってきて,茫然自失といった状態です。やはり,ヤマトンチュは駄目だなぁ,危機意識が圧倒的に足りない,と痛感してしまいました。エッジに立たされた人の考えや行動は,それを傍観している人間とは天と地ほどの差がある,としみじみ考えてしまいました。
ここでは,こまかな議論はともかくとして,この対談をとおして飛び出した翁長知事の,刮目すべき語録をとりあえず採録して,のちの議論の資料として提供しておきたいとおもいます。以下は,翁長知事の発言を順に列挙したものです。
「琉球・幕末・明治維新 沖縄特別展」が浦添美術館で開催されており,そこには,琉球王国がアメリカ,フランス,オランダと結んだ三条約の琉球側原本を展示しています。このなかで,アメリカの国務省歴史事務所が琉球国について「19世紀半ばには,琉球は日本とアジア大陸との交易に特化した,独立した王国だった」と定義しています。(38ページ)
私がいま「オール沖縄」や「イデオロギーよりアイデンティティ」とお話ししているのも,歴史の新しい1ページを開いたという気持があります。(P.38.)
・・・・時代が来たという感覚と,私自身政治家としてこれ以上望むべくもないところまできて,沖縄のために,沖縄のためにということは日本のために,さらには世界のためにもなるのだという信念,沖縄問題解決なくして日本が一人前になるわけはないという思いを持って,この数年来動いてきました。(P.38~39.)
沖縄が日本に甘えているのでしょうか,日本が沖縄に甘えているのでしょうか。これを無視してこれからの沖縄問題の解決,あるいは日本を取り戻すことはできない。(P.39.)
終戦直後から6~7年はまだ産業も何もありませんから,基地関連収入が50%で,生きるか死ぬかというきわめて深刻な話だったのです。基地関連収入はその後復帰時に15%に落ちて,いまは5%を切っています。(P.41.)
47都道府県の中で,沖縄には日本国から来た在沖大使がいらっしゃるのです。意外と本土の方々はご存じないのですが,何ゆえ沖縄には大使が置かれているのか,また日本国は沖縄というものを一体どのようにとらえて向き合っているのか,このことからもよくわかると思うのです。(P.44.)
道州制度が始まったら,沖縄の意思は単独州を望んでいます。今日までの議論で県議会関係,経済界,諸団体の多くが単独州として改めて万国津梁(しんりょう)の精神をもってアジア,世界に飛び立っていこうという思いを,沖縄県民ははっきり持っているのです。(P.45.)
なぜ辺野古の新基地建設に反対するか,それは当然のことながら単に反米という話ではありません。このままでは日米両政府が沖縄のあるべき姿,アジアとの関係をちゃんと話し合わないのではないかという意味からなのです。辺野古について再考することが,日米関係,日米安保体制を問い直し,さらには米中,日中関係を,尖閣諸島をどうするかという,たくさんの課題を整理し改善していくことにつながる。だから私は,まず基地問題に取り組んでいきたいのです。(P.45.)
2~3年前から,沖縄県民自らが策定をした21世紀ビジョン,まさしくアジアの経済成長と連動していく計画が見えてきています。(P.45.)
沖縄の歴史,伝統,文化,自然,琉球王朝時代のアジアへの架け橋となるという思想といったソフトパワー,それから東西1000キロ,南北400キロに有人の島が約40,全部入れると160,ここにある海底資源,それから日本の排他的経済水域も,沖縄の広大な海域がある事で世界第7位という優位性がある。これらをベースにしながら,アジアのダイナミズムと連動していこうと考えているところです。(P.45.)
一番目に先頭を切ったのが6年前に始まったANAの国際物流拠点で,始めた当初は約1900トンでしたが,いまはその100倍になっています。北海道の海産物や長野のイチゴなどが沖縄に集積されて,アジアに24時間以内に持って行ける。逆もまたしかりで,24時間以内にアジアの物産が沖縄から本土へ,という動きが大変活発になってきています。初めて沖縄が日本のフロントランナーとしての役割を果たせるものが,地政学的にも大変いい形で動き出してきました。まさしく日本とアジアの架け橋になるわけです。(P.46.)
もう一つは情報通信関連産業で,10年前から沖縄に集積して,その労働人口が約3万人となっています。観光産業は約4500億円ですが,情報通信産業は3000億円をうかがうようなところまできています。もともと県として国際海底ケーブルを使う情報通信関連企業の誘致を進めていたのですが,今年度には首都圏と沖縄,香港,シンガポールを結ぶ通信回線が完成する予定です。この海底ケーブル事業には,アメリカのヒューレット・パッカードという2兆円企業や中国からも沖縄立地の話があり,情報通信産業のアジア中心地になる可能性があります。(P.46.)
