2012年7月4日水曜日

連続講演「スポーツとはなにか」第2回「伝統スポーツの存在理由について考える(於・神戸市外国語大学)。

神戸市外国語大学の客員教授という肩書をいただいて,ことしで4年目になる。ありがたいことである。これまでの3年間は,前期・後期にそれぞれ集中講義をおこなってきたのだが,ことしは年4回の市民公開の講演をやってほしいとのこと。ならば,というので「スポーツとはなにか」という通しテーマを立てて,それをさらに4分割して,それぞれの回ごとに各論的なテーマを立てることにした。

その第1回目は,去る5月10日(木)に「スポーツのルーツについて考える」というテーマでお話をさせていただいた。神戸市外国語大学の竹谷和之さんに助けていただいて,映像や画像の資料を用意してもらい,わたしはその上に胡座をかいているだけの,もったいないようなお世話をしてもらっている。

今回も同様で,第2回目は,7月6日(金)の午後2時30分~4時まで。つまり,明後日。場所は神戸市外国語大学の正門を入ってすぐ左側の三木記念会館。参加申し込み不要。無料。どなたでも聴講できるとのこと。市民の方がたを中心に,学生さんもちらほら,というのが第1回目の様子でした。

第2回目のテーマは,「伝統スポーツの存続理由について考える」。ついでに,こんごの予定を書いておくと以下のとおり。
第3回目:「グローバル・スタンダードとしての近代スポーツについて考える」・11月30日(金)。
第4回目:「21世紀を生きるわたしたちのスポーツについて考える」・2013年1月25日(金)。

スポーツとはなにか。この大きな問いに応答するために,「ルーツ」を考え,「伝統スポーツ」を考え,「近代スポーツ」を考え,「21世紀のスポーツ」を考える,という四つの柱を立てて考えてみようというのである。

子どものころからスポーツが大好きで,というより屋外で遊ぶことが大好きだった。寺の本堂の屋根に登って叱られ,その本堂よりももっと高い椋の木に登って叱られ(この木の一番高いところに登るには,途中で「逆上がり」をしなければならなかった。しかし,それを達成するとはるか遠くに海を眺めることができた),夏は親の目を盗んでは大きな川に泳ぎに行き(2度ほど溺れている),四つ手をもって魚を追い,天気の悪い日は傘をさして釣り糸を垂れ,囮を使ったメジロとりに熱中したり,ときにはチャンバラごっこで勇気を競ったり,と年柄年中,なにかを見つけては熱中して遊んでいた。サマー・タイムのあったころ(1948年ころ?)には夜の9時すぎまで明るかったので,腹ぺこなのに遊びに熱中した。

スポーツらしいスポーツとしては野球が最初だった。そのあとは体操競技,登山,スキー,テニス,卓球,バドミントン,水泳,と幅を広げ,いまは太極拳。

そして,いつのまにやら「スポーツとはいったいなんなのか」と考えるようになり,その謎解きのために「スポーツ史」の領域に踏み込んで,こんにちに至っている。スポーツの歴史を勉強することによって,スポーツとはなにか,のかなりの答えをみつけることはできた。しかし,いまだに,その核心の部分がわからない。というよりも,自分で納得できる答えがみつからない。仮説はいくつかみえてきた。しかし,それらあまりに表面的で,ありきたりである。そんな仮説よりもはるかに深いところに,わたしが探し求めている「解」がある,ということがおぼろげながら透けてみえてきた。その「解」をわがものとしたい。

今回は「伝統スポーツ」が存続する理由はなにかを考えることだ。ここには,「伝統スポーツ」とはなにかという根源的な問いと同時に,なぜ,「伝統スポーツ」がいまも存続しているのか,その根拠を問うというふたつの問題系がある。

この問題系をわたしの思考方法に置き換えると,思想・哲学的な思考と歴史的な思考とが渾然一体となったところで成立する,そういう思考方法ではないか,と考えている。そうして,最近になって,わたしにとってもっとも納得のいく「解」に到達するための重要なヒントを提示してくれるるものの根幹をなすものが,マルセル・モースの『贈与論』であり,ジョルジュ・バタイユの『宗教の理論』であり,ピエール・ルジャンドルの『ドグマ人類学』である。そこに,以前からの蓄積である仏教経典(たとえば,『般若心経』)や西田幾多郎の『善の研究』や・・・・という具合にいくつもの宗教哲学や思想・哲学が加わっていく。

つまり,「スポーツとはなにか」と問うことは「人間とはなにか」と問うこととイコールになってくる。それほどに奥の深いものだ,と考えている。だから,一筋縄ではない。

で,明後日の7月6日(金)には「伝統スポーツ」が存続する理由について考えることになっている。これもまた,とんでもなく大きなテーマであるが,なんとかその輪郭だけでもわかりやすく語ることができれば,と考えている。これからその構想を練るところ。

興味と時間のある方は,ぜひ,神戸市外国語大学でお会いしましょう。お待ちしています。



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