2011年5月25日水曜日

小出裕章さんの参議院での陳述にサブイボが立つ。

5月23日の西谷修さんのブログ「小出裕章・後藤政志さんら,参議院で陳述」を読んで,そのなかに紹介されていた「参議院USTREAM中継・脱原発への道」のアドレスを開いて,サブイボが立ってしまった。サブイボとは鳥肌のこと。これは必見の中継。

きちんと紹介しておくこう。「参議院行政監視委員会」行政監視,行政評価及び行政に対する苦情に関する調査(原発事故と行政監視システムの在り方に関する件)。参考人,小出裕章(京都大学原子炉実験所助教),後藤政志(元東芝原子炉エンジニア),石橋克彦(神戸大学名誉教授・地震学),孫正義(ソフトバンク株式会社代表取締役社長)。この人たちが順番に意見陳述をしていく。それぞれの参考人に与えられた時間は短いものであったが,その迫力たるや抜群。なかでも,わたしは小出裕章さんの発言にフリーズしてしまった。

それにしても,参議院の行政監視委員会が,よくも,これらの人たちを参考人として招聘し,意見を聴く場を設けたものだと,ある意味では感動もした。なぜなら,これらの人びとは,NHKをはじめとするマスメディアからは忌避され,排除されてきた人たちだからだ。それを承知で参議院が招聘してそれらの人たちの意見に耳を傾けたことは,高く評価してよいと思う。いや,むしろ,大きな拍手を送りたい。

なかでも小出裕章さんの陳述に,目の前で落雷を受けた大木が真っ二つに引き裂かれていくような,身の毛もよだつ衝撃を感じた。小出さんは,きわめて冷静に,重大な問題点に焦点をしぼり,的確な事実を提示しながら,しかも,気迫をこめて,ことばを選びぬいた陳述を展開。そのすべてを紹介したいところだが,わたしには不可能なので,残念ながら,強烈な印象に残ったところだけを紹介しておこう。

小出さんは,原子力こそ未来を照らすエネルギーだと信じてこの研究の世界に身を投じた,と切り出しながら,途中で,これほど危険で手に負えないエネルギーはないということに気づき,その危険性に警鐘を鳴らしつづけてきた,という。原子力関連の裁判闘争の証人にも立ち,反原発の闘争を展開してきた,という。その上で,つぎのように語る。
高速増殖炉の開発は不可能である,ということが歴然としているにもかかわらず,そこに巨額の資金を投じて,いまも研究開発をつづけている。こんなことが野放しにされていていいのか,と問う。これは,詐欺罪に相当する,と。1億円の詐欺をはたらくとほぼ1年の実刑になるのが過去の判例から明らかだが,モンジュの開発費だけで,すでに1兆円を投じている。したがって,この開発の関係者を詐欺罪で訴えたとしたら,全部で1万年の実刑に相当する。100人で分けもったとしても100年の実刑に相当する,という。こんな馬鹿げたことが野放しにされていることの「狂気」こそが重大問題だ,と指摘。

また,つぎのようにも指摘する。ヒロシマの原爆は800グラムのウランが使用された。しかし,原発1基が1年で消費するウランは1トンになる,と。つまり,ヒロシマの原爆に換算すると1000発以上に相当する,と。こういう原発が日本国内に54基ある。もちろん,定期的に点検に入っているので,すべての原発が稼働しているわけではないが,とんでもない量のウランが絶えず消費されていることに間違いはないのだ。

これ以上のことは,ぜひ,USTREAMで確認してみてください。
全体的な印象としては,原子力村(最近,このことばが踊りはじめた)はやりたい放題の,しかも,狂気の集団のたむろしている村落共同体だ,というものだ。困ったことだが,それが,現実なのだ。だとしたら,まずは,この原子力村の解体からとりかからないかぎり,脱原発はとうていかなわない夢のまた夢に終わりそうだ,ということだ。

その意味では,これからが正念場だと言ってよいだろう。
それは,ちょうど,福島原発の封じ込めに,いまだに「決め手」がみつからないまま,事態はますます悪化していることと同じだ。ここをどのように「通過」するか,日本の将来のすべてがかかっているといっても過言ではない。わたしたちも,そのつもりで監視をつづける必要がある。そして,できるところから行動に移すこと。でないと,日本の将来には夢も希望もなくなってしまう。

これからも小出裕章さんの発言に注目していきたい,としみじみ思ったしだいである。
ひとまず,今夜はここまでとする。

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