2015年10月26日月曜日

『SEALDs  民主主義ってこれだ!』(SEALDs編著,大月書店)を読む。必読です。

 とうとう鷺沼の書店でみつけました。二日前には,この書店にはありませんでした。今日(24日)になっても,溝の口の書店にはまだありません。10月20日発売と聞いていましたので,すぐにも手に入るものとおもっていましたが,そうは問屋が卸しませんでした。

 この本が目に入ったとき,あったぁ!とおもわず小さな声で叫んでいました。急いで,どうしても必要な本は,アマゾンで買うことが常態化しています。しかし,やはり,本というものは自分の手にとって,匂いを嗅ぎ,中味を拾い読みしてから購入しないと,どこかしっくりきません。若いころからの本の購入の仕方がからだに染み込んでいるからです。

 ですから,ようやくにしてこの本を見つけたときは,むかしの恋人に出会ったような気分でした。急いで,中味を拾い読み。わたしの場合には,右手の親指でページを流していく習慣になっていますので,後ろのページから拾い読みです。いわゆる,逆読みです。つまり,「あとがき」から。

 
ところが,この本には「あとがき」なるものはありません。最初に目に入ってきたのは,真っ黒な紙が2枚,つまり,4ページ。もちろん,なにも書いてありません。あわてて,表の表紙を開いてみたら,やはり,同じつくりになっていました。なるほど,黒いページが8ページあるぞ,と考え込んでしまいました。ふつう内扉は1枚(2ページ)だ。なのに,その倍ある。これは単なるデザイン上の問題だけではないだろう,と勝手に推測する。

 と,こんな風にして,あちこちページをめくってみると,ふつうの本にはない,とても面白い編集になっていることがわかりました。とうとう,書店で立ったまま,1ページずつ,全部めくってみることになってしまいました。そして,なるほど,こんなつくりになっているんだ,と感心してしまいました。こんなにぐいぐいと内容に引き込まれてから本を購入するという経験も珍しいことでした。

 なんで,こんな書き出し方をしているのかというと,これまで慣れ親しんできた本のつくり方からすれば,相当に逸脱した,自由奔放なつくりになっているからです。なにかのカタログのような雰囲気もあれば,思いがけないページに著名人のメッセージが織り込まれていたり,といった具合です。まさに,奇想天外。自由自在の発想がそのまま本づくりに表出しているのです。ですから,ページをめくりはじめると,途中でやめることができなくなってしまう,そういう不思議な魅力的な仕掛けになっています。

 こんな本のつくり方があるのだ,とおもわず感心してしまいました。奥付をみると,そこには「スタッフ」の分担一覧が書いてあります。アートディレクター,デザイナー,チーフエディター,エディター,フォトグラファーのそれぞれに担当した人の名前が入っています。ということは,この本は,すべてSEALDs のメンバーによる手作りなんだな,ということがわかってきます。ということは,この人たちが智恵を出し合って,さんざん議論をし,最終的に落ち着いたのが,この本のつくりとなって現れているのだ,とわかります。

 そこで,はっと気づくのは,こんなところにも,かれらの主張である「民主主義ってこれだ!」のひとつの答えが隠されているということです。「民主主義ってなんだ!」から進化して,「民主主義ってこれだ!」にいたったその経緯も,こんなところにも表出しているんだ,とこれまた感心してしまいました。

 もう,はっきり断言しておきましょう。この本は素晴らしい,と。それも単なるお世辞ではなくて,本というものの概念を変えてしまうほどのインパクトをもっているという意味で,素晴らしい,と。まさに,民主主義というものを,本づくりにおいて実践してみたら,こんなものになった,というみごとなサンプルになっているのです。むしろ,それは驚くべきことだ,というべきでしょう。

 言ってしまえば,この本そのものが「民主主義ってこれだ!」の,ひとつの答えを提示しているといっていいとおもいます。みんなで,どんな本にしようか,というところから模索しながら,さまざまな提案をたたき台にして意見を交わし,紆余曲折を経て,とりあえずの落としどころをみつけていく,このプロセスそのものが,SEALDsの模索する「民主主義」のひとつのサンプルになっている,とわたしは受け止めました。ですから,SEALDsという運動体の内実が,この本のつくり方からも窺い知ることができる,というわけです。

 なお,本文を読んでいくと,もっともっと面白い発見が随所にでてきます。SEALDs とはなにかを知り,かつ,民主主義とはなにかを考える絶妙のテクストになっています。

 ぜひ,ご一読を。読み始めたら止まりません。
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