2015年10月24日土曜日

「日本の中央政府はイカれている」(佐藤優)。

 10月23日(金)の東京新聞「本音のコラム」で,佐藤優さんがきっぱりと言い切っています。これを読んで,わたしの胸のつかえがすーっとおりていきました。

 「国家機関の申し立てを身内の国家機関が判断するのだから,結果はあらかじめわかっている。こんな茶番劇で新基地建設を強要できると考えている中央政府はイカれている。」

 
そう,翁長沖縄県知事が,辺野古の埋め立て承認を取り消したことに対して,防衛省沖縄防衛局が,不服審査請求と取り消しの効力停止を,同じ政府の国土交通相に申し立てた件の話です。言ってしまえば,防衛省がやっていることに対して,沖縄県が文句を言ってきたので,仲間うちの国土交通省にその判断を求めて決着をつけようとしている,という小学生でも笑ってしまうような茶番劇というわけです。

 こんな茶番劇で,お茶をにごして,辺野古埋め立てを「正当化」して,強行突破しようとしているのですから,佐藤優さんのみならず,だれしも「中央政府はイカれている」と,腹立たしくおもうのは当たり前でしょう。

 しかも,この手続は違法だと多くの法律の専門家たちは主張しています。佐藤優さんも指摘していますように,行政不服審査法は,第一条で目的を「国民の権利利益の救済を図る」と明記されているのです。ですから,政府や地方自治体などの行政機関同士の紛争を対象とした法律ではありません。それを無理矢理,防衛省を「私人」と見立てて,この手続は正当であると主張しているのです。いつ,だれが,防衛省のやることを「私人」の場合と同じだ,と(ワル)智恵をつけたのでしょう。こういう詭弁を用いるのは高級官僚の,それもエリート官僚のやりそうなことであって,並の政治家ではここまで頭がまわりません。自分の出世や天下りのためには,あらゆるワル智恵を働かせるのがエリート官僚の「本能」のようなものです。

 そのワル智恵のしり馬に乗って,のうのうと政治権力を振り回すのが,悪党の政治家たちです。その先陣を切っているのか,アベルフ・シンドラーだというのですから,もはや話になりません。佐藤優さんではないですが,「中央政府はイカれている」としかいいようがありません。

 しかも,佐藤優さんは,この短いコラムの最後のところで,きわめて重大な予告をしています。
 「日本の中央政府が,沖縄県の決定を茶番劇で覆そうとするならば,沖縄では,差別が構造化された日本法に対する不服従運動が起きる」と。それも,きっぱりと断言しています。わたしの,あまり多くはない沖縄情報からしてみても,不服従運動が起きる可能性はきわめて大である,とおもいます。それどころか,沖縄独立論に火がつくのではないか,とすら考えています。

 相撲でいえば,「猫騙し」のような手で目くらましをかまし,勝ち星を稼ごうなどという政府は,あまりに幼稚で,甘いとしかいいようがありません。やはり,国家の命運をあずかる政府としては,「イカれている」以外のなにものでもありません。

 情けないかぎりです。だれが? われわれ国民の意識の低さが。政府に舐められてしまう無抵抗ぶりが・・・・。なんとも情けないかぎりです。もっともっと声を出して,意思表明をしていかなければなりません。SEALDs の若者たちのように。

 安保関連法案は通過してしまいましたが,いまのアベ政権は臨時国会も開けないほど腰が引けています。国会前で声をあげ,デモをしたことが,かなりのカウンター・ブローとなって効いている証拠です。これからも手綱を緩めてはなりません。これから,もっともっと抗議行動を持続させ,盛り上げていくことが重要だとしみじみおもいます。

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