2012年6月1日金曜日

日本はいま非常時なのだという認識が欠けている。15%の節電がなんだ。

 「3・11」以後,日本は非常事態に陥っている。それはいまもつづいている。その事実をひた隠しにする人びとがいる。原子力ムラの住民たちだ。15%の節電が必要だと主張したのは関西電力だが,その背中を押していたのは原子力ムラの人びとだ。この人たちの意のままに日本政府までも動かされている。そして,決断力のない政府は,なにもできないまま無為の時間に流されていく。そのつけは全部,国民がかぶっている。

 なんという情けない図式なのだろう。

 15%の節電がなんだ。日本は「非常時」なんだという認識があれば,こんなことは簡単だ。そうではなく,「3・11」以前の,欲望のかぎりをつくす消費生活を維持しようとするから怯えるのだ。それこそ,この夏だけは不便を覚悟で乗り切ろうと決断すればそれでいいのだ。たった,それだけのことだ。経済が少々,傾こうが,人間の命を守ることの方が先決だ。人間の命を守ってから,つぎのステップを踏み出せばいい。

 わたしは,「3・11」以後,日本は「非常事態宣言」をすべきだ,と主張してきた。フクシマがあれほど危機的な状況になっていたにもかかわらず,ひたすら,その事実を隠し,当面の間は大丈夫だ,と嘯いた。そして,年末には,早々にフクシマの「収束宣言」まで出して,なにもなかったような顔をすることにした。ひどい奴らだ。

 にもかかわらず,いまだに,フクシマの原発が,なぜ,あの状態のままでありつづけるのか,専門家にもわからないという。だから,これから,どのような手順でフクシマの後片付けをするか,という方法すらわかっていないのだ。たまたま,偶然に,これ以上に悪化しない状態にたどりついただけのことだ。それも,いつまでこの状態が維持できるかはだれも保証できないという。ちょっとした異変が起きたら,なにをすればいいのか,だれもわからない状態なのだ。そのとき,そのときで試行錯誤をくり返すしか方法はないという。つまり,未知の世界なのだ。

 つまり,人類が誇るサイエンスもテクノロジーも,手も足も出せない世界なのだ。いつ,異変が起きて,大爆発がはじまっても少しも奇怪しくない,というのだ。だから,週刊誌は,フクシマの第4号機が危ないらしいとか,あるいは,どこどこの原発は老朽化していて,いつ,異変が起きても奇怪しくない,と書き立てる。しかし,これを否定することはだれもできないのだ。いつ,なにが起きても不思議ではない,そういう「未来」をわたしたちはいま生きているのだ。

 だから,さしあたりは,つぎつぎに老朽化していく原発をいかにして廃棄し,処分するか,そのサイエンスとテクノロジーを早急に開発しなければならない。そのサイエンスとテクノロジーが確立しないかぎり,日本は永久に「非常時」から抜け出せないのだ。そういう,きわめて危険な「綱渡り」をしながら,わたしたちのいまの生活が成り立っているのだ,ということをはっきり認識すべきだ。

 この点をひた隠しにしつづける原子力ムラの人びとの「狂った」理性にわたしたちは振り回されている。もう一度,言おう。15%の節電がなんだ。そのために経済が落ちこんだとしても命に別状はない。その間に,原発以外の再生可能なエネルギーを確保すればいい。こちらは民間まかせで,国は後押ししようともしない。

 しかし,そんなことも大したことではない,とわたしは考えている。「3・11」によって,わたしたちが改めなくてはならないことは,ライフ・スタイルの基本だ。テレビは点けっぱなし,掃除,洗濯,食器洗い・・・,なにからなにまで「電力」に頼りっぱなし。そして,会社のオフィスも,デパートも,スーパーもコンビニも,明るすぎる。駅の構内も真昼のように明るい。こんなに電気を浪費している国は日本以外には存在しない(と,わたしが見てきたかぎりでは言える)。わたしたちは,いつのまにか,電気はいくらでも使えるものだ,と刷り込まれてしまったのだ。その仕掛け人が原子力ムラの住民なのだ。わたしたちは,その隘路から抜け出さなくてはならない。そのためには,わたしたち一人ひとりが,電力に頼らなくてもいいライフ・スタイルを確立することだ。

 それはちょっとした工夫で可能だ。みんなで,できるところから始めればいい。

 暑いときは暑い,寒いときは寒い。つい,この間まで,わたしたち日本人はみんなそういう生活をしてきたのだ。そのことを考えれば,15%の節電なんて,どうということもない。それも次世代の電気が確保されるまでの間だ。

 その15%に怯えたと,嘉田由紀子滋賀県知事が白状している。そんなヤワな人だったのだ。その他の人びとも同じように右へならえをしてしまったのだ。ハシシタ君だけはしたたかに,その前に政府と取引をしている。加えて,脱原発依存の問題を,つぎの選挙まで積み残しにしておき,話題を盛り上げて人気を持続させるための道具として温存した。したたか者だ。

 みんな振り回されてしまったのだ。大山鳴動してねずみ一匹。

 わたしたち国民は,騙されないように,要注意。ご用心あれ!

 電力の過不足に関係なく,どんどん節電してやろうではないか。電気なんかなくなっても「死ぬ」ことはない。

 15%がどうした。

 それより,フクシマのこれからが怖い。使用済み核燃料棒が怖い。

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