2014年12月21日日曜日

連続講座「”アイデンティティ”をめぐる戦い──沖縄知事選とその後の展望」(島袋純)を聴講してきました。

 氷雨の降るなか,法政大学市ヶ谷キャンパスまででかけてきました。寒さから身を守るために完全武装をして。それでも寒いと震えながら。

 今日(20日)は,連続講座・「沖縄の地鳴りを聞く」の第2回目。第1回目がとても素晴らしい講座でしたので,今回もさぞかし・・・と期待しての聴講でした。ところが,講師の島袋純さんの沖縄からの飛行機が遅れてしまい,約45分遅れの開始となってしまいました。このロス・タイムはまことに残念。それでも島袋純さんは息せき切って駆けつけ,一息入れる間もないまま,熱弁をふるってくださり,わたしたちの期待に十二分に応えてくださいました。

 なるほど,沖縄の人びとが「アイデンティティ」を主張する根拠はそこにあったか,と納得のいく講座でした。そのキー・ワードだけをさきに挙げておきますと,以下のとおりです。主権の回復,人権侵害,立憲主義,主権国家,自治,民主主義,など。

 まずは,今日の講座の開催要領を紹介しておきましょう。
 連続講座・「沖縄の地鳴りを聞く」・第2回
 テーマ:”アイデンティティ”をめぐる戦い──沖縄知事選とその後の展望
 講師:島袋 純(琉球大学)
 場所:法政大学市ヶ谷キャンパス・58年館・855教室
 主催:普天間・辺野古問題を考える会(代表・宮本憲一)
 共催:法政大学沖縄文化研究所

 沖縄はもう黙ってはいない・・・,こんどのこんどこそ,地鳴りのような怒りが沖縄全土に谺している・・・その表出がさきの沖縄県知事選であり,こんどの衆議院議員選挙だったのだ・・・・そして,なぜ,このような結果となったか,と熱弁がはじまりました。

 まずは,冒頭のお話が,わたしには強烈な印象となって残りました。その概要は以下のとおりです。敗戦直後の沖縄の人びとの食料はすべて米軍が支給してくれました。と同時に,物資支給を条件に大量のスパイを養成し,網の目のような情報ネットワークを構築しました。その結果,沖縄の人びとは自由にものをしゃべることができなくなってしまいました。それでも,米軍は沖縄の裏社会にいたるまで隈なく情報を集め,支配の体制を整えました。この流れはいまも続いているように思われます。ですから,アメリカは日本政府よりも沖縄情報については詳しいと言ってよいでしょう。

 ということは,沖縄の今回の「オール沖縄」という組織を構築した上での選挙行動がどのようなものであったのかという点についても,日本政府よりもアメリカの方が情報の量も質も圧倒的に上であろうと思われます。そして,こうした新たな沖縄の動向に対して,アメリカはより有効な支配のための戦略を立てて,新たな工作をしてくるに違いありません。そして,日本政府はアメリカに追随するのみで,その関係性はこれまでと少しも変わることはないでしょう。

 となると,沖縄県民の主張はまたもや無視され,植民地状態から抜け出すことは不可能となってしまうでしょう。しかし,今回の選挙行動は,そんなことも折り込み済みで,いかなる困難があろうとも徹底して米軍基地を排除する,という強い決意表明でした。なぜ,これほどまでに強烈に沖縄県民の意思をひとつにまとめることができたのでしょうか。

 それは,沖縄県民のアイデンティティはなにか,という根源的な問いに多くの沖縄県民が気付いたということです。つまり,沖縄県民をひとりの人間として認めよ,という要求でもあったということです。別の言い方をすれば,主権の回復を,真っ正面から求めたということです。

 1972年の本土復帰以後も,ずーっと沖縄県民の主権は無視されつづけてきました。場合によっては,それ以前よりももっと酷い状態になってきています。そして,この状態は明らかに人権侵害であり,民主主義の否定です。同時に,主権在民を謳った立憲主義にも反しています。簡単に言ってしまえば,憲法違反です。この状態から抜け出すこと,これが「オール沖縄」を組織し,党派を超えて一丸となった,最大の理由です。

 という具合に,島袋純さんの話は佳境に入っていきます。詳細については,とても,ここで書き切れるものではありませんので,割愛します。で,最後に,この講演を締めくくることばとして,一歩,踏み込んだ仮説を提示されていますので,それを紹介しておきたいと思います。それは以下のとおりです。パワー・ポイントからの文言をそのまま転記しておきます。

 自民党憲法改正案では,立憲主義の否定,国際立憲主義からの脱落を意味し,その差別と人権侵害が解消される可能性がなくなる。

 ⇨憲法改正の国民投票をやって,日本全体では可決され,しかし沖縄で改正否決された場合,自らの不可侵の権利を守るために沖縄はすみやかに,立憲主義的プロセスを経て,自らの憲法を制定し,独立主権国家になるべきでは。

 そのための「権利章典」の必要性(人権と憲法制定権力)。

 以上です。この文言の迫力はすさまじいものがあります。しかし,この「沖縄独立」までのことを視野に入れた結果が,今回の沖縄の選挙行動であった,ということです。すなわち,沖縄は,立憲主義を否定するような国家に帰属する必要は,もはや,ない,と覚悟を決めた,ということです。これが「アイデンティティ」をめぐる戦いの実態であった,というわけです。

 ここには,もはや,沖縄と本土という視点はありません。ここにあるのは,沖縄と日本とが対等の関係にあり,真っ向からの立憲主義をめぐる挑戦そのものです。そして,そのことの矛盾に気づかない日本国にはほとほと愛想がつきたので縁を切る,と高らかに宣言しています。

 とうとう沖縄から絶縁状をつきつけられようとしています。さてはて,日本国の住民であるわたしたちが,どの段階でどのように「覚醒」することになるのか,他人事ではなくなってきました。これから,大いに議論をしていかなくてはならない重大な局面を迎えたことになりました。とうとう,沖縄から引導を渡された気分です。

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