2013年10月24日木曜日

 「竹内敏晴さんとわたし」の初校ゲラがでました。まもなくセレクション・第2巻が刊行されます。

 もう,だいぶ前に藤原書店の編集者から「竹内敏晴さんとわたし」という大見出しの原稿を依頼されていました。それに応答して「竹内さんの大音声<にんげんっ!>に震撼」というタイトルで原稿を書きました。その校正ゲラがようやくでてきました。

 もう少し精確に書いておきますと,藤原書店の企画で<セレクション・竹内敏晴の「からだと思想>が刊行されることになり(すでに,第一巻はでている),その「月報」に,竹内さんと接点のあった人たちが短文を寄せるというものでした。竹内さんにはとてもお世話になっていましたので,ここはお礼をかねて,なにか書かなくてはと思い,お引き受けしました。

 とりわけ,『ことばが劈(ひら)かれるとき』を読んだ感動がきっかけで,その他の著作も手に入れて精読させていただきました。そのうちに,どうしても直接,お会いしてお話をうかがうことはできないものか,とチャンスを待っていました。

 念ずれば通ず,ではないですが,わたしたちの研究会の仲間のひとりが「竹内レッスン」を受けていることを知り,ぜひに,とお願いをしました。当時の竹内さんは超多忙で,全国を駆け回って「竹内レッスン」を展開されていました。ときおり,名古屋に戻られるので,その折ならば・・・ということで「竹内敏晴さんを囲む会」を名古屋で何回にもわたって開催させていただきました。謝金もなしで,長時間にわたって,わたしたちの質問に懇切丁寧にお答えいただきました。なんとも至福のときでした。いま,考えると冷や汗がでるような「贅沢な時間」でした。

 なかには涙を流しながら,竹内さんのお話に耳を傾ける仲間もいて,その情景がまだ昨日のことのように浮かんできます。人のこころの奥深くまでとどく「ことば」を紡ぎだすことのできる人,その思考の深さはもとより,情感のこもった声,思いやりのゆきとどいた話の展開・・・・。ああ,こういう風に話のできる人になりたいものだ,と仰ぎ見たことをいまも忘れません。

 そんな「竹内敏晴さんを囲む会」のひとこまを書いた原稿が,こんどの「月報」(<セレクション・竹内敏晴の「からだと思想」>の第二巻用)に掲載されるという次第です。「竹内さんの大音声<にんげんっ!>に震撼」のタイトルからもおわかりのとおり,この「囲む会」でも,ことばで説明のてきないことはからだで知ってもらうしかない,という竹内さんのお考えのままに,何回も,ごくかんたんなアドリブの「レッスン」が展開されました。

 ふだんは静かに,ことばを厳選して,無駄をいっさいはぶいた,もっとも的確な表現でお話をされる竹内さんのことばにわたしたちは魅了され,身もこころも惹きつけられていたときのことでした。「それでは,みなさん眼をつむって静かに呼吸をしていてください。わたしが,あることばを大きな声で発しますので,その瞬間にどんなイメージが脳裏をよぎったかを,あとで教えてください」と竹内さん。みんな意識を集中して,じっと呼吸をととのえていました。その数秒後,雷が落ちたかと思うほどの大音声で「にんげんっ!」と一声がありました。わたしはその大音声に震撼し,飛び上がるほど驚きました。

 このときのことは,いまも忘れられません。みなさんが,それぞれに脳裏に浮かんだ瞬間のイメージを語るのを,竹内さんはにこにこ笑いながら,これといったコメントをするわけでもなく,じっと耳を傾けていらっしゃいました。みなさんが,それぞれにまったく違うイメージを語られるのを不思議な思いで聞きながら,わたしの順番を待っていました。このときのことをこんどの原稿に書いてみました。その内容は,ここでは伏せておきたいと思います。意外なことを書いていますので,どうぞ,書店で読んでみてください。いえいえ,ぜひにも,第2巻を購入してみてください。

 こんどは,いつか機会をみつけて,「竹内敏晴さんの思い出を語る会」をもってみたいと思っています。担当編集者にも声をかけて・・・・。もちろん,名古屋で。このセレクションの刊行が終わったあたりで・・・。
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