以上で,終わりにします。でないと,際限なく,翁長語録がつづくからです。まだまだ,重要な発言がつづきますので,ぜひ,雑誌で確認してみてください。
とはいうものの,最後にこの一文だけはどうしてもここに書き留めておきたいと思います。
沖縄の基地問題の解決は,日本の国がまさしく真の意味でアジアのリーダー,世界のリーダーにもなり得る可能性を開く突破口になるはずです。辺野古の問題で,日本と沖縄との関係は対立的で危険なものに見えるかもしれませんが,そうではないのです。沖縄の基地問題の解決は,日本が平和を構築していくのだという意思表示となり,沖縄というソフトパワーを使っていろいろなことができるでしょう。様々な意味で沖縄はアジアの架け橋になれる。
ここでは,こまかな議論はともかくとして,この対談をとおして飛び出した翁長知事の,刮目すべき語録をとりあえず採録して,のちの議論の資料として提供しておきたいとおもいます。以下は,翁長知事の発言を順に列挙したものです。
「琉球・幕末・明治維新 沖縄特別展」が浦添美術館で開催されており,そこには,琉球王国がアメリカ,フランス,オランダと結んだ三条約の琉球側原本を展示しています。このなかで,アメリカの国務省歴史事務所が琉球国について「19世紀半ばには,琉球は日本とアジア大陸との交易に特化した,独立した王国だった」と定義しています。(38ページ)
私がいま「オール沖縄」や「イデオロギーよりアイデンティティ」とお話ししているのも,歴史の新しい1ページを開いたという気持があります。(P.38.)
・・・・時代が来たという感覚と,私自身政治家としてこれ以上望むべくもないところまできて,沖縄のために,沖縄のためにということは日本のために,さらには世界のためにもなるのだという信念,沖縄問題解決なくして日本が一人前になるわけはないという思いを持って,この数年来動いてきました。(P.38~39.)
沖縄が日本に甘えているのでしょうか,日本が沖縄に甘えているのでしょうか。これを無視してこれからの沖縄問題の解決,あるいは日本を取り戻すことはできない。(P.39.)
終戦直後から6~7年はまだ産業も何もありませんから,基地関連収入が50%で,生きるか死ぬかというきわめて深刻な話だったのです。基地関連収入はその後復帰時に15%に落ちて,いまは5%を切っています。(P.41.)
47都道府県の中で,沖縄には日本国から来た在沖大使がいらっしゃるのです。意外と本土の方々はご存じないのですが,何ゆえ沖縄には大使が置かれているのか,また日本国は沖縄というものを一体どのようにとらえて向き合っているのか,このことからもよくわかると思うのです。(P.44.)
道州制度が始まったら,沖縄の意思は単独州を望んでいます。今日までの議論で県議会関係,経済界,諸団体の多くが単独州として改めて万国津梁(しんりょう)の精神をもってアジア,世界に飛び立っていこうという思いを,沖縄県民ははっきり持っているのです。(P.45.)
なぜ辺野古の新基地建設に反対するか,それは当然のことながら単に反米という話ではありません。このままでは日米両政府が沖縄のあるべき姿,アジアとの関係をちゃんと話し合わないのではないかという意味からなのです。辺野古について再考することが,日米関係,日米安保体制を問い直し,さらには米中,日中関係を,尖閣諸島をどうするかという,たくさんの課題を整理し改善していくことにつながる。だから私は,まず基地問題に取り組んでいきたいのです。(P.45.)
2~3年前から,沖縄県民自らが策定をした21世紀ビジョン,まさしくアジアの経済成長と連動していく計画が見えてきています。(P.45.)
沖縄の歴史,伝統,文化,自然,琉球王朝時代のアジアへの架け橋となるという思想といったソフトパワー,それから東西1000キロ,南北400キロに有人の島が約40,全部入れると160,ここにある海底資源,それから日本の排他的経済水域も,沖縄の広大な海域がある事で世界第7位という優位性がある。これらをベースにしながら,アジアのダイナミズムと連動していこうと考えているところです。(P.45.)
一番目に先頭を切ったのが6年前に始まったANAの国際物流拠点で,始めた当初は約1900トンでしたが,いまはその100倍になっています。北海道の海産物や長野のイチゴなどが沖縄に集積されて,アジアに24時間以内に持って行ける。逆もまたしかりで,24時間以内にアジアの物産が沖縄から本土へ,という動きが大変活発になってきています。初めて沖縄が日本のフロントランナーとしての役割を果たせるものが,地政学的にも大変いい形で動き出してきました。まさしく日本とアジアの架け橋になるわけです。(P.46.)
もう一つは情報通信関連産業で,10年前から沖縄に集積して,その労働人口が約3万人となっています。観光産業は約4500億円ですが,情報通信産業は3000億円をうかがうようなところまできています。もともと県として国際海底ケーブルを使う情報通信関連企業の誘致を進めていたのですが,今年度には首都圏と沖縄,香港,シンガポールを結ぶ通信回線が完成する予定です。この海底ケーブル事業には,アメリカのヒューレット・パッカードという2兆円企業や中国からも沖縄立地の話があり,情報通信産業のアジア中心地になる可能性があります。(P.46.)
以上で,終わりにします。でないと,際限なく,翁長語録がつづくからです。まだまだ,重要な発言がつづきますので,ぜひ,雑誌で確認してみてください。
とはいうものの,最後にこの一文だけはどうしてもここに書き留めておきたいと思います。
沖縄の基地問題の解決は,日本の国がまさしく真の意味でアジアのリーダー,世界のリーダーにもなり得る可能性を開く突破口になるはずです。辺野古の問題で,日本と沖縄との関係は対立的で危険なものに見えるかもしれませんが,そうではないのです。沖縄の基地問題の解決は,日本が平和を構築していくのだという意思表示となり,沖縄というソフトパワーを使っていろいろなことができるでしょう。様々な意味で沖縄はアジアの架け橋になれる。
0 件のコメント:
コメントを投稿