2014年11月9日日曜日

日馬富士,逸ノ城を一蹴。格の違いをみせつける。

 右眼窩骨折による休場明けの横綱と,破格の出世をした新関脇との一戦。どんな展開になるのか,今場所の命運を分ける一戦になる,とわたしは判断。眼をこらしてテレビ観戦。

 わたしの予想どおりに,日馬富士は素早い立ち合いから突き刺さるような右喉輪。立ち遅れた逸ノ城は棒立ちのまま防戦一方。がまんができなくなった逸ノ城ははたきにでた。押し込まれてからのはたきは負けを呼び込むのみ。案の定,そのまま日馬富士に寄り切られて勝負あり。横綱が格の違いをみせつけて圧勝。

 相撲の地力の違いをそこにみる。

 まずは立ち合い。日馬富士にはいくつもの立ち合いの秘策(引き出し)がある。それに引き換え,逸ノ城には立ち合いの妙は,先場所,みせた「はたき」のみ。真っ正面からぶち当たって攻め込む立ち合いの「芸」はまだない。要するに相撲が甘い。稚拙。

 スピードの違い。逸ノ城は「合わなかった」(立ち合いが)と感想を述べたそうだが,もし,「合って」いて,逸ノ城も一歩踏み込んでいたら,日馬富士の右喉輪をまともに受けて,のけぞっていたことだろう。そうなれば,また,日馬富士の独壇場。とっさに左上手を引いて出し投げで土俵に叩きつけることもできる。あるいはまた,相手のふところに飛び込み,両まわしを引いて,低い姿勢から寄り切るという正攻法もある。

 この一番をみるかぎりでは,今場所の逸ノ城は相当に苦戦を強いられることになるだろう,と思う。先場所,負けた相手は徹底的に研究してくるだろう。そして,逸ノ城の弱点をついてくるだろう。それらの攻撃をさばくだけの力量はまだない。いまのところはがっぷり右四つに組み止めて,それからの勝負しかない。立ち合いからいっきの「はたき込み」は,もはや,通用しないだろう。

 今日の相撲をみるかぎりでは,逸ノ城は完全に横綱の発するオーラに呑み込まれていた。先場所の逸ノ城とはまるで別人だった。やはり,新関脇という地位に,名前負けしているようにもみえた。先場所は,ビギナーズ・ラック一色だった。失うものはなにもない,ただ,無心でぶつかっていくだけ。あとは力まかせに左から投げを打つ。それで勝ちを拾っていた。

 しかし,今場所は違う。新関脇という肩書を背負っての場所だ。固くなるのはよくわかる。しかし,相手は横綱だ。失うものなどなにもない。真っ向から体当たりをかますくらいの気魄が欲しかった。それがないので,まるで迫力のない立ち合いとなった。

 まあ,いずれにしても,格の違いというものの恐ろしさすら感じられるほどの,今日の一番だった。逸ノ城にはいい勉強になったのではないか,と思う。まだ,初日だ。明日から,一番,一番,気魄を籠めた立ち合いに専念すること。そうして,がっぷりり右四つに組みとめる「芸」を身につけること。そうなれば,また,先場所のような活躍が期待できようというもの。

 それにしても,相撲の地力の違いというものを,しっかりと見せてくれた一番だった。さすがは,横綱・日馬富士。この調子で,今場所こそ,大暴れを期待したい。絶好調で白鵬との千秋楽の一番がみられたら,これはもう勝負を度外視した,素晴らしい相撲に立ち会うことになる。そろそろ,そういう大一番を期待したいものだ。

 頑張れ。日馬富士。大いに楽しみ。そして,逸ノ城へは気魄をもて,とエールを送りたい。
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