2014年10月1日水曜日

「股関節を緩める」は「股間周辺の筋肉を緩める」ということです。李自力老師語録・その51。

 李老師は,わたしたちが稽古をはじめた当初から,何十回,何百回と「股関節を緩める」ということばを繰り返して,指導してくださいました。が,この「股関節を緩める」ということの意味がわかりませんでした。股関節は,関節であって,これを緩めるということがどういうことなのか,どうしてもわたしには理解不能でした。

 股関節まわりの筋肉を弛緩させることなのだろうなぁ,という想像はできます。しかし,からだでそれを確認することができません。つまり,頭で考えたことをからだに命令することができないのです。ですから,仕方がないので,見よう見まねでそれらしきことをやっているにすぎません。

 どうしても納得がいきませんので,李老師の動作をじっと凝視して,なんとかしてそのからくりを解きあかそうと努力します。しかし,なにがどのようになっているのかがわかりません。しかし,繰り返し繰り返しよくよく凝視して観察をつづけていますと,なるほど,やわらかくするりと腰が回転していくのがわかります。しかも,その瞬間にほんのわずかに「沈」していることもわかってきます。

 しかし,自分でやってみると,そうは簡単にはできません。これかな,あれかな,という具合に身体感覚が定まりません。闇のなかでの試行錯誤がつづきます。

 そこで,今日(10月1日)は思い切って質問をしてみました。「股関節に力を入れて踏ん張る感覚はなんとなくわかります。しかし,股関節を緩めるとなると,どうもそのつかみどころがわかりません」と。すると意外なことばが返ってきました。「最近,気がついたのですが,股間周辺のこまかな筋肉を緩める,と言った方が適切だと思います」と。

 その瞬間,わたしの頭のなかに電撃が走りました。あっ,そういうことなのか,と。「尾てい骨を巻き込むようにして脚を前に送り出します」というときの,あの「尾てい骨を巻き込む」ときには,明らかに肛門の筋肉を締め,さらにその前方の股間の筋肉にも力が加わることによって,一連の動作が可能となります。ならば,その逆をやればいいのだ,と。

 そこで,まずは開脚立位のまま肛門の筋肉を締めたり,股間の筋肉を緊張させたりしてみます。これはすぐにできます。そして,緊張した筋肉を弛緩させることも,簡単にできます。しかし,弛緩させた筋肉をさらに弛緩させる方法がわからない。ここにひとつの大きな壁があります。

 そこで稽古が終わってから,さらに,李老師に質問をしてみます。すると,こんどもまた意外なことばが返ってきました。「そこからさきは自分で創意工夫をしながら発見するのです。からだの声に耳を傾けながら稽古をしていると,あるとき突然,その声を聞くことができます。その声にしたがうことです。すると,それまでに経験したことのない快感がからだの奥底から湧きだしてきます」と。このことばに再び,わたしの全身に電撃が走ります。「うーん」と唸りながら,そういう世界がこのさきに待っているのか,と。

 この「からだの声に耳を傾ける」ということについては,また,別の機会に書いてみたいと思います。李老師は,いまも,新しいからだの発見がつづいていて,いまもなお,からだは進化をつづけていると仰います。そうか,ようやくにしてわたしたちのからだもその世界に接近してきているのか,と。これは久しぶりの朗報でもあります。

 ならば,少し気合を入れて自主稽古に励んでみようか,と。勇気百倍。歓喜千倍。

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