2012年10月19日金曜日

1票の格差が5倍を越える不平等。選挙制度<違憲状態>(最高裁)からの脱出を。

「3・11」以後,これまでみごとに隠蔽されてきた日本の恥部が,「非常時」の対応のまずさからからつぎつぎに明るみにでてきて,そのあまりにもひどい実態を眼にし(それもまだほんの一部でしかないようだ),もはや打つ手もないのか,と頭を抱え込んでしまいます。毎日,毎日,くる日もくる日も,新聞を眺め,テレビをチェックし,ネット情報をサーフしながら脳裏に浮かぶことは,いまや,日本国および日本人の根幹にかかわる部分からメルトダウンを起こしている,というです。こんなにひどい国だったのか,そして,こんなに駄目な国民だったのか,と。そして,そんなことも知らずにのほほんと生きてきた自らの姿勢を,こころの底から悔やんでいます。

悔やんでばかりいても仕方がないので,遅まきながら,これからは悔やまなくて済むような生き方,行動の仕方,思考の練り直し(とくに,思想・哲学のブラッシュ・アップ)に残りの「生」の時間をそそぎたい,と泥縄のような覚悟をすることにしました。

脱原発への舵切りもできない政治家たち,見て見ぬふりをしつづける沖縄の基地問題に対するヤマトンチュ,省庁をあげての復興予算の分捕り合戦(被災地不在のまま,復興とはなんの関係もない部署に巨額の予算を配分),その復興予算審議で必死になって正当化しようとする政府の「愚」(眼にあまる責任転嫁,官僚の権力に政治家が怯えているとしかいいようがない),検察と司法がぐるになった「茶番」裁判(前福島県知事佐藤栄作久有罪判決,こんな例は山ほどあるという,メディアもそれを批判しない),検察による偽造文書作成,教育委員会をめぐる学校現場の問題(いじめ問題だけではない),肝心要の原子力規制委員会のいい加減さ(人事,役割分担,権限,など),尖閣諸島国有化の「愚」,領土問題をめぐる対応のお粗末さ,などなど。もうすでに,記憶から消え去ってしまったものまで拾えば際限がなくなります。

そんな中で,たった一つだけ,これも遅きに失しているとはいえ,ほんのわずかな光明をみる思いがしていますが,それも儚い幻に終わってしまうのでしょうか。それは,最高裁が出した結論「前回の参院選での一票の格差は<違憲状態>」だと断じたことです。しかも,「このままなら次の選挙は無効」とまで踏み込んだ判事もいたということです。ついでに言っておけば,衆院選での格差もすでに<違憲状態>だと最高裁は断じていることを記憶している人も少なくないでしょう。

もう,いまを去ること何十年前になるでしょうか(調べればわかることですが),一票の格差が2倍を越えたときに,不平等である,違憲だ,という議論が沸き起こりました。が,しかし,この一票の格差是正を解消するための権限をもっているのも,じつは,格差選挙によって選ばれた議員たちです。ですから,自分たちの首を締めるようなことには消極的でした。これまでにも,何回も議論としては持ち上がりますが,そして,具体的な提案もいくつかありましたが,いずれも一長一短で,お互いに叩きつぶしてしまい,改正案の成立をみるまでもなく,ずるずるとこんにちに至っているというわけです。とうとう,いまでは,一票の格差が5倍を越える選挙区まで存在するといいます(鳥取と神奈川)。ということは,2倍を越える格差選挙区はどれほどあるのだろうか,と考えてしまいます。新聞各社はぜひこの際,調べて選挙民に知らせる義務があります(しかし,それすら,いまの大手新聞社はやろうとはしないでしょうが・・・)。こんな失態を許してきたわたしたちが悪いのですが,議員もまた「無責任」のそしりをまぬがれることはできません。

国会議員の選挙制度が最高裁で<違憲状態>だと断じられた上に,このままの選挙は「無効」であるという判事まで現れた以上,このまま放置するわけにはいかないでしょう。それこそ,日本国の根幹にかかわる重大事です。日本人としての見識まで問われる大問題です。おまけに,もう目の前に迫りつつある総選挙も,このままでは「無効」になってしまいかねない,避けては通れない道です。となれば,現行の選挙制度を改正しないことには選挙もできません。民主党政権にとっては渡りに舟かもしれません。またぞろ,選挙制度改正案を提出して,時間稼ぎに走るには絶好のチャンスですから。

でも,この際ですから(ここまでメルトダウンを起こした重篤な事態にあることを考えれば),選挙制度調査特別委員会を立ち上げて,国民のだれもが納得のできる格差を2倍以下に抑える制度を立案・提案してほしいものです(長年の既得権などという議論を切り捨てて)。そして,積年のウミを一気に押し出すことをしないかぎり,国民の意志を国会に正しく反映させることはできません。とりわけ,原発推進か脱原発かを問う選挙になることを考えれば,つまり,日本という国家の命運を懸けた選挙になるということを考えれば,いましか,やるときはないのではないかと思います。それとも<違憲>と言われようが,なんと言われようが,厚顔無恥のいまの政治家たちは,国民の意志を無視して,(時間がないを理由に)現行制度のまま押し切ってしまうのでしょうか。

能面アーティストの柏木裕美さんの作品に「仏の顔も三度」という創作能面があります(柏木さんのブログをご覧ください)。大きな耳のついた,いや,巨大な耳のついた美しく気品のある顔をした小面です。もう,これ以上は許しませんよ,という柏木さんの覚悟が表出しているように思います。わたしたちも,その能面に負けないように,こんどというこんどこそ「覚悟」をもって選挙に立ち向かわなくてはいけないと考えています。

長くなってしまいましたが,今日のところはここまで。

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