この前のブログ(女子柔道「悩み聞くシステムの導入を」(山口香)。そんな問題ではない)を読んでくれたある出版社の編集者から,個人的にメールをいただきました。それは,山口香さんの朝日新聞のインタヴュー記事を読んだか,というご指摘でした。
わたしは「アッ」と思わず声を出してしまいました。少なくとも,大手3紙の記事くらいは確認してから書くべきでした。大急ぎで,インターネットでその情報を確認しました。とても立派な記事になっていて,読んでいて感動しました。山口さんがとてもしっかりした思考のできる人だと知ったからです。その意味では,わたしのブログは「勇み足」でした。
朝日新聞のインタヴュー記事の詳しいことは割愛させていただきますが,わたしが同意する山口さんの発言のポイントは三つ。
ひとつは,選手たちが「これは奇怪しい」と「気づいた」ことに山口さんは注目したこと。
ふたつめは,「気づき」から告発へという行動にでる決意をしたとき,選手たちは「自立」への第一歩を踏み出した,という指摘です。しかも,これこそが嘉納治五郎の教えに則する行動なのだ,という指摘です。
みっつめは,こうした選手たちから相談を受け,それを支持し,彼女たちのために全面的に「矢面」に立とうと決意した,ということです。
これは日本のスポーツ史に残る画期的なことだ,とわたしは考えました。あるいは,女性スポーツの黎明期ではないか,と。もっと言ってしまえば,これはある意味で,立派な「クーデター」ではないか,と。
つまり,女性スポーツは,これまでの男性中心の近代スポーツにあっては,副次的なもの,付け足し程度にしか扱われてきませんでした。しかし,最近になって,これではいけないという主張が,女性のスポーツ研究者の間からでてくるようになりました。が,まだまだ,無視されがちでした。そこに,今回の15人の女子柔道の,日本を代表する選手たちの決意と行動です。これは全日本柔道連盟を震撼させるできごととなりました。
しかし,このできごとは,まだ,その端緒についたばかりです。その背景には,二重・三重の複雑な権力闘争が隠されているようにわたしは思えます。ですから,山口さんはそのことを十分に承知した上で「全面的に矢面に立つ」という決意をし,そのように発言しているのだと思います。今回の事態の全貌がまだわからないわたしの立場からは,山口さんの決意の真相・深層までは理解できませんが,それでもこの問題はただごとでは済まされないきわめて重大な問題をふくんでいることくらいは理解できます。
たとえば,いまは政治家になった谷亮子さん(わたしの教え子でもありますが)が,柔道家としてこんごどのような発言をし,行動するのか,わたしは大いに注目しています。チャンスがあれば直接会って話を聞いてみたいと思っています。それから,スケート出身の橋本聖子さん。この人がどのような言動をとるのか。そして,その他のスポーツ出身の議員さんたちの言動にも注目したいと思います。
なぜなら,3月にはIOC委員が来日します。これは予定されたスケジュールで,オリンピック招致に向けて東京がどのように準備を進めているかの現地調査です。当然のことながら,この騒動にも大きな関心を寄せていることは間違いありません。となると,柔道やスポーツの固有の議論では済まされなくなります。もっと大きな,政治的な力学がはたらくことになります。そのとき,スポーツ議員さんたちはどのような言動をとるのか,これはただごとでは済まされません。
わたしが危惧するのは,いつもの手口「隠蔽体質」の作動です。
そんなことも当然,視野のうちに入れた上で,山口香さんは女子柔道の「自立」のために「全面的に矢面に立つ」という覚悟を決めたという次第です。そして,なにがなんでも女性スポーツの「自立」のために,そして,女子柔道の「自立」のために全力をつくすという覚悟です。なんとして「隠蔽体質」を打破して,公明正大な体質へと,つぎなる選手たちのための道を切り開く,という覚悟が伝わってきます。ですから,わたしとしては,ここはなにがあっても山口香さんを支援していかなくてはならない,と覚悟を決めました。
「スポーツ的自立人間」を,ひとりでも多く育成していくこと,これがわたしの長年の研究者としてのコンセプトであります。「21世紀スポーツ文化研究所」(ISC・21)を立ち上げたのも,「スポーツ的自立人間」の考え方を広めていくためでした。
いま,ここに山口香さんという「自立」を目指す同志を知り,これを支援しないという手はありません。いまは山口さんは渦中の人でたいへんだと思いますが,わたしのこの志をなんらかの方法で伝えたいものです。
とりあえず,前回のブログの訂正と補足まで。
