2014年10月21日火曜日

トヨタ最高益,下請けは7割が減収。これがアベノミクスの実態。

 ついこの間の決算で,これまでの記録を塗り替える「最高益」を生みだしたトヨタ。新聞に大きく報道されました。それにしても,大きな赤字が出たり,かと思うと突然の最高益が出たり,わたしのような素人には大企業の決算が,どういうからくりになっているのかはよくわかりません。その素人の眼からみれば,親会社が赤字になれば,その下請けも減収になるというのはわかります。しかし,親会社が最高益を出したにもかかわらず,その下請け業者の7割が減収だという,この理屈は納得がいきません。

 しかも,この大企業の決算をみて,あるいは,統計上の数字だけをみて,景気は上向いている,と政府は嘯いています。実際には下請けの減収という歪みが生まれており,けして世の中は明るくなってはいません。その証拠に,消費も伸びなやんでいます。つまり,末端まで利益が配分されていない,という実態がここにも表出しているように思います。

 その根拠が下の図表です。とくとご覧ください。出典は『ひろばユニオン』(労働者学習センター刊,10月号,P.76.)です。さらに精確を期しておきますと,帝国データバンク「トヨタ自動車グループの下請企業実態調査」8月発表によるものです。

 
ほんの一握りの大企業の社員たちだけが高額所得者となり,ぜいたくな暮らしをしているのを,わたしのような人間の身近にもみることができます。しかも,その裏側では,同じ大企業に勤務する契約社員や派遣社員は低賃金のまま,それでいて正社員と同じ仕事を押しつけられている,というのが現実のようです。つまり,一割にも満たない人びとに利益が集中していて,その他の人たちはその犠牲にあえいでいる,という実態が浮き上がってきます。

 トヨタはわたしの出身県である愛知県にある会社ですので,多くの知人・友人やその関係者がいろいろのかたちでトヨタとは関係をもっています。端的に言っておけば,トップの社長から末端の下請業者にいたるまで,地縁・血縁でつながっています。そこから入ってくるこれまでの情報によれば,下請け業者はみんな泣かされている,というものばかりで,いい評判は聞いたことがありません。にもかかわらず,正社員は,若いときから羨ましいほどのいい暮らしをしています。

 自動車のボディの仕事に従事していたわたしの知人のひとりが言うには,ボディを組み立てるための膨大な部品を,それぞれ「1円」ずつ安くするためにあらゆる智恵を絞るのだ,とのこと。それに成功するだけで,膨大な利益を上げることができる,と。ですから,そのために下請け業者を競合させ,鎬を削らせるのだ,と。

 かくして,下請け業者はますます窮地に追い込まれ,親会社のトヨタのところにだけ利益が転がり込むことになる,というわけです。なんともはや,地獄の沙汰かと思われるようなすさまじいことが現実には行われているというのです。

 これはなにもトヨタだけの話ではありません。つい最近の新聞記事のなかにも,介護施設や幼稚園に膨大な余剰金がたまっているので,これを世の中のために活用すべきだ,というとんでもない話が載っていました。介護施設や幼稚園で働く人びとが,いかに低賃金のもとで重労働に耐えているかは,わたしのようなものでも知っています。なのに,この遊んでいる余剰金を,ほかのところに活用すべきだ,というのです。とんでもない話です。この余剰金こそ,低賃金によって生みだされた経営者による「ピンはね金」であり,「吸い上げ金」にほかなりません。そんなにあるのなら,低賃金に耐えて働いてきた人たちに一刻もはやく還元すべきです。そして,それよりなにより,雇用条件(労働条件)や賃金体系を改善すべきです。そして,労使ともに納得のいく労働環境を整えることでしょう。

 しかし,そんなことはどこ吹く風。これまで以上に経営者の権限を強化して,労働者の雇用を自由にできるよう規制を緩和して,ますます大企業優位の社会を構築しようとしています。これがアベノミクスの実態のひとつの大きな側面だとわたしは受け止めています。こんな不平等極まりないことが,アベノミクスの名のもとで,いま,粛々と行われようとしているのです。恐ろしいことです。世の中はますます富める者と貧しき者とに二極化していきます。しかも,その富める者はほんの一握りの人びとによって独占されていくことになります。

 アメリカでは,すでに,「1%の富める人間のために,99%の貧しき者が犠牲になっている」,この構造を打破すべきだという運動が展開しています。日本にも遠からず,こうした状況がやってくることは必定というべきでしょう。アベノミクスならぬ「アメノミクス」の到来。その引き金が「TPP」。人間の命よりも金の方が大事という「亡者」たちが世界を席巻しています。困ったものです。いつになったら目覚めることか・・・・と。「待つ,しかないか」(木田元・竹内敏晴)と。
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