2012年6月28日木曜日

世田谷区の生涯大学を訪問してきました。

 田園都市線の三軒茶屋から世田谷線に乗り換えて,若林駅で下車,徒歩6分ほどのところにある世田谷区の生涯大学に行ってきました。世田谷線に乗車するのは,たぶん,1960年代の学生時代以来のことで,感慨深いものがありました。

 そのころは,沿線にある家はまばらで,畑が一面に広がっていたように記憶します。それに比べると,いまは,沿線に家がびっしり建っていてあまりのどかとは言えませんが,それでも,民家の軒先をかすめるようにして走る車窓からの風景は趣きがあって,懐かしさが込み上げてきました。

 なにより,電車の車両が新しくて,むかしとは一変していて驚きました。スピードは相変わらずゆっくりで,早ければいいという時代には希少価値のある電車だと思いました。今回は,わずかに三軒茶屋から若林まで4分ほどの乗車でしたが,次回には,終点まで乗ってみたいと思いました。東京都内をゆっくりと走る電車は,ここくらいしかないのでは・・・と思ったりして・・・・。

 線路には,あちこちに蔓草の雑草が這っていて,枕木を覆い隠しているところもあって,なんだか気持がなごみました。線路わきには,上に伸びる雑草が生えていて,これも楽しい景色でした。まだ,花はつけていませんでしたが,カンナや白粉花やコスモスなども散見され,これからどんな風に景色を彩るのだろうか,などと想像したりして楽しみました。

 なにより驚いたのは,若林駅は無人でした。下車したときに,駅の改札口がありません。このまま出ていってしまっていいのだろうか,と一瞬,躊躇してしまいました。向かい側の下車口を確認してみたら,そちらにもなにもありません。そして,お客さんが自由に出入りしています。それをみて,ようやく安心して,わたしも駅の構内の外にでました。こういう駅が,まだ,東京都内に存在するということに,なんだかまだ新しい可能性があるな,と妙な感動を覚えました。

 若林駅から徒歩6分のところに,世田谷区の老人会館があり,その中に生涯大学がありました。この生涯大学で長い間,講師をしていらっしゃる土井和代さんの紹介で,生涯大学主催の講演(10月)を依頼されていましたので,そのご挨拶を兼ねて,簡単な打ち合わせにでかけたという次第です。館長さんのご説明をお聞きし,なるほどと納得しましたので,講演のテーマもその場で即決。テーマは「オリンピックの未来を考える」。これなら,この夏のオリンピックがどんな展開になろうとも,いかようにも対応できるという次第です。

 これで,すっきりしましたので,ついでに,土井さんの授業を見学させていただきました。ちょうど,芥川龍之介の「地獄変」が取り上げられていて,その読後報告が生徒さん(といっても60歳以上)によってなされていました。たまたま,「地獄」とはどんなところなのだろうかという問題意識で,調べてきたことの報告がなされていました。かなりの高齢者の方もいらっしゃって,この人たちが文学に取り組む姿に妙な感動をしてしまいました。

 昼食は,土井さんのご案内で近くにある国士館大学のスカイラウンジでとることにしました。10階だったでしょうか,とても眺めのいいところで,その景色を堪能しながら同郷の先輩「杉浦民平」さんの話で盛り上がりました。帰路,松陰神社に立ち寄り,松下村塾の復元された建物をみつけました。そのむかし訪ねたことのある萩市の本ものはこんな建物だったのだ,と懐かしく思い出されました。

 午後からは,健康体操という授業に土井さんが参加されるというので,この授業も見学させていただきました。とてもよく工夫されていて,なるほどなぁ,と感動してしまいました。60歳以上のご老人を対象とする健康体操をどんな風に指導されるのだろうか,とじつは楽しみにしていました。やはり,長年の現場の蓄積から生み出されたノウハウは,なかなか味のあるものでした。そうか,こんな風にして授業が展開されているのだ,と納得。

 帰路,三軒茶屋で土井さんとお茶をしながら,ずいぶんといろいろの話に花が咲き,時間を忘れていました。やはり,同郷の人との会話は楽しいし,かなりの部分を省略しても郷里の話は通じてしまうところが,なんともありがたいものだと思いました。

 今日は,久しぶりにふだんとはまったく異質の刺激をたくさんいただき,とてもいい勉強になりました。いつも同じルーティンの繰り返しはよくない,ときには,まったく違う世界と接触することの大事さをひしひしと感じました。これからも果敢にそういう経験を求めていきたいと思いました。

 このあと,渋谷で毎日新聞社の取材を受けました。この話はまたいずれ。
 とりあえず,今日のところはここまで。

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