2014年11月16日日曜日

「48会」(愛教大卒業生の会)に参加。「美術する身体」展を鑑賞のあと,懇親会で旧交を温めてきました。

 昭和48年(1973年)に愛知教育大学に入学した学生さんたちの集まりなので「48会」。わたしが同大学に勤務したのが,その翌年,昭和49年(1974年),36歳のときでした。これがわたしの初めての定職でした。それまでは非常勤講師やらなにやら,いろいろのことをしながら食いつないでいました。ですから,愛知教育大学に就職が決まったときは,これでなんとかやっていけると安堵したものでした。それだけに気合も入りました。

 その最初のゼミ生たちの会,それが「48会」です。言ってみれば,お互いにとても新鮮な出会いでした。まだ,教員の採用も多く,学生さんたちもみんな教員をめざして,大きな夢をいだきながら,元気よく学生生活を楽しんでいました。わたしもまた,長年,待ち望んだ大学教員としてのスタート点に立ったばかりのほやほやです。その人たちとの最初のゼミ生としての出会い。やはり,強烈な印象となって,いまも鮮明に記憶しています。

 年齢が近かったこともあったと思います。大学のなかには,まだ,70年安保の余韻も色濃く残っていました。ゼミ生以外には,熱烈な闘士もいました。そういう闘士たちと研究室で夜遅くまで激論を闘わしたこともありました。わたしとは主義主張も異なりましたので,どこまでも平行線でした。なかには「高給取りのくせに」と食い下がる学生もいましたので,「じゃあ,お前のおやじさんの給料明細書をもってこい。おれのも見せてやる」という話になりました。その結果,わたしの給料が学生の思っていた額よりもはるかに少なかったのでショックを受けていました。

 当時の愛知県の教員の給料のランクは,同一年齢で比較してみたら,名古屋市の教員が一番,つぎが愛知県の県立の教員が二番,ビリが国立の教員でした。これには,わたし自身もショックでした。ああ,そうなのか・・・・と。でも,難癖をつけてきた学生さんとは,その後,とても仲良しになりました。が,主義主張は相変わらず平行線。それでいいのだ,と諭したのですが,かれは納得できないと一歩も譲りませんでした。

 それに引き換え,どういうわけか,わたしのゼミ生はみんな穏健というか,自分の主義主張を強烈に主張するというよりは,わきまえている学生さんが多かったようです。ですから,とてもいい雰囲気でゼミを展開することができました。わたしはとても幸運でした。

 卒業後はみんな教員となり,それぞれが理想とする教員としての道を歩みました。校長職をめざして頑張る人もあれば,平教員であることを理想として生きた人もあれば,途中で,教職を辞し,方向転換した人もいます。なかには政治に身を投じた人もいました。人,それぞれに生きざまは異なりますが,それでいいのだ,といまは心静かに見守ることができるようになりました。

 その彼らも,もう,定年を迎えています。早い人はことしの3月で定年。その多くは来年3月で定年です。時間の経つのは早いものです。あの,紅顔可憐な美少年,美少女たちが,いつのまにか年輪を重ね,それぞれにいい顔をつくり上げています。なにより生き方に自信がみなぎっています。そして,とても情緒が安定しています。こういう人たちと,お互いに若かりしころに出会い,刺激を与え合いながら,Strum und Drang の激情を生きたのかと,いまさらながら懐かしさが込み上げてきます。

 今回の企画は,最初にまず「美術する身体」展(金山の名古屋ボストン美術館)をみんなで鑑賞してから,懇親会というものでした。ですから,懇親会では,この美術展の話で盛り上がり,いつのまにかピカソの話題に入ったあたりから,わたしのテンションが異常に高くなってしまい,気がついたら日本古代の蘇我氏の話を夢中になってしゃべっていました。さすがにみんな聞き上手で,適切な合いの手を入れてくれましたので,わたしはますます図に乗ってしまった,という次第です。みなさんにはとんでもない迷惑をかけてしまった,といまごろになって反省。いつもは,できるだけ聞き役に徹することをみずからに言い聞かせてきたのですが,今回はその路線から大いに逸脱してしまいました。

 来年もこの会は開催されるということですので,こんどは気をつけようと思います。
 久しぶりに興奮してしゃべったせいか,今日の体調は抜群にいいようです。ありがたいことです。やはり,いい話し相手と夢中になってしゃべることは,老後の健康維持にとっては最良の妙薬だ,と痛感しました。

 これからは,日常的にもおしゃべりをする時間をきちんと組み込まなくては,と思っています。
 「48会」に集まってくださったみなさん,ありがとうございました。そして,その幹事役をつとめてくださったH君,ありがとうございました。

 では,また,来年,お会いしましょう。それまでお元気で。

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