2011年9月1日木曜日

明日(2日)から「奄美自由大学」(今福龍太主宰)で学んできます。

もう,かれこれ10年以上になろうかと思いますが,今福龍太さんの主宰する「奄美自由大学」に初めて参加させてもらうことにしました。なんだか学生にもどれるような気分でワクワクしています。心配だった台風12号もなんとかうまく回避してくれそうなので,ほっとしています。

原則として,毎年1回,開催されていて,そのつど今福さんからご案内をいただいていたのですが,なぜか,タイミングが合わず,これまで一回も参加できませんでした。が,今回,ようやくうまく時間がとれたという次第です。

ことしの企画は以下のとおりです。
奄美自由大学2011
群島創世記──アブグイの谺を探して
2011年9月2日(金)~4日(日)
奄美大島・加計呂麻島・請島
ゲスト:川満信一(詩人),宮内勝典(作家),藤枝守(作曲家)

送っていただいた〔巡礼行程〕をつぶさにみていきますと,盛り沢山の催しが組まれていますが,どうやらメインは加計呂麻島の聖地で行われる〔掛け合い即興詩「群島創世記」上演(川満信一+今福龍太)〕にありそうです。わたしは〔掛け合い即興詩〕なるものを初めて体験することになります。いったい,どういう展開になっていくのか,いまから楽しみです。

川満信一さんについては,今福龍太編著になる『マイケル・ハートネット+川満信一 詩選』(叢書群島詩人の十字路,サウダージ・ブックス)があります。その他にも「声の律呂」(『図書』,2010年5月号)や,『薄墨色の文法』(岩波書店)などにも,川満信一さんとの「掛け合い」の詳細が紹介されていますので,あんな具合になるのかな,という想像をたくましくしているところです。

加計呂麻島といえば,なにをおいても,やはり島尾敏雄とミホのことが思い浮かびます。その加計呂麻島のスリ浜の汀で,若き唄者の徳原大和の三線を囲んで,シマウタの掛け合いも行われます。その他にも,濱田康作さん(今回の企画の事務局長)が監督した映画「涙の道:チェロキー」や,今福龍太監督作品「里英吉──帰郷」などの上映も予定されています。

それよりも,なによりも,われらの太極拳の兄妹弟子である能面アーティスト柏木裕美さんの能面が相当数(伝統面と創作面の両方),持ち込まれます。そして,この能面を用いた「サプライズ企画」がどうやら内緒で準備されているようです。こちらも,ひょっとしたら,即興の「掛け合い」が行われるのかもしれません。

『群島──世界論』(岩波書店)という大著をものしたあとの,今福さんのこの「群島創世記」というテーマは,やはり「3・11」がどこかに意識されているようで,もう一度,原点に立ち返ることを呼びかけています。奄美自由大学2011への誘い,という案内の冒頭の文章は以下のようにはじまりまっています。
「アブグイ=呼ぶ声。人間に呼びかけてくる自然界やカミガミの声のことを,奄美島口ではこういいます。それは,自分がおもわず発した声の遠い谺のようでもあり,同時に,その声を聴いたら森のなかにいても珊瑚砂の汀にいても,かならず「ホーーッ!」と声を出して応えねばならない,神秘的な存在からの呼びかけでもあります。人間の声とアブグイとは,たがいにお互いの反響となり,分身となるべく定められています。そしてその道理が,奄美の始原世界の表地と裏地とを精緻に織り上げているのです。」
という具合にして,アブグイの谺の世界を魅力的なことばで解説してくれています。

さて,今福さんの仕掛けた「夢幻陶酔の三日間」にどこまで浸りこむことができるか,これからは自分との勝負です。つまり,奄美の始原の世界にどこまで一体化できるか,こころ静かに迫ってみたいと思っています。

というわけで,明日の10:55羽田発,奄美大島行のフライトが無事でありますことを,いまから祈るばかりです。では,行って参ります。また,帰り次第,報告をしたいと思います。では,今夜はこれにて。お休みなさい。

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