2014年12月11日木曜日

ついに,特定秘密保護法の施行へ。暗黒時代のはじまり,か。

 とうとう日本列島は暗黒の時代への突入,か。

 いまでさえ,わたしたちが知ることのできない密約や機密事項がたくさん存在している。にもかかわらず,わたしたちはますます真実から遠ざけられ,なにも知らされないまま,民主主義という名の衆愚政治へと誘導されていく。あとは国家権力のなすがまま。国民に知られて都合の悪い情報はすべて「特定秘密」に指定すればよい。最大では60年間も封印することができる。恐るべき法律の施行である。

 わたしたちの「知る権利」が侵されるだけではない。特定秘密を取り扱うことになる公務員や民間業者の「適性評価」がなされることになり,場合によっては「プライバシーの侵害」や「差別」の助長につながる可能性がある,という。しかも,その対象者は10万人に及ぶという。場合によっては,その家族も「適性評価」の対象になるという。当然のことながら,この「適性評価」に合格するかしないかによって,その地位にも大きな差が生まれることになる。かくして,「適性評価」という名の恐るべき暴力装置が作動することになるのだ。

 それだけではない。市民団体のメンバーや研究者,報道関係者が特定秘密の漏洩をそそのかしたとみなされれば,罰則や捜査の対象になる。そそのかしたかどうかの判断は微妙だ。報道のための取材について,法律では「法令違反または著しく不当な方法と認められない限りは正当業務」と定められているが,正当でないとみなされる可能性も残されている。その判断は捜査側に委ねられている。

 いっぽう,市民の活動には,報道のような規定はない。ということは,捜査機関が罰則付きの法律を根拠に,捜査権を用いて市民の活動に入り込むことは,いくらでも可能だ。つまり,疑われた段階で捜査の手はいくらでも伸びてくる。これまでにも,政党ビラや反戦ビラを配布しただけで住居侵入容疑で逮捕される事件はいくらでも起きている。逮捕に至らなくても,家宅捜査などの強制捜査や任意取り調べなどは,もっと多い。そこに,新たに秘密保護法が施行されれば,捜査機関はまことに都合のいい捜査の根拠を持つことになる。

 このようにして,わたしたちの情報収集活動は著しく制約を受けることになり,わたしたちの「知る権利」はますます脅かされることになる。

 11月のテレビ番組で,安倍晋三首相はつぎのように述べている。
 「特定秘密保護法は工作員やテロリスト,スパイを相手にしている」
 「国民は基本的には関係ない。報道が抑圧される例があったら(首相を)辞める」

 工作員やテロリスト,スパイをだれが,どのようにして断定するのか,その点については法案には具体的な記述はない(法案が公開されたときに苦労して全文をチェックしたことがある)。ということは,一般市民であっても,疑いを持たれてしまえば,いつでも,即座に工作員やテロリストやスパイに仕立て上げられてしまうことになる。これが恐ろしい。

 報道が抑圧される例は,すでに,存在している。たとえば,選挙期間中の報道は「中立・公平」を守るべし,という文書による圧力を政権党が発している。そのために,選挙期間中の報道が著しく政権党に傾いている,と痛感しているのはわたしだけだろうか。NHKのニュース番組などは,もう,とっくのむかしから偏向していることは,衆知のことだ。だから,さっさと身を引いていただきたい。

 しかし,虚言癖が日常化してしまった安倍晋三首相は痛痒も感じてはいないだろう。しかも,その猫の首に鈴をつける人もだれもいない。ここが致命的だ。

 今日(10日)の東京新聞夕刊によれば,日弁連の村越進会長が以下のような声明を発表したという。
 「法を廃止し,制度の必要性や内容に関して国民的な議論を行うべきだ」
 (特定秘密保護法は)「知る権利を侵害し,国民主権を形骸化する」

 この声明を支持したい。

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