10月22日(木)の東京新聞が,日本大学に新しく増設される「スポーツ科学部」について,大きな記事として扱っている。そして,その見出しが仰々しい。
日大が「五輪養成学部」
競技向上に特化「まず東京で成果を」
スポーツ科学部 大嶋,エドバー進学へ
教員も大物ずらり
とまあ,鳴り物入りの記事の書き方だ。
これを読んだ第一印象は「甘い」というものだ。
この「甘い」には二つの意味がある。
一つは,記事の書き方が「甘い」。
もう一つは,日本大学の考え方が「甘い」。
前者は新聞社のデスクの問題。この記事は記名記事なので,直接的には「森合正範」氏の考え方が「甘い」ということになろうか。オリンピック選手を養成するにはこれが一番と考えているらしいが,はたしてそうだろうか。日本大学といえば,古橋広之進をはじめ,国際的にその名を馳せた名選手を何人も輩出してきている。その人たちは,みんな文学部や法学部といった専門の学問を学びながらスポーツに打ち込んできた。また,それが魅力で,普通の学部の勉強をしながら,スポーツにも全力を投じたいという学生さんが集ってきた。
それを,なぜ,わざわざ「スポーツ科学部」に特化して,オリンピック選手養成を目指すことがベストであると考えるのだろうか。この点は,たぶん,世間の考え方とも一致しているのだろう。普通の学部で勉強しながらよりも,スポーツ科学部で専門の勉強をしながら,競技に打ち込む方が効率的である,と。記者氏も日本大学の経営者も,考え方としては同じであろう。
ならば,あえて,問おう。日本には,すでに,体育・スポーツ系の単科大学はいくつもある。さらに,体育・スポーツ系の学部もいくつもある。言ってしまえば,ありあまるほどだ。大学や学部によっては,学生を掻き集めるのに苦労しているところも少なくない。しかも,これらの単科大学や学部から,オリンピック選手が,圧倒的に多く輩出しているかといえば,必ずしもそうではない。
むしろ,総合大学の一般の学部から,オリンピック選手はいくらでも生まれている。はたして,この事実はなにを意味しているのだろうか。熟慮を要する点だ。
もう一点。「教員も大物ずらり」と新聞の小見出しにあるので,どんな人たちかとみてみると「日大スポーツ科学部の主な教員」として,以下の人たちの名前があがっている。陸上:小山裕三・森長正樹,水泳:上野広治,柔道:北田典子,体操:西川大輔,の5名。言っては悪いが,このレベルの指導者なら,体育・スポーツ系の単科大学にはいくらでもいる。いや,もっと名前の知られた指導者を,もっと多く集めている。体育・スポーツ系の学部でも同じだ。
それと,名選手,必ずしも名指導者とは限らない,ということ。選手時代はほとんど無名であったが,指導者として名をなした人もいくらでもいる。
最後にもう一点。新聞の見出しによれば,「スポーツ科学部 大嶋,エドバー進学へ」とある。この二人は,インターハイなどで男女の短距離で活躍した高校生だ。どのような経緯で,この二人の進学が決まったのかは記事にはないのでわからないが,相当に熱心なスカウティングがなされただろうということは想像に難くない。それどころか,高校生の名選手の過激なスカウティングが,こんごますます盛んになり,それによる弊害の方が,無視できなくなってくるのなはないか,とどこか危ぶまれて仕方がない。
以上,凡人の杞憂まで。
競技向上に特化「まず東京で成果を」
スポーツ科学部 大嶋,エドバー進学へ
教員も大物ずらり
とまあ,鳴り物入りの記事の書き方だ。
これを読んだ第一印象は「甘い」というものだ。
この「甘い」には二つの意味がある。
一つは,記事の書き方が「甘い」。
もう一つは,日本大学の考え方が「甘い」。
前者は新聞社のデスクの問題。この記事は記名記事なので,直接的には「森合正範」氏の考え方が「甘い」ということになろうか。オリンピック選手を養成するにはこれが一番と考えているらしいが,はたしてそうだろうか。日本大学といえば,古橋広之進をはじめ,国際的にその名を馳せた名選手を何人も輩出してきている。その人たちは,みんな文学部や法学部といった専門の学問を学びながらスポーツに打ち込んできた。また,それが魅力で,普通の学部の勉強をしながら,スポーツにも全力を投じたいという学生さんが集ってきた。
それを,なぜ,わざわざ「スポーツ科学部」に特化して,オリンピック選手養成を目指すことがベストであると考えるのだろうか。この点は,たぶん,世間の考え方とも一致しているのだろう。普通の学部で勉強しながらよりも,スポーツ科学部で専門の勉強をしながら,競技に打ち込む方が効率的である,と。記者氏も日本大学の経営者も,考え方としては同じであろう。
ならば,あえて,問おう。日本には,すでに,体育・スポーツ系の単科大学はいくつもある。さらに,体育・スポーツ系の学部もいくつもある。言ってしまえば,ありあまるほどだ。大学や学部によっては,学生を掻き集めるのに苦労しているところも少なくない。しかも,これらの単科大学や学部から,オリンピック選手が,圧倒的に多く輩出しているかといえば,必ずしもそうではない。
むしろ,総合大学の一般の学部から,オリンピック選手はいくらでも生まれている。はたして,この事実はなにを意味しているのだろうか。熟慮を要する点だ。
もう一点。「教員も大物ずらり」と新聞の小見出しにあるので,どんな人たちかとみてみると「日大スポーツ科学部の主な教員」として,以下の人たちの名前があがっている。陸上:小山裕三・森長正樹,水泳:上野広治,柔道:北田典子,体操:西川大輔,の5名。言っては悪いが,このレベルの指導者なら,体育・スポーツ系の単科大学にはいくらでもいる。いや,もっと名前の知られた指導者を,もっと多く集めている。体育・スポーツ系の学部でも同じだ。
それと,名選手,必ずしも名指導者とは限らない,ということ。選手時代はほとんど無名であったが,指導者として名をなした人もいくらでもいる。
最後にもう一点。新聞の見出しによれば,「スポーツ科学部 大嶋,エドバー進学へ」とある。この二人は,インターハイなどで男女の短距離で活躍した高校生だ。どのような経緯で,この二人の進学が決まったのかは記事にはないのでわからないが,相当に熱心なスカウティングがなされただろうということは想像に難くない。それどころか,高校生の名選手の過激なスカウティングが,こんごますます盛んになり,それによる弊害の方が,無視できなくなってくるのなはないか,とどこか危ぶまれて仕方がない。
以上,凡人の杞憂まで。
0 件のコメント:
コメントを投稿