『ホセ・ムヒカの言葉』(佐藤美由紀著,双葉社,2015年3刷)を読みました。ざっくりとした書き方になっていますので,だれでも,すぐに読める本です。
ホセ・ムヒカ。南米・ウルグアイ共和国の大統領。2010年3月から2015年3月までの5年間。任期満了で退任。いまは,一国会議員として,政治活動を継続。
若いころに極左武装組織「トゥパマロス」に参加。ゲリラ活動に従事するも逮捕され,1972年8月から1985年3月に釈放されるまでの約13年間,過酷な獄中生活を送る。1995年,左派中道政党「拡大戦線」から立候補して下院議員選挙で初当選。政治家としての道を歩みはじめ,上院議員を経て,2005年に農牧大臣として初入閣。2010年3月1日,第40代ウルグアイ大統領に就任。2012年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連会議でのスピーチが世界中の人びとを感動させ,一躍,時の人となる。
大統領に就任しても,大統領官邸には住まず,農場にある掘っ建て小屋のような自宅に住み,自分で愛車(フォルクス・ワーゲン)を運転して通勤。警備員はひとりだけ。徹底して余分な経費を削減する。奥さんも議員であるので,お金は十分あるとして,大統領としての給料の9割を寄付。残りの1割を貯金。この貯金は,議員を引退してから貧しい人たちと一緒に働く農場を確保するためのもの。ネクタイはなんの意味もないとして着用しない。
こんな大統領が追究したテーマは,豊かさとは何だろう?という問いでした。そして,圧倒的多数は貧しい人たちだ。ならば,その人たちの側に立つ政治を行うのは当たり前のことだろう,と考えました。そのためには,みずから質素な生活を送ることがなにより重要であると考え,議員になる前から住んでいた掘っ建て小屋のような自宅から議会に通うことにした,というのです。
そんな大統領から飛び出してくるスピーチのことばが,世界中の人びとのこころをとりこにしました。以下には,スピーチのなかにでてくる珠玉のことばをいくつか挙げておきたいとおもいます。
〇貧乏な人とは,少ししかものを持っていない人ではなく,無限の欲があり,いくらあっても満足しない人のことだ。
〇西洋の富裕社会が持つ傲慢な消費を,世界の70億~80億の人ができると思いますか。そんな原料がこの地球にあるのでしょうか。可能ですか。
〇なぜ私たちはこのような社会をつくってしまったのですか。マーケット経済の子供,資本主義の子供たち,つまり私たちが,間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作ってきたのです。
〇マーケット経済がマーケット社会をつくり,このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか。
〇私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか。グローバリゼーションが私たちをコントロールしているのではないでしょうか。
〇このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で,「みんなで世界を良くしていこう」といった共存共栄な議論はできるのでしょうか。
〇我々の前に立つ巨大な危機問題は,環境危機ではありません。政治的な危機問題なのです。
といったような名言がつぎからつぎへと繰り出されてきます。こういう初歩的で,しかも,根源的な問いを発する大統領,それがホセ・ムヒカです。そして,かれは,みずから批判する「消費主義社会」から離脱し,あらたな「持続可能な社会」を構築する政治へと舵を切り換え,真剣に取り組みました。
その政治的な実績はともかくとして,まずは,ホセ・ムヒカの「ことば」にぜひ一度,耳を傾けてみていただきたいとおもいます。わたしたちの生き方の,なにが,間違っているのか,がもののみごとに指摘されています。かつて,ものの豊かさはこころの貧しさを導き出す,と大塚久雄(経済史研究者)が指摘し,大きな反響を呼んだことがあります。が,いつのまにか,日本人はそんなことをすっかり忘れ去ってしまっているようです。
その意味でも,この本をお薦めしたいとおもいます。
若いころに極左武装組織「トゥパマロス」に参加。ゲリラ活動に従事するも逮捕され,1972年8月から1985年3月に釈放されるまでの約13年間,過酷な獄中生活を送る。1995年,左派中道政党「拡大戦線」から立候補して下院議員選挙で初当選。政治家としての道を歩みはじめ,上院議員を経て,2005年に農牧大臣として初入閣。2010年3月1日,第40代ウルグアイ大統領に就任。2012年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連会議でのスピーチが世界中の人びとを感動させ,一躍,時の人となる。
大統領に就任しても,大統領官邸には住まず,農場にある掘っ建て小屋のような自宅に住み,自分で愛車(フォルクス・ワーゲン)を運転して通勤。警備員はひとりだけ。徹底して余分な経費を削減する。奥さんも議員であるので,お金は十分あるとして,大統領としての給料の9割を寄付。残りの1割を貯金。この貯金は,議員を引退してから貧しい人たちと一緒に働く農場を確保するためのもの。ネクタイはなんの意味もないとして着用しない。
こんな大統領が追究したテーマは,豊かさとは何だろう?という問いでした。そして,圧倒的多数は貧しい人たちだ。ならば,その人たちの側に立つ政治を行うのは当たり前のことだろう,と考えました。そのためには,みずから質素な生活を送ることがなにより重要であると考え,議員になる前から住んでいた掘っ建て小屋のような自宅から議会に通うことにした,というのです。
そんな大統領から飛び出してくるスピーチのことばが,世界中の人びとのこころをとりこにしました。以下には,スピーチのなかにでてくる珠玉のことばをいくつか挙げておきたいとおもいます。
〇貧乏な人とは,少ししかものを持っていない人ではなく,無限の欲があり,いくらあっても満足しない人のことだ。
〇西洋の富裕社会が持つ傲慢な消費を,世界の70億~80億の人ができると思いますか。そんな原料がこの地球にあるのでしょうか。可能ですか。
〇なぜ私たちはこのような社会をつくってしまったのですか。マーケット経済の子供,資本主義の子供たち,つまり私たちが,間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作ってきたのです。
〇マーケット経済がマーケット社会をつくり,このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか。
〇私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか。グローバリゼーションが私たちをコントロールしているのではないでしょうか。
〇このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で,「みんなで世界を良くしていこう」といった共存共栄な議論はできるのでしょうか。
〇我々の前に立つ巨大な危機問題は,環境危機ではありません。政治的な危機問題なのです。
といったような名言がつぎからつぎへと繰り出されてきます。こういう初歩的で,しかも,根源的な問いを発する大統領,それがホセ・ムヒカです。そして,かれは,みずから批判する「消費主義社会」から離脱し,あらたな「持続可能な社会」を構築する政治へと舵を切り換え,真剣に取り組みました。
その政治的な実績はともかくとして,まずは,ホセ・ムヒカの「ことば」にぜひ一度,耳を傾けてみていただきたいとおもいます。わたしたちの生き方の,なにが,間違っているのか,がもののみごとに指摘されています。かつて,ものの豊かさはこころの貧しさを導き出す,と大塚久雄(経済史研究者)が指摘し,大きな反響を呼んだことがあります。が,いつのまにか,日本人はそんなことをすっかり忘れ去ってしまっているようです。
その意味でも,この本をお薦めしたいとおもいます。
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