2012年8月21日火曜日

『古事記』関連本が書店に平積み。1300年目とか。

  もう,しばらく前から『古事記』に関する本が書店で眼につきはじめていました。が,そういう情報にうといわたしは,いまごろ,なぜ,とひとりで不思議に思っていました。ところが,わたしの住む溝の口の書店にも,いまごろになってようやく,一番目立つところに『古事記』関連の書籍だけを集めて平積みにしているのをみて,おやっ?と思いました。

 その多くは『古事記』の現代語訳であったり,口語訳であったりし,場合によっては意訳と創作とが半々になっていたり,と種々雑多です。が,要するに読みやすくしてある,というだけの話だと思いながら手あたり次第に本をめくっていたら,なんということはない,ことしは『古事記』が編纂されて「1300年目」の節目だということがわかりました。そのことを教えてくれたのは『現代思想』の「5月臨時増刊号」総特集・古事記・1300年目の真実(2011年4月刊,2012年2月第二刷,青土社)でした。ああ,そういうことだったのか,とえらく納得です。

 ならばということで,ついでに『古事記』関連の何冊かの本を買ってしまいました。もちろん,『現代思想』の「5月臨時増刊号」も。こういうときは,佐藤優のいうように(『読書の技法』東洋経済新報社),「超速読法」を用いて(一冊に5分),本のよしあしについてのあたりをつけます。しかし,まだ,熟達していませんので,ときにはこんな本を買ってしまって・・・と後悔することも少なくありません。

 『現代思想』の総特集・古事記・1300年目の真実,は初版が2011年4月刊となっていますので,この本の企画は「3・11」以前になされ,原稿もそれまでには全部揃っていたようです。ですから,言ってしまえば,この特集は「3・11」以前の発想で構想され,原稿依頼をし,内容もそのまま掲載されたと考えてよいでしょう。

 しかし,いま,わたしたちは「3・11」後を生きるたいへんな現実と向き合っています。おそらく,第二次世界大戦で敗戦を迎えたときにも匹敵するほどの大きな転換期だとわたしは認識しています。それどころか,わたしたちの「ライフ・スタイル」を根底から建て直す必要があるという意味では,長い人類史的スパンからみても画期的なできごとだ,と考えています。

 そういう時代にあって『古事記』の1300年を振り返るということは,いったい,なにを意味しているのでしょうか。まさか「3・11」のようなできごとが起こるとは夢にも思っていなかったときに企画され,その方針にもとづいて刊行された『現代思想』総特集が,ことしに入って第2刷と増刷されています。しかも,雑誌としては安くありません(1500円)。なのに,この雑誌もまた平積みになって,溝の口の書店にも並ぶようになっているのです。

 よく売れそうな本は,あらかじめ都心の大型書店が買い占めてしまって,地方の書店にはまわってきません。今回の『古事記』関連本も,約1年遅れで,ようやく地方の書店に並ぶようになったという次第です。

 まあ,それはともかくとして,とりあえずは『古事記』がどのように読まれようとしているのか,しばらくは注目してみたいと思います。少なくとも,「3・11」以前の時代に引き戻すために仕掛けられた罠ではない,と信じて。それどころか,「3・11」後の時代を展望する上で,『古事記』関連本をどのように読むことが可能か,を探りながら。

1 件のコメント:

竹村匡弥 さんのコメント...

kappaは釣られて、三浦佑之著『古事記を読みなおす』を読んでしまっただにぉ。馬鹿な僕しゃんでもかなり読みやすかっただにぃ。
話し言葉のように書かれているだに・・・

高校生の時から、疑問だっただにぉぉぉ。
ほぼ同じ時に「記」と「紀」、なんで二つも書いたんだにか・・・謎だにぉぉぉ。。。しかも内容が・・・

時代によっていろいろな読まれ方(利用)をされているんだにぉ・・・