2012年9月22日土曜日

能面アーティスト・柏木裕美さん,いよいよブレークの予感。

 能面アーティスト・柏木裕美さんの画廊企画展が成功裏に終了しました。ご本人はブログで遠慮がちに,とても充実した展覧会だった,と書いていらっしゃる。が,じつは,今回のこの企画展は柏木さんがいよいよ世界に向けて羽ばたく道を開く,記念すべき展覧会だったのです。

 太極拳の兄妹弟子が,大きく世界に向けて羽ばたくきっかけとなる現場に立ち会えたことは,わたしにとっては望外の喜びでした。西谷修さんと柏木さんは,毎週1回,ともに汗を流すもっとも身近な親しい友人です。その柏木さんがいよいよブレークする,そんな予感に満ちた,充実した展覧会でした。

 わたしは,柏木さんには特別の恩義を感じていましたので,展覧会の全期間,お手伝いをさせていただきました。というのも,柏木さんには,8月の猛暑の中,神戸市外国語大学で開催された第二回日本・バスク国際セミナーの期間中(前後6日間),能面の展示と実演とプレゼンテーションという三つもの役割を担って参加していただきました。これは実行委員長の竹谷さんの強い希望もあって,わたしから柏木さんにお願いをしました。柏木さんはとても快く引き受けてくださり,国際セミナーを大いに盛り上げてくださいました。ほんとうにありがたいことでした。

 そうしたら,こんどは柏木さんから,会場の見張り番の手が足りないので「伏して,伏して,伏してお願い」というメールが入りました。三回も「伏して」お願いされたらお断りすることはできません。そこでわたしは「義をみてせざるは友なきなり」と気合を入れた返信メールを送り,6日間,銀座のギャラリーG2へ通うことになりました。単なる「番人」程度のお手伝いのつもりでしたが,結果的には,柏木さんの幅広い人脈のうちの主だった人がみなさん押しかけてくださり,その人たちを丁寧にご紹介していただき,知己をえることができました。これはとてもありがたい経験でした。

 その筆頭は,このギャラリーのオーナーであり,陶芸作家でもある狩野炎立さんとその娘さんに出会えたことです。じつをいいますと,今回の展覧会は,柏木さんの知人であるアーティスト(造形作家)の佐藤伊智郎さんのご紹介を仲立ちにして,この炎立さんのご希望で可能となったものでした。もう少し書いておきますと,オーナーの炎立さんが「優れた能面作家がいるとは聞いていたが,まだ,見たことがないので,持っている面を全部展示してほしい」というのがことの発端でした。

 ですから,2室ある画廊の壁面すべてを使って,所狭しとばかりに180面もの能面が展示されることになりました。こんな展示の仕方は普通ではありえないことです。が,結果的には,迫力満点の圧巻の展覧会となりました。いまだから白状しておきますが,6日間,この画廊の中は能面の発する気のようなものが感じられ,ひとりでいるときには,姿の見えない人が何人も出入りしている気配を感じていました。これはこれで,とても面白い経験でした。

 オーナーの炎立さんもすぐに「気が充満している」のを感じられたそうで,見えないところに盛り塩をするように娘さんに指示されたそうです。そして,第二日目にじっくりと作品を鑑賞されていました。そして,あとで伺った話では,まずは,これらの能面の中から7面を選んで,10月にローマで開催される「Affordable Art Fair」に持っていくこと,さらに,もし,ローマで評判がよければ,炎立さんのギャラリーの姉妹店のあるニューヨークに,もっと多くの作品を持っていこうと考えている,とのことでした。

 かくして,いよいよ柏木さんの作品が海外に進出する,その展望が一気に開かれることになりました。こういう現場に立ち会える幸運はそうそうあるものではありません。その意味でも,とてもラッキーでした。

 さらに,ここに書いておきたいことはたくさんあるのですが,このあたりで今回は終わりにしておきたいと思います。

〔追伸〕
 昨日(21日)の午後,柏木さんからメールがあり,24日(月)の『毎日新聞』朝刊のコラムに,この展覧会の記事が掲載されるとのことです。担当記者は論説委員でもある落合博さん。じつは,落合さんは夕刊のコラム「スポーツを考える」でわたしを取り上げてくださった方です。そして,その掲載紙を直接,この画廊にとどけてくださった方です。ところが,柏木さんの能面展をみてびっくりされ,翌日,再度,画廊を訪れて,こんどは熱心に柏木さんに取材をしていらっしゃいました。が,まさか,こんなに早く記事になるとは夢にも思っていませんでした。これもまた柏木さんの能面の発する迫力のなせる技以外のなにものでもありません。こんごの柏木さんのご活躍が楽しみです。

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