今日(13日)の大関稀勢の里との一戦。相撲開眼の一番。二人の横綱,二人の大関に跳ね返されたその悔しさをバネにして,しかも四つの負け相撲を教訓にして,今日は見違えるような相撲を展開した。おみごと。
なにがよかったのか。
立ち合いである。
相手の胸めがけて鋭く当たっていくその角度が素晴らしかった。この立ち合いで先手をとることができた。これで稀勢の里の上体が起きたので,その胸を両手で突いて押し込むことができた。なすすべもなくずるずると後退する稀勢の里。が,さすがは大関。ぐっと踏ん張って反撃にでる。こんどは稀勢の里が押し返す。あっという間に遠藤を土俵際まで押し込み,これで勝負あったと稀勢の里は確信したに違いない。しかし,ここからが遠藤の本領発揮である。俵に足がかかった瞬間に,遠藤は左に移動しながら体を右に開き,稀勢の里を送り出す。稀勢の里はがぶり寄りの勢いのまま土俵の外へ。おそらく稀勢の里にしてみれば,真っ正面にとらえて押し込んだはずの遠藤が,一瞬にして姿を消してしまった,まるで忍者のように。稀勢の里にしてみれば,一瞬,なにが起きたのかわからなかったのではないか,と思う。
俵に足がかかった瞬間にすばやく土俵をつたって横に移動するのは,遠藤の得意技の一つである。稀勢の里がそれを知らないはずはない。それほどまでに,稀勢の里は完璧に近い形で遠藤を真っ正面にとらえ,得意のがぶり寄りをみせる。すると遠藤がかんたんに後退したので,そのまま押し出せると確信したために,この遠藤の横への変化に備える間もなかったのだろう。
この土俵際の変化は遠藤が以前から身につけている得意技だ。それが勝因であったかのごとく解説者は説明をしていたが,そうではない。今日の勝因は立ち合いの鋭さ。
低い姿勢から相手の胸元めがけて頭から当たり,両手で相手の胸を突いて押し込み,相手の上体を起こす,この立ち合いである。ちょうど,今場所の日馬富士が連日,みせているあの鋭い立ち合いである。そう,日馬富士戦で遠藤がいっぺんに土俵際まで押し込まれたあの立ち合いである。その立ち合いを自分でもやってみようと反省したのだろうか。もし,そうだとしても,思いついてすぐにできる立ち合いではない。おそらく,何回も何回も繰り返しビデオをみて研究し,稽古場でも試していたに違いない。
そして,それが今日の稀勢の里戦でみごとに成功した。そして,連続5人の横綱・大関戦から一勝をもぎとった。しかも,秘策の立ち合いで。この一勝は大きい。遠藤にとっては相当の自信となったに違いない。立ち合いで先手がとれるようになると,遠藤の相撲が生きてくる。相手の上体を起こしておいてから右で前まわしをつかんで相手の胸に頭をつける体勢をつくれれば,遠藤の相撲となる。
これまでの遠藤は立ち合いが甘かった。それでも相撲がとれていた。ところが横綱・大関はそんなに甘くはない。みんなそれぞれに立ち合いの型をもっている。そこから相手を撃破していく。それが横綱・大関の相撲である,ということを肌をとおして遠藤は学んだことだろう。これまでの4日間はなすすべもなく圧倒されてしまった。そして,それを反省し,研究し,すぐに実行に移すことができる能力がある。そこが遠藤の素晴らしさだ。
明日からは関脇戦だ。今日と同じような立ち合いができれば,勝機は充分にある。今場所は星勘定は度外視して,ひたすら,今日の立ち合いに磨きをかけることだ。そうすれば結果はあとからついてくる。
遠藤が,ほんとうに立ち合いに開眼したのか,それとも,今日はまぐれだったのか,明日からの取り組みが楽しみになってきた。負けが込んでもいい。連日の上位戦をとおして,遠藤の相撲が進化すること。そのすべては立ち合いにかかっている。そして,この立ち合いができるようになれば,そのあとの相撲の取り口にも余裕ができてくる。そうなれば,相撲の幅も広くなってこよう。
久々に賢い力士の登場である。創意工夫を重ねて,やがて遠藤の相撲の型もできあがったこよう。その魁となるのが,今日の立ち合いである。このことを肝に銘じて,精進これあるのみ。
頑張れ,遠藤。これから中盤,そして終盤にむけてどのように進化するのか,日々,楽しみにしている。
