2014年4月19日土曜日

それでも新国立競技場建造を推進するのでしょうか。独立行政法人・日本スポーツ振興センターどの。

独立行政法人・日本スポーツ振興センターどの。

 拝啓 新緑の美しい季節となりました。国立競技場周辺の新緑も目が覚めるような爽やかさです。この辺りを散策する人びとやジョギングを楽しむ人たちの表情も生き生きとしています。この人たちの多くも,自然に恵まれたこのヘリテッジ・ゾーンがいつまでもこのままであって欲しいと願っているに違いありません。

 すでにご承知のように,建築家の槙文彦さんが「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」という論考を建築の専門誌に発表したのは,東京五輪招致決定前のことでした。以後,新国立競技場建造をめぐって批判的な論考があちこちで発表されています。反対運動を展開する市民団体まで組織されています。また,槙文彦さんらが中心になり,シンポジウムまで開かれ,問題提起がなされています。

 これまでにどのような問題提起がなされてきたのか,という点についてはここでは繰り返しません。が,それらの問題提起にたいして,新国立競技場建造の責任者としてなにも応答されようとはしないのはなぜでしょうか。とりわけ,デザイン・コンペの中心的役割を果たされた建築家の安藤忠雄さんもだんまりを決め込んだままなのは,なぜでしょうか。

 多くの国民が疑念をいだき,その疑念について真剣に問題提起をしていることがらについては,真摯に受け止め説明する義務があるとわたしは考えています。なぜなら,独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC:Japan Sport Council )は,わざわざ「独立行政法人日本スポーツ振興センター法」(2002年)という法律によって定められた,文部科学省の外郭団体であるからです。つまり,2003年10月1日に,それまでの「日本体育・学校健康センター」を改組して,いまのJSCとしてスタートするときには1,953億円もの多額の金を政府が出資している,そういう特別の団体であるからです。

 JSC設立の趣旨は国民の健康増進にあるとHPに記載されています。しかも,その前史を見ますと,1955年日本学校給食会の設立がそもそものはじまりだといいます。以後,着々とその事業内容を拡大し,いまでは国立競技場の運営,スポーツ科学の調査研究,スポーツ振興くじ(toto)の実施,などのスポーツ関連事業と,学校災害共済給付制度の運営,学校における安全・健康保持の普及,などの学校関連事業の二つに取り組んでいらっしゃいます。

 しかし,よくよく考えてみますと,これだけ多岐にわたる事業内容をどのような専門職の人たちが,どのように役割分担をして,事業を管理・運営していらっしゃるのだろうか,と素人には不思議です。よほどのスーパーマン(エキスパート)がその重職を支えていらっしゃるのだろうなぁ,と想像するのみです。

 が,その一方では,JSCの役員には文部科学省や財務省などの中央官僚からの天下り官僚が就任しているという批判もあります。さらには,公開であった会議も,2007年以降は非公開になったという批判もでています(運動記者クラブにのみ公開)。公開されていた会議が密室化するのはどうしてなのでしょうか。

 そのために,わたしたち国民はJSCの内部でどのような議論がなされているのか,まったくわからないままです。たとえば,新国立競技場の建造をめぐって,どのようなコンセプトのもとに,どのような条件を満たす施設が求められているのか,そして,その管理・運営はどのようにして行われるのか,わたしたちはなにも知ることができません。もっと言ってしまえば,これだけの批判の声があがっているにもかかわらず,JSCとしての公式見解を発表しようともしません。

 このままですと,わたしたちはなにも知ることもできないまま,この7月からは国立競技場の解体工事にとりかかると聞いています。そうして一年余ののちには新国立競技場の建造がはじまるとのことです。しかも,この新国立競技場は「風致地区・高度地区・用途制限・容積率制限・都市公園」という五つの法律に定められた「制限」に抵触する(柳沢厚氏による「神宮外苑と国立競技場を未来へわたす会」公開勉強会),といいます。それでも,設置者が国の機関である場合には許認可の手続きは不要とされていますので,その特権を全面に押し立てて「反対運動」を強行突破しようとお考えのようですね。

 でも,それだけは避けてください。将来に禍根を残すもとです。
 もし,どうしてもこの巨大な競技場が必要であるというのであれば,どうか「東京ベイ・ゾーン」に建造することを検討してみてください。更地に建造するのであれば,まだ一年余の時間的余裕があります。じっくり時間をかけて検討してみてください。

 まだまだ書いておきたいことは山ほどありますが,それでも限度というものがありますので,この辺りで終わりにしておきます。
 最後になりますが,どうか,国民の付託を裏切らないよう,最後の最後まで,大いに智恵を働かせてくださることを祈っています。
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