2014年1月5日日曜日

大國魂神社の拝殿の右側の狛犬には「子ども」がいる。「子連れ狛犬」? 出雲幻視考・その15。

 正月元旦の午後,初詣にでかけた府中の大國魂神社の拝殿の右側の狛犬には「子ども」がいて,乳を飲んでいる。びっくりしてしまって,「まさか?」と思って,この狛犬のまわりをひとまわりして,もう一度,しっかりとこの眼で確かめてみた。間違いなく「子ども」が乳を飲んでいる。ということは,こちら側の狛犬さんは母親であり,雌である。「子連れ狛犬」だ。こんなことは初めての経験である。いったい,どうなっているのだろうか,と考え込んでしまう。

 出雲系の神社には,ときおり,不思議な仕掛けがしてあるから,要注意。


 慌てて,左側の狛犬さんを確かめてみる。しかし,拝殿のすぐ前なので,人でいっぱい。向こう側にわたることができないので,人並みの頭越しにカメラを掲げて撮影。画像をズーム・アップして大きくしてみたが,どうやらこちらには「子ども」はいない。だとすれば,こちらは父親?で雄?ということらしい。

それから,もう一点。狛犬の口に注目していただきたい。あとで,もう少し詳しく触れるが,とりあえず,この雌雄の狛犬さんの口は,どちらも「阿」でもなければ「吽」でもない。その中間の口になっている。
 それとついでに言っておけば,顔全体の雰囲気は沖縄のシーサーにとてもよく似ている,ということだ。このことについては,また,別途,考えてみたい。


 狛犬に雄・雌があるということを知っている人はどのくらいいるだろうか。わたしは,何年か前に高槻市の公民館に頼まれて講演をしたことがある。その折に,上宮天満宮の宮司さんが聞きにきておられて,終わったあとお話をする機会があった。わたしとしては,千載一遇のチャンスとばかりに,じつは,このあと上宮天満宮にお参りに行くつもりです,と申し入れをした。もちろん,大歓迎してくださって,社務所の中まで案内してくださり,お茶までいただき,のみならずお土産(お酒とお菓子)までいただいてしまった。

 その折に,宮司さんが,上宮天満宮の拝殿の前で,狛犬さんに雄・雌があるのをご存じですか,という。「えっ?ほんとうですか?」とわたしは思わず大きな声を挙げてしまった。右側の狛犬さんをよくご覧になってみてください,と仰る。わたしは迷うことなく,狛犬さんの股間を覗き込んだ。なるほど,そんなにリアルではないが,よくみるとそれらしき形をしたものが上に向かって,彫り込まれている。「うーん」と唸ってしまった。

 すぐに,わたしは左側の狛犬さんに向かう。そして,覗き込んでみる。なにもない。つるんとした下腹部がみえるだけ。そうか,こちらは雌なんだ,と納得。このとき宮司さんは,明確に「雄」と確認できる狛犬さんはここだけです,と仰ったように記憶する。でも,こんなことは大したことではない,と軽く受け流していた。

 しかし,なぜか,その後も意識のどこかにつよく引っかかるものがあって,神社に行くと,必ず性別を確認する。その癖がついてしまった。が,どこの神社に行っても性別は確認できない。だから,上宮天満宮だけが「特別」なのだ,と考えることにしていた。しかし,なぜ,ここの狛犬だけが「雄」を主張しているのか。その謎は解けないままだった。

 だから,今回の「子連れ狛犬」との出会いは,まさに,びっくり仰天である。これほど明確に「雌」を主張する狛犬には出会ったことがない。やはり,出雲系の神社にはなにかが引喩として隠されている。最初のころはみんな承知していたはずだ。しかし,いつのまにか,その理由が忘れられてしまい,なにがなんだかわからないようになってしまった。そういう事例はたくさんある。民俗芸能のなかにはそういうものがいっぱいだ。なんだかわからないが,大事に,先祖代々,伝承されてきているのだ。

もう一点は,狛犬さんの口。これも今回が初めての出会いであった。二対とも半開きの口。狛犬といえば「阿」「吽」と決まっていると信じていた。しかし,そうではない。そのいずれでもない口。まことに不思議だ,と思っていたら,この境内にはもう一対,どちらも「吽」の口の狛犬さんがいた。




 どんなことがあっても口は割らないぞ,という強い決意表明のようにわたしには見える。なんの口を割らないのか,「出雲族の秘密を」,とこれはわたしの勝手な推測。だから,わたしは「出雲の謎解きにお力を」と初詣のときにお願いをした。が,そのすぐあとに,この一対の「吽」という狛犬さんに出会った。やはり,無理なのか・・・・,と。でも,諦めたら駄目だ。諦めたらそれでおしまい。しかし,探しつづけていれば,いつか,どこかでその「解」に出会うだろう。

 当分の間,神社めぐりはつづきそうだ。そのテーマもどんどん増えていく。
 
 楽しい限り。「謎解き」の夢は多いほどいい。

最後に,もう一度,「子連れ狛犬」の写真を。とくと,ご覧ください。




 
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