2015年1月30日金曜日

アートを学ぶ人たちの前に立つことになりました。驚きと歓喜。

 ある日,突然,小澤慶介さんという方からメールが入ってきました。原則的に知らない人からのメールは開かないことにしています。ですから,このお名前をじっと眺めて,どうしようかと考えました。しかし,そのときの直観は「開け」でした。そこで恐る恐る開いてみました。そうしたら,とても丁寧な文章で,まずはお詫びからはじまり,ご相談の主旨が的確に書かれていて,ほっとしました。意外に直観というものは当たるものだ,とわれながら驚きでした。

 さて,その小澤さんとお会いしてお話を詳しくお聞きしているうちに,ああ,これは断れない,いや,喜び勇んでお引き受けしなくてはいけない,と途中から立場が逆転していました。そこが,まさに小澤さんの炯眼のなさしめるワザでもありました。

 まずは,わたしのブログを追跡して読みました,と切り出しました。そして,読めば読むほどに,この人に講演をしてもらいたいと強くおもうようになりました,と仰る。もう,ここで勝負ありです。その上で,テーマは「東京オリンピック1964と2020」という二つのオリンピックの間に日本人の身体はどのように変化したのか,というもので,それをスポーツというアングルから話してほしい,と仰る。もう,ここまで聞いた段階で,わたしは嬉しくてたまらず,早速,こんなことが言える・・・・というような話をはじめていました。

 小澤さんは聞き上手で,ひとしきり話が盛り上がったところで,そういうお話をぜひともお願いします,となりました。もう,あとには引けません。前にでるしかありません。面白そうなので,ぜひ,やらせてください,ということになりました。

 そんな話が終わったところで,じつは・・・と言って,西谷修さんのお話がでてきました。学生時代に西谷先生のゼミに入りたかったのですが,どうも敷居が高いと自分で判断して,遠くから羨望のまなざしで眺めていました,とのこと。でも,その思いを忘れることができないまま,その後もずっと西谷先生のお仕事は追っかけています,と。そして,いまもなお多くのことを学ばせていただいています,と。で,勇気を出して西谷先生とコンタクトをとって,西谷先生にも講演をお願いしています,とのこと。

 なるほど,そういうことであったか,と。これですべてが瓦解しました。なーんだ,それならそれと最初から言えばいいのに・・・と。でも,小澤さんの偉いのは,やはり,まずは自分で努力をして自分の眼で確かめた上で,自分の意思でわたしとの接触をはかったことです。ますます,小澤さんという人物が好きになってしまいました。

 話が前後してしまいましたが,小澤さんは,NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ〔AIT/エイト〕のMADプログラム・ディレクターをされている方です。MADとは,現代アートの学校:Making
Art Different (アートを変えよう,違った角度で見てみよう)の略称です。

 
そして,NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ〔AIT/エイト〕とは,現代アートを考えるさまざまな「場」をつくるため,2001年に設立したNPO。アーティストやキュレーター,美術館やギャラリーのほか,企業,財団,行政と連携しながら,現代アートの複雑さや多様さ,驚きや楽しみを伝えています,とこのリーフレットには説明されています。

 現代アートの学校MADは5つの「ジェネラル・スタディーズ」,3つの「アドバンス・スタディーズ」,3つの「ゼミ」およびす「MADフェンバーガー」から構成されています。その詳細は下の写真のとおりです。読んでみますと驚くべき内容が提示されています。思わず,わたしが受講してみたくなるようなプログラムになっています。

 
わたしの出番は「アドバンス・スタディーズ」の中にありました。それによりますと,テーマ①「二つのオリンピックの間で変容するカラダ」(2015年4月~6月)という通しテーマで3人の講師が,それぞれのスタンスから話をすることになっています。わたしに与えられたテーマは「オリンピックの変容からカラダを考える」というものです。こうなってきますと,いまから,もう,どんな話をしようかと胸が高鳴ってきます。このワクワク感がたまりません。

 なぜなら,この「アドバンス・スタディーズ」の中の「アートの存在論へ──3.11以後から考える」のテーマのもとで,西谷修さんも「破局に向き合い,創造を思考する」というお話をされることになっているからです。まことにもって光栄です。ありがたいことです。

 
講師一覧をみますと,それぞれの専門の分野で大活躍されていらっしゃる方たちばかりです。そんな中で,たとえアイウエオ順だとはいえ,わたしの名前がトップにでてきますと,これでいいのかなぁ,といささか腰が引けてしまいます。と同時に,ちゃんと責務を果たすべく頑張らねば,という気持にもなってきます。まあ,いまさらどたばたしても仕方がありませんので,少なくとも自分に納得のいくお話ができるように準備をしたいとおもいます。

 
いずれにしましても,アートはスポーツからも養分やエネルギーを得ようとする,このアイディア/姿勢に接し,こういう時代になってきたんだなぁとおもうと同時に,こういうアイディアを展開させる小澤慶介さんは凄い人だなぁ,と感心してしまいます。その小澤さんの期待に応えるべく,わたしも頑張らねば・・・とますます考えてしまいます。

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