2012年2月2日木曜日

「足の指全体で大地をつかむようにして立つ」(太極拳・李自力老師語録)・その3.

太極拳の稽古中に,李自力老師は,しばしば名言を吐かれる。それらは長年の経験と伝統によって練り上げられてきた珠玉のようなことばである。李老師は,細心の注意を払いながら,そのときどきにふさわしいことばで説明をしてくださる。

すでに,いくつもの名言を聞き,そのときは「なるほど」と感動とともに納得するものの,愚かな弟子はすぐに忘れてしまう。これではあまりに勿体ないので,これから折にふれ,李老師の名言を書き留めておこうと思う。題して「李自力老師語録」。今日は「その1.」。

1.「足の指全体で大地をつかむようにして立つ」

重心の置き所を示す名言。太極拳は基本的に「武術」である。したがって,いつ,いかなるときにも,仮想の敵が存在する。そのために忘れてはならないことは,その仮想の敵に対して,いつでも,瞬時にして動くことのできる姿勢が求められる。その要領のひとつが「足の指全体で大地をつかむようにして立つ」である。

太極拳の重心の置き所は足裏全体の真ん中ではない。ましてや「かかと」ではない。足裏全体のやや前,土踏まずの前の部分,足指の付け根あたりに重心を置く。そして,足の指全体で大地を「つかむ」ようにして立つ。つまり,一本,一本の指がそれぞれ独立して大地をつかむ要領で。

起勢のときの両足で立つときから,まずは,はじまる。これが立つ姿勢の基本となる。そして,両腕を静かに肩の高さまで押し上げるときには,さらに,微妙な体重移動をともなう。上げた両腕を押し下げるときも同様である。仮想の敵を念頭におけば,その理は明らかである。膝の曲げ伸ばしをともなうときも同じである。

両足から片足に重心を移していき,片足で立つときも同じである。太極拳の動作の基本は「歩行」運動にあるので,常時,片足ずつ体重移動を繰り返す。このときも,きちんと「足の指全体で大地をつかむようにして立つ」ことが肝要である。

以上が,李老師がわたしたちに説明してくださったことを,わたしの理解の範囲で,わたしのことばに置き直したものである。もし,間違いがあったら,忌憚なくご指摘いただきたい。李老師に確認して,修正を加えていきたい。そして,よりよい「語録」にまとめ上げていきたい。みなさんのご協力をいただければ幸いである。


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