2015年1月13日火曜日

辺野古の違法アセスが泣いている・・・・。日本に未来はない。講演傍聴記。

 沖縄のかかえる問題を考えることは日本国という国の成り立ちの諸矛盾を考えることだ・・・・としみじみ思いました。そして,こんなことをやっていては,ほんとうに日本の未来はない・・・と。政府とはだれのためのものなのか。民主主義とはどういうことなのか,環境アセスとはだれのために行うものなのか,等々,これが,今日(1月12日)の桜井国俊さんの講演傍聴から受けた強烈なメッセージでした。

 連続講演「沖縄の”地鳴り”を聞く」の第3回講演の実施要項は以下のとおりです。
 日時:2015年1月12日(月)午後2時~午後5時。
 場所:法政大学(市ヶ谷キャンパス)ボアソナード・タワー26階
 演目:「日本の未来を奪う辺野古違法アセス」
 演者:桜井国俊(沖縄大学名誉教授/沖縄環境ネットワーク世話人)
 主催:普天間・辺野古問題を考える会(代表・宮本憲一)
 共催:法政大学沖縄文化研究所

 桜井国俊さんの張りのある若々しい声,情熱のこもった,しかも歯切れのいい話の展開が,いまも耳に残って離れません。講演にはいろいろのスタイルがあると思いますが,桜井さんは,これ以上一歩も引けない危機的な情況にある辺野古の違法アセスの問題について,なにがなんでもわかってほしいと切実に訴えかけるスタイルをとり,迫力満点でした。いかに酷い違法アセスが,いま,辺野古の海で展開されているか,その実態を知ってほしい・・・と。

 ここに書いておきたいことは山ほどありますが,とても書き切れませんので,残念ですが,とくにわたしの印象に残ったトピックスだけに限定させていただきます。

 環境アセスメントは,いつから「環境アワスメント」(東京では「環境アワセメント」というそうです)になってしまったのか。日本政府は最初から環境アセスメントには消極的だった。なぜなら,企業利益を守る側に立っていて,国民を守る側には立たなかったからだ。だから,環境アセスメントに関する法の整備もほとんど手つかずのままに放置されている。そのため,裁判闘争に持ち込んでも,事業者有利の現行法に阻止されてしまう。つまり,ことばの正しい意味での司法が機能していない。司法が政治の支配下に置かれているのが現状だ。その結果,環境アセスメントは,単なる「環境アワスメント」に成り下がってしまっている,と桜井さんは主張されます。

 たとえば,こうです。アセス法というものがあって,それによれば,まずは環境アセスメントに関する「方法書」が事業者である沖縄防衛局から提出されます。住民はそれを閲覧して意見を言うことができます。しかし,この「方法書」なるものが4500ページもある膨大なもので,とても,一般市民の手に負えるものではないそうです。しかも,その中に書かれていることはほとんどがどうでもいいことばかりであって,肝心要のポイントはたった一行しか書いてない,と。つまり,飛行場の用途としては「ヘリコプターの離着陸」としか書いてない。そういう,まことに不備な内容になっている。したがって,沖縄環境ネットワークのメンバーが手分けして,この「方法書」を読み,「意見書」を提出します。すると,こんどは「改訂方法書」がでてきます。これには意見を言うことができないルールになっている。つまり,後出しで,さらに新しい条件を追加して,自分たちの都合のいいように「方法書」を改ざんしてしまうというわけです。こうして「法」の網の目をすり抜けていく。これが辺野古での環境アセスメントの常套手段だ,というわけです。

 たとえば,ジュゴンの棲息調査。「方法書」を提出する前に,事前調査と称して,つまり「海底に関する事前調査」という名のもとに海底を引っかき回して珊瑚礁を破壊するようなことを平気でやっている。珊瑚礁を破壊すること自体が違法行為だ。これは,どうやら,ジュゴンを追い出すための作戦でもあったらしい。なぜなら,ジュゴンの遊泳も,藻を食べた痕跡も認められない,したがってこの海域にはジュゴンは棲息していない,と判断できる,と「方法書」に記述されているからだ。ジュゴンはおそらく,海底調査の破壊的な騒音を聞いて,より環境のいい,つまりもっと快適な環境のところに一時的に移動していたにすぎない。なぜなら,その後,何回でもジュゴンの姿は確認されているからです。

 短期間の調査結果にもとづいてジュゴンはいないと断定し,それを既成事実として,つぎの段階の「準備書」を作成し,提出されます。この「準備書」についても公示・縦覧,説明会を経て,意見書の提出という段取りですすめられます。この場合も,「方法書」のときとまったく同じ手法で,するりとかわされてしまいます。それどころか,もっと困る条件が新たに追加されていたりします。つまり,最初から「意見書」に対してまともに応答しようという姿勢はまったく認められない,と桜井さんは主張されます。

 そして,もっと問題を複雑にしているのは,辺野古の基地をつくるのは日本,そして,それを使うのはアメリカ,というこの二重構造です。たとえば,意見書で,どのような使用の仕方をするのか明らかにせよ,と要求した場合に,都合の悪い内容については「アメリカから聞いていない」と誤魔化してかわす。これも常套手段。こうして,まともな応答も得られないまま,もちろん,合意も得られないまま(むしろ,無視されたまま),事態だけが進展していく。この繰り返しだ,というのです。

 こうして,アセス制度の二本柱といわれている「科学性」も「民主性」も,まったく無視されたまま,形式的な手続だけが粛々と進められていく,これが辺野古のアセスの実態である。これは,どう考えてみても「違法」としかいいようがない。でも,裁判をやると勝てない。そこには法の不備が待っているだけだ。

 最後に残された方法は,翁長知事が進めようとしている,仲井真前知事の「承認」手続に重大な瑕疵がなかったかどうかを検証・確認し,それにもとづいて「承認取り消し」の判断をくだすこと。もし,そうなると,こんどは政府が訴訟の手続をすることになる。そうなったときに,はじめて,環境アセスの手続ではなくて,内容(科学性と民主性)が問われることになる。しかも,その二項目について,政府が立証しなくてはならない,という立場になる。ここが勝負どころではないか,と考えている,と桜井さん。

 まだまだ,いろいろありますが,この辺りで終わりにしたいと思います。
 が,最後に,桜井さんが仰ったことのなかで,これだけははずせないとわたしが受け止めたことを書いておきたいと思います。それは,どういう流れの中で語られたのか,はっきりとした記憶はないのですが,桜井さんたちが取り組んでいる「沖縄環境ネットワーク」の3条件,とたしか言われたと思いますが,それを列挙しておきます。

 1.戦争をしない。
 2.子孫に誇れる環境を残す。
 3.自己決定権を確立する。

 以上です。

普天間・辺野古問題を考える会・代表宮本憲一さんのご挨拶。
左に座っているのが桜井国俊さん。

ボアソナード・タワー26階からの夕景。
丹沢山と富士山。
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