2014年10月12日日曜日

「東京五輪2020」に埋め込まれた石原慎太郎の陰謀。恐るべき東京大改造計画。

 少しこころある人ならば,「オリンピックは平和の祭典である」,とは思っていない。それどころか,「平和の祭典」を標榜しつつ,その裏でなにが行われてきたか,をうすうす感じ取ってきたはずであるし,実際にも,その事実をいくつも挙げることができる。オリンピックを糾弾する本も何冊か刊行されている(『近代スポーツのミッションは終わったか』,西谷,今福,稲垣共著,平凡社,もそのうちの一冊)。

 にもかかわらず,世間には「オリンピックは平和の祭典である」と信じて疑わない人が圧倒的多数を占めている。その圧倒的多数に歩調を合わせるかのように,主要メディアもまたオリンピックを「平和の祭典」として持ち上げ,その神話を増幅させ,称賛し,新たな神話の「捏造」にやっきになっている。この姿勢は,いまをときめくどこぞの「誤報」