2014年4月24日木曜日

「中立って何」(斎藤美奈子さんの「本音のコラム」)。分かりやすく鋭い指摘。快調。

 4月23日の東京新聞「本音のコラム」で,斎藤美奈子さんが快調にとばしています。短い文章のなかに籠められた分かりやすく,鋭い指摘が光っています。いつのまにか,週に1回のこの人のコラムの登場を心待ちにするファンになっています。

 今回は「中立って何」というタイトルで,自治体が「政治的中立」を理由に市民の自由な活動に横やりを入れている実態を取り上げ,みごとな批評を展開しています。その書き出しは以下のようです。

 「二十一日のNHK午後七時のニュースが『”政治的中立への配慮”が相次ぐ』と題して講演会や展示会に対する自治体の対応を報じていた」と切り出しておいて,「施設の貸し出しを断った」自治体が2件,「内容の変更を求めた」が6件,「後援の申請を断った」が22件,という数字と同時に自治体名を列挙しています。今回の調査は121自治体だけなので,実際はもっと多いだろうとのことです。その内容は憲法11件,原発7件,ほかにTPPや介護,税と社会保障,など。

 このあとの美奈子節が心地よいので引いておきましょう。
 「この件が暗に発するメッセージは『政治的な意見を持ってはいかんよ』『政府に楯突く意見などもってのほか』という言論統制が平気でまかり通っている現実だろう。
 笑っちゃうのは,この種の『配慮』には熱心な自治体が,選挙になると急に投票を呼びかけるバカバカしさだ。『政治的に中立』で,どうやって誰かひとりに投票するのさ。このように建前と本音を使い分けるダブルスタンダードが人々の政治離れを助長する。投票率が低いと嘆く資格はないよ。」

 いつものことながら,読み終わったあとスカッとします。おみごととしか言いようがありません。

 同じような話題をとりあげた政治学者の山口二郎さんは,同じコラムで「忖度」ということばを用いて説明をしていました。的確な読みごたえのある内容だったのですが,やや重くて,理屈が先行している感じで説得力に欠けている印象でした。それに引き換え,斎藤美奈子さんの文体はひょうひょうとしていて,読みやすく,するりと読者のふところに飛び込んできます。

 どこでどのような力学が働いているのかは知る由もないですが,自治体が「政治的中立」を騙って,責任逃れをしつつ,しかもなんのことはない権力にすり寄っているだけの話です。これは「忖度」などというレベルではなくて,立派な「自発的隷従」です。言われる前に,率先して「贈与」(ギフト)を差し出し,権力に対して忠誠心を表明する。そうして,補助金や助成金のおこぼれを頂戴する,という算段なのでしょう。

 同じようなことを,なんのことはない,シンゾウ君がオバマ君にしようとしています。「集団的自衛権の行使」という「贈与」を差し出して,ご機嫌をうかがおうと思ったいたら,どうやらこれはシンゾウ君の計算違いで逆効果になるらしい・・・・。それどころかヤスクニ問題でクギを刺されそうな雰囲気です。

 「強い日本をとりもどす」のスローガンも国内向けには受けがいいのでしょうが,外からみれば,大戦前の日本に逆戻りというとんでもない所業にみえていることに,シンゾウ君が気づいていません。アメリカも中国もポツダム宣言をとおして「強い日本」をぶっつぶした同盟国なんだ,というもっとも基本的な事実を忘れています。

 おやおや,脱線してしまいました。「政治的中立」という隠れ蓑が,じつは,それ自体が立派なイデオロギーであるということすらわかっていない,そういう自治体の長がいかに多いことか。そして,それがじわじわと浸透しつつあるというのですから,恐ろしいことです。市民はますます萎縮していくしかありません。そこにポピュリズムが乗っかってきます。とんでもない「暴力」だらけの世の中へとまっしぐら。

 いつものことながら「困ったものです」。大火傷をするまでは気づかないのでしょうから。
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