そして,山口香さんにこころからのエールを送ります。
わたしは「アッ」と思わず声を出してしまいました。少なくとも,大手3紙の記事くらいは確認してから書くべきでした。大急ぎで,インターネットでその情報を確認しました。とても立派な記事になっていて,読んでいて感動しました。山口さんがとてもしっかりした思考のできる人だと知ったからです。その意味では,わたしのブログは「勇み足」でした。
朝日新聞のインタヴュー記事の詳しいことは割愛させていただきますが,わたしが同意する山口さんの発言のポイントは三つ。
ひとつは,選手たちが「これは奇怪しい」と「気づいた」ことに山口さんは注目したこと。
ふたつめは,「気づき」から告発へという行動にでる決意をしたとき,選手たちは「自立」への第一歩を踏み出した,という指摘です。しかも,これこそが嘉納治五郎の教えに則する行動なのだ,という指摘です。
みっつめは,こうした選手たちから相談を受け,それを支持し,彼女たちのために全面的に「矢面」に立とうと決意した,ということです。
これは日本のスポーツ史に残る画期的なことだ,とわたしは考えました。あるいは,女性スポーツの黎明期ではないか,と。もっと言ってしまえば,これはある意味で,立派な「クーデター」ではないか,と。
つまり,女性スポーツは,これまでの男性中心の近代スポーツにあっては,副次的なもの,付け足し程度にしか扱われてきませんでした。しかし,最近になって,これではいけないという主張が,女性のスポーツ研究者の間からでてくるようになりました。が,まだまだ,無視されがちでした。そこに,今回の15人の女子柔道の,日本を代表する選手たちの決意と行動です。これは全日本柔道連盟を震撼させるできごととなりました。
しかし,このできごとは,まだ,その端緒についたばかりです。その背景には,二重・三重の複雑な権力闘争が隠されているようにわたしは思えます。ですから,山口さんはそのことを十分に承知した上で「全面的に矢面に立つ」という決意をし,そのように発言しているのだと思います。今回の事態の全貌がまだわからないわたしの立場からは,山口さんの決意の真相・深層までは理解できませんが,それでもこの問題はただごとでは済まされないきわめて重大な問題をふくんでいることくらいは理解できます。
たとえば,いまは政治家になった谷亮子さん(わたしの教え子でもありますが)が,柔道家としてこんごどのような発言をし,行動するのか,わたしは大いに注目しています。チャンスがあれば直接会って話を聞いてみたいと思っています。それから,スケート出身の橋本聖子さん。この人がどのような言動をとるのか。そして,その他のスポーツ出身の議員さんたちの言動にも注目したいと思います。
なぜなら,3月にはIOC委員が来日します。これは予定されたスケジュールで,オリンピック招致に向けて東京がどのように準備を進めているかの現地調査です。当然のことながら,この騒動にも大きな関心を寄せていることは間違いありません。となると,柔道やスポーツの固有の議論では済まされなくなります。もっと大きな,政治的な力学がはたらくことになります。そのとき,スポーツ議員さんたちはどのような言動をとるのか,これはただごとでは済まされません。
わたしが危惧するのは,いつもの手口「隠蔽体質」の作動です。
そんなことも当然,視野のうちに入れた上で,山口香さんは女子柔道の「自立」のために「全面的に矢面に立つ」という覚悟を決めたという次第です。そして,なにがなんでも女性スポーツの「自立」のために,そして,女子柔道の「自立」のために全力をつくすという覚悟です。なんとして「隠蔽体質」を打破して,公明正大な体質へと,つぎなる選手たちのための道を切り開く,という覚悟が伝わってきます。ですから,わたしとしては,ここはなにがあっても山口香さんを支援していかなくてはならない,と覚悟を決めました。
「スポーツ的自立人間」を,ひとりでも多く育成していくこと,これがわたしの長年の研究者としてのコンセプトであります。「21世紀スポーツ文化研究所」(ISC・21)を立ち上げたのも,「スポーツ的自立人間」の考え方を広めていくためでした。
いま,ここに山口香さんという「自立」を目指す同志を知り,これを支援しないという手はありません。いまは山口さんは渦中の人でたいへんだと思いますが,わたしのこの志をなんらかの方法で伝えたいものです。
とりあえず,前回のブログの訂正と補足まで。
そして,山口香さんにこころからのエールを送ります。
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