2016年2月3日水曜日

「死角をつくらない」・李自力老師語録・その67。

 今日(2月3日)の稽古では,第6式のゾーヨー・タウチェクンについて,丁寧な指導がありました。
 一つは,肩の力の抜き方
 二つには,腕の伸ばし方
 三つには,手首の伸ばし方
 四つには,肩の回し方(脇を固めないで,脇をゆったりと開くように)
 五つには,腰の回し方(お尻全体を回すように)
 六つには,ゆっくり回すこと
 以上の6点でした。

 いずれもことばで説明するのはむつかしいところですが,なんとか挑戦してみましょう。

 まずは,肩の力の抜き方・・・肩の関節をゆるめる。股関節をゆるめるときと同じように。じつは,これがとてもむつかしいのです。水平に前に伸びている腕を支えながら,肩関節を「ゆるめる」のは至難のわざです。でも,何回も繰り返しているうちに,なんとかそれらしい感覚はつかめてきます。が,じつは,半信半疑です。こんな感じかなぁ,と探りながらの稽古しか,まだ,できません。でも,目標がはっきりしたことだけは事実です。

 つぎは,腕の伸ばし方・・・・これまで見よう見まねでやってきましたが,基本的なことがわかっていませんでした。基本は,肩から指先まで,大きな円弧を描くように伸ばすこと。直線ではありません。つまり,肩・肘・手首・指のすべての関節に「ため」を残しておくこと。ということは,いざ,というときにいかなる動作にも対応できる備えをするということです。

 三つ目は,手首の伸ばし方・・・ごく自然に前腕の延長線上にゆったりと伸ばすこと。大きな円弧の延長線を描くように。手首を手前に深く折り曲げたり,後ろにそらさないこと。ここでも脱力が大前提です。

 四つ目は,肩の回し方・・・スピードを殺して,ゆっくりと腰の回転でまわすこと。前に伸びている腕を急いでまっすぐ引いてしまうと,脇が締まってしまいます。これを「死角」と呼びます。この死角ができると,敵に攻められたときに守る方法がありません。ですから,この死角をつくらないことが重要です。そのためには,引く腕をゆっくりと内側に回転させながら,肘をやや外側に開くようにして,脇に「ため」を残しながら腰をゆっくりと回転させることです。

 五つ目は,腰の回し方です。股関節をゆるめながら腰を回転させる,これが正しいやり方です。しかし,股関節をゆるめながら・・・というのはとてもむつかしいので,お尻全体を回すと考えてみましょう。すると,ふつうの動作としてできます。最初はこれでいいのです。お尻全体を回しながら,股関節をゆるめることを目指せばいいのです。肩はこの腰の回転とともにゆっくりと回ることになります。

 六つ目は,ゆっくり回すこと・・・前に出ている腕を一気に引き戻そうとすると,脇が固まってしまって窮屈になり,「死角」をつくることになってしまいます。ゆっくり腰を回転させること,この腰の回転と肩の回転が同調していれば,脇はゆったりと開いたままで,そこに「ため」ができます。そうなれば,おおらかな,ゆったりとした,それでいて力強いタウチェクンが現れてきます。

 以上が,李老師の教えを,わたしの理解の範囲でまとめてみたものです。

 この説明を聞いてから,李老師のタウチェクンをじっと観察してみましたら,まだまだことばにはできない微妙な動きがあちこちに埋め込まれていることが,ほんの少しだけ見えてきました。それを教えてもらえる日が早くくるように,今日の教えをできるだけ早くマスターしなくては・・・と密かにこころに誓いました。

 太極拳は奥が深い。ほんとうに深い。今日の稽古でいまさらのようにおもいました。気を引き締め直して,精進しなくては・・・・。

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