2013年2月12日火曜日

西谷修さんが「山口香」論をブログで展開しています。必読です。

 いま話題の「女三四郎」山口香さんの言動について,西谷修さんが注目し,ご自身のブログでとても魅力的な「山口香」論を展開されています。ぜひ,ご覧ください。お薦めします。

 www:tufs.ac.jp/blog/ts/p/gsl/
 西谷修-Global Studies Laboratory
  女三四郎・山口香の大技「自立」のやまあらし

 もともとはフランス現代思想を中心に活躍してこられた西谷さんですが,すでに,よくご存じのように戦争論や世界史論といった広い視野に立つ秀逸な著書も多く,最近では沖縄問題や経済に関するシンポジウムを仕掛け,それらをまとめた本もつぎつぎに刊行されています。まだ,本にはなっていませんが,医療思想史やアメリカ立国論などの講義もされています。そのほかにも,絵画論,写真論,舞踊論などの分野でも,多くの評論をされています。

 もともとスポーツ好きの人で,学生時代は空手部に所属,いまはライダーであり,太極拳の名手でもあり,マラソン・レースはテレビで欠かさず楽しんでいらっしゃるようです。わたしは西谷さんの学生時代からの知己で,親しくさせていただいてきましたが,長い間,ずっと「青白きインテリ」だと思い込んでいました。ところが,一緒に太極拳の稽古をはじめるようになって,驚くことが多々ありました。

 その一つは,西谷さんの大胸筋の発達具合はただものではないという発見。ふだん,やや猫背ですので気づかなかったのですが,太極拳の稽古の折に姿勢を正して立つ姿はみごとです。大胸筋がみごとに盛り上がっています。しかも,それだけではありません。床の上で,両腕で支えての脚前挙ができるのです。いまも。これは驚きでした。いろいろお尋ねしてみますと,中学生のころには鉄棒が好きで,よく友達と一緒に遊んでいたとのこと。なるほど,と納得。

 いやはや,西谷さんは肉体派であり,かつては体育会にも所属していた立派なスポーツマンでした。その西谷さんが,今回の女子柔道の暴力問題に強い関心を寄せたとしてもなんの不思議もありません。むしろ,武道つながりということでいえば,必然です。そこに「山口香」という立役者の登場です。そして,山口さんのインタヴュー記事に真っ正面から反応しての,今回のブログです。あっという間に山口香情報を収集して,みごとな「批評」を展開していらっしゃいます。

 西谷さんの書かれたブログにコメントする立場にはありませんが,ひとことだけ,ワンポイントの感想を書いておきたいと思います。

 それは山口香さんの主張する「自律・自立」というキー・ワードを西谷さんもことのほか重視していらっしゃるということです。それは,ひとり柔道界やスポーツ界に向けての呼び掛けではなく,日本国民全体に向けて檄をとばしているのだ,と。強い風が吹くと,なんの考えもなしにその風に流されていく,現代日本人に向けての「檄」でもあるのだ,と。その強い風のなかにはさまざまな「暴力」が秘匿されていることにも気づかないで,あるいは,気づいても見て見ぬふりをして,なんの考えもなしに,ただ,流されていく圧倒的多数の日本人に向けての「檄」なのだ,と。このあたりのことを,西谷さん独特の言いまわしで,みごとに説明してくれています。

 これからは,「スポーツ批評」の分野でも,西谷さんに大いに発言していただきたいものだ,といまさらのように思います。

 いささか余分なことまで書いてしまって,あとで,西谷さんに叱られそうですが,これはわたしからの畏敬の念をこめての西谷さんへのエールのつもりです。

 ぜひとも,西谷さんのブログを読んでみてください。必読です。

1 件のコメント:

竹村匡弥 さんのコメント...

「自律」「自立」のことを考えていると、カントさんではなくて、西田幾多郎しぇんしぇいのことが頭に浮かんできたんだによぉぉぉ。。。