2015年11月26日木曜日

「ふくらはぎは第二の心臓です」・李自力老師語録・その65。

 一般に,加齢とともに膝がしっかりと伸びなくなり,曲がったままの状態になっていく傾向があります。膝が曲がったままですと,功夫(ゴンブ)の姿勢のとき,後ろになった脚の膝が曲がってしまいます。すると,どうしても功夫の姿勢が不自然になってしまいます。つまり,安定した力強さが保てなくなってしまいます。ですから,準備運動で,しっかりと膝を伸ばす運動を多く取り入れることが重要ですよ,と李自力老師は強調されます。

 そう仰った上で,膝を伸ばすためのいろいろの方法を教えてくださいました。なかでも,ご自分が子どものころに,10㎏もの錘を使って,20分も30分も我慢して,膝をしっかり伸ばす運動をした経験談が印象的でした。膝がまっすぐに伸びるだけではなく,膝が内側に入り,脚が逆反りになるまでやった,というのですから大変なことです。まあ,李老師の場合には,プロになるための厳しい訓練をいくつも経て,こんにちにいたっているわけですので,身につまされました。

 そんなお話はともかくとして,高齢になってからでも,少しずつ膝を伸ばす運動をやれば,少なくともまっすぐに伸ばすことはできるようになるから,努力しなさい,というご指導が今日の稽古でありました。

 そして,脚は歩行運動の根幹を司っているわけですので,もっとも大事にしなくてはなりません,と。膝が曲がってしまうと,いわゆるお年寄りの歩き方になってしまうので,注意しましょう,と。

 そうして,李老師は以下のような興味深いお話をしてくださいました。要約しておきますと以下のとおりです。

 膝が曲がる原因は,ふくらはぎにあります。ふくらはぎが萎縮してしまい,十分に伸びなくなってしまうからです。ですから,ふくらはぎをしっかり伸ばすことが大事です。そのためには,ふくらはぎに十分な血液が流れるようにしなくてはなりません。そうしないと,痙攣が起きたり,足首からさきの土踏まずや指先にも痙攣が起きて,歩行が困難になってしまいます。その意味で,ふくらはぎは第二の心臓である,と中国では言われています。心臓が十分に働かなくなるということは,命にもかかわってきます。そのつもりで,しっかりとふくらはぎを伸ばす運動をやってください。

 胸にあるほんものの心臓と,ふくらはぎの第二の心臓とが協力することによって,よい姿勢の歩行運動が可能となる,というわけです。太極拳の基本は,歩行運動です。この歩行運動を支えているのはふくらはぎです。ですから,ふくらはぎを,柔らかくて,しなやかによく伸びる状態にしておくことが肝要だ,というわけです。

 なるほどと納得です。最初に「ふくらはぎは第二の心臓です」と聞いたときには,なんのことだろうかと訝りました。が,縷々,説明をお聞きしているうちに,なるほど,と納得しました。

 これからの稽古のときには,あるいは,それ以外のときにも,ふくらはぎを柔らかくする運動を工夫しながら加えていきたいと胸に刻みました。 

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