なにがよかったのか。
立ち合いである。
相手の胸めがけて鋭く当たっていくその角度が素晴らしかった。この立ち合いで先手をとることができた。これで稀勢の里の上体が起きたので,その胸を両手で突いて押し込むことができた。なすすべもなくずるずると後退する稀勢の里。が,さすがは大関。ぐっと踏ん張って反撃にでる。こんどは稀勢の里が押し返す。あっという間に遠藤を土俵際まで押し込み,これで勝負あったと稀勢の里は確信したに違いない。しかし,ここからが遠藤の本領発揮である。俵に足がかかった瞬間に,遠藤は左に移動しながら体を右に開き,稀勢の里を送り出す。稀勢の里はがぶり寄りの勢いのまま土俵の外へ。おそらく稀勢の里にしてみれば,真っ正面にとらえて押し込んだはずの遠藤が,一瞬にして姿を消してしまった,まるで忍者のように。稀勢の里にしてみれば,一瞬,なにが起きたのかわからなかったのではないか,と思う。
俵に足がかかった瞬間にすばやく土俵をつたって横に移動するのは,遠藤の得意技の一つである。稀勢の里がそれを知らないはずはない。それほどまでに,稀勢の里は完璧に近い形で遠藤を真っ正面にとらえ,得意のがぶり寄りをみせる。すると遠藤がかんたんに後退したので,そのまま押し出せると確信したために,この遠藤の横への変化に備える間もなかったのだろう。
この土俵際の変化は遠藤が以前から身につけている得意技だ。それが勝因であったかのごとく解説者は説明をしていたが,そうではない。今日の勝因は立ち合いの鋭さ。
低い姿勢から相手の胸元めがけて頭から当たり,両手で相手の胸を突いて押し込み,相手の上体を起こす,この立ち合いである。ちょうど,今場所の日馬富士が連日,みせているあの鋭い立ち合いである。そう,日馬富士戦で遠藤がいっぺんに土俵際まで押し込まれたあの立ち合いである。その立ち合いを自分でもやってみようと反省したのだろうか。もし,そうだとしても,思いついてすぐにできる立ち合いではない。おそらく,何回も何回も繰り返しビデオをみて研究し,稽古場でも試していたに違いない。
そして,それが今日の稀勢の里戦でみごとに成功した。そして,連続5人の横綱・大関戦から一勝をもぎとった。しかも,秘策の立ち合いで。この一勝は大きい。遠藤にとっては相当の自信となったに違いない。立ち合いで先手がとれるようになると,遠藤の相撲が生きてくる。相手の上体を起こしておいてから右で前まわしをつかんで相手の胸に頭をつける体勢をつくれれば,遠藤の相撲となる。
これまでの遠藤は立ち合いが甘かった。それでも相撲がとれていた。ところが横綱・大関はそんなに甘くはない。みんなそれぞれに立ち合いの型をもっている。そこから相手を撃破していく。それが横綱・大関の相撲である,ということを肌をとおして遠藤は学んだことだろう。これまでの4日間はなすすべもなく圧倒されてしまった。そして,それを反省し,研究し,すぐに実行に移すことができる能力がある。そこが遠藤の素晴らしさだ。
明日からは関脇戦だ。今日と同じような立ち合いができれば,勝機は充分にある。今場所は星勘定は度外視して,ひたすら,今日の立ち合いに磨きをかけることだ。そうすれば結果はあとからついてくる。
遠藤が,ほんとうに立ち合いに開眼したのか,それとも,今日はまぐれだったのか,明日からの取り組みが楽しみになってきた。負けが込んでもいい。連日の上位戦をとおして,遠藤の相撲が進化すること。そのすべては立ち合いにかかっている。そして,この立ち合いができるようになれば,そのあとの相撲の取り口にも余裕ができてくる。そうなれば,相撲の幅も広くなってこよう。
久々に賢い力士の登場である。創意工夫を重ねて,やがて遠藤の相撲の型もできあがったこよう。その魁となるのが,今日の立ち合いである。このことを肝に銘じて,精進これあるのみ。
頑張れ,遠藤。これから中盤,そして終盤にむけてどのように進化するのか,日々,楽しみにしている。
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