2015年1月19日月曜日

横綱との差が詰まってきたか,大相撲初場所。ひと波瀾ありそう・・・。

 横綱と対戦する三役,平幕力士が力をつけてきた。その差がぐっと詰まってきたか。きわどい勝負が多くなっている。磐石の強さを誇った白鵬も紙一重の薄氷を踏むような勝ちを拾う相撲が多くなってきた。これまでには見られなかった白鵬の新しい側面であることは間違いない。これを,白鵬の衰えととるか,こころの乱れととるか,その受け止め方はさまざまだろう。

 漏れ伝わってくる白鵬情報によれば,最近は稽古量も極端に少なくなったとか,稽古場での発言が過激になってきたとか,相撲が荒っぽくなってきたとか・・・,よくない情報が多い。これらが事実だとすれば,白鵬になにか大きな心境の変化があったのでは?と勘繰ってしまう。体力的な面で,これまでとは違う,なにかを感じ取っているのではないか。それが気持のもち方にも大きな影響をおよぼしているのではないか,とこれはわたしの推測。

 しかし,それ以上に,今場所の相撲全体をみていて,いつもと違うなにかが感じられる。それは幕内力士のからだの張り具合,顔つき(表情),所作にいたるまで,どこか違う。みんな自信をもっていて,やる気満々なのである。その結果なのだろう,相撲内容もいつもよりいい。

 実力伯仲時代のはじまり,か? つまり,各力士がそれぞれに力をつけてきたということ。言ってみれば,底上げ。力量の差があまりなくなってきたということ。だから,平幕力士が三役力士に対して物怖じすることなく向かっていく。そして,意外に「ころり」とやられてしまう。三役力士が勝つにしても苦戦している。勝負も紙一重。

 なかでも顕著にでてきたのが白鵬。いまのところ全勝を守ってはいるものの相撲内容が悪い。なかでも,三つは紙一重で勝ち星をあげたもの。負けていてもなんの不思議もない,そんな勝負がこのところつづいている。しかも,立ち合いのあと,押し込まれてうしろに下がる場面が多い。それでも,これまでの貯金があるので,なんとか裁いてはいるもののきわどい。こういう相撲をとると,相手力士は自信になる。自信をもたれると,様子は一変する。

 これまで白鵬ただひとりの一強時代がつづいた。そして,解説者は「まったくつけいるスキがない」「力の差が歴然としている」と言ってはばからなかった。しかし,わたしは,ずーっと疑問に思ってきた。白鵬だけがひとり飛び抜けて強いのではない,と。そうではなくて,ほかの力士が弱すぎるのだ,と。いいからだをしている力士でも,稽古不足(あるいは,稽古の内容が悪い)のため,からだが締まっていない,立ち合いの攻撃が甘い,攻められると抵抗する力もない,といった塩梅である。つまり,勝ちにいく気魄が感じられない。だから,白鵬の思いのままに料理されて終わり。しかし,こういうからだのある力士が少しまじめに稽古をしたら,そうはかんたんには負けないはずだ。そう,長い間,わたしは考えてきた。それが今場所になってはっきりしてきた。

 つまり,横綱との差が詰まってきたのだ。

 そのことに白鵬はいちはやく気づいているに違いない。そんな「焦り」にも似た取り口が,今場所は目立つ。この点,先場所までとはまるで違う。だから,遠藤戦のときのように荒っぽい,乱暴な相撲がでてきてしまう。遠藤は場所ごとに力をつけてきた。とくに,立ち合いがよくなってきた。だから,白鵬はいきなり強烈な張手をかまして出た。遠藤が大きくバランスを崩すほどの張手だった。白鵬が勝ちにこだわるときによくやる張手だ。わたしは横綱のこの張手を好まない。横綱の美学に反するからだ。遠藤はそれでも踏ん張って,攻撃にでる。一瞬,遠藤の右が入り,あわやと思われた瞬間に,白鵬はうしろに下がりながらからだをふりほどく。それからの矢継ぎ早の攻防も面白かった。が,思ったよりも長い相撲になり,遠藤ファンを喜ばせた。遠藤も自信をもったに違いない。こうなると,つぎの対戦ではどうなるかわからない,という期待が生まれる。

 今日(18日),中日の安美錦戦もきわどかった。立ち合いになにをしてくるかわからないという不安もあってか,白鵬は慎重に受けて立つ。安美錦はまっすぐに押して出る。白鵬はずるずると後退。左に回りながらこの押しに対応。そして,最後は,からだの離れた安美錦がさらに押して出ようとするところを,左に大きく動いて引き落とし。思わず,安美錦は土俵の外へ。つまり,最初から最後まで防戦一方。そんな中からでも勝機を見出すことができるのは,これまでの貯金。

 そんな白鵬に引き換え,今場所の日馬富士は久々の絶好調とみた。ひとつ,取りこぼしたが,相撲内容は悪くない。今日の魁聖との一戦。右喉輪一本であの大きな魁聖を押しつぶしている。恐るべき破壊力。この調子で白鵬との対戦に臨みたい。絶好調のときの日馬富士は白鵬に負けたことがない。はたして,今場所はどうか。

 鶴竜が気の抜けたような相撲をとって取りこぼしているが,強いときはめっぽう強い相撲をとる。今場所あたりは,真っ向勝負で白鵬に勝っておきたいところ。そうして来場所につなげたい。悲願の横綱初優勝はそのさきに待っている。優勝の味をしめると,鶴竜は強くなる,とわたしは信じている。眠れる獅子が目覚めるのはいつか。今場所,白鵬をしりぞけたときが大きな転機になりそうだ。また,そうあってほしい。

 今場所は稀勢の里が安定していてとてもいい状態だ。この調子を維持していったときの白鵬戦はおもしろそうだ。稀勢の里が自信をもって向かっていったときの強さは証明済みだ。久しぶりにそんな場面が見られそうだ。

 加えて,琴奨菊の立ち合いがよくなり,波に乗ってきた。かれ本来の相撲がようやく復活してきたか。こうなると自信にあふれた相撲をとる。そうなると,白鵬もうっかりはできない。相当に気合を入れてとりかからねばならなくなる。

 もう一人の大関,豪栄道も崖っぷちに立つと力を発揮する。今場所は勝ち越すことができるかどうか。そんなときの白鵬戦はおもしろくなる。これまでにも勝ち越しがかかった場所では何回か白鵬に勝っている。居直ったときの豪栄道の相撲はみどころがある。

 というようなわけで,これから後半戦に入る大相撲がおもしろくなりそうだ。とりわけ,終盤の5日間。白鵬が,3大関,2横綱とどのような相撲をとるか,みものだ。差が詰まってきているだけに,どんな展開になるのか,期待できる。

 これはどう考えてみても,ひと波瀾ありそう・・・・。
 場合によっては,白鵬の引退も・・・・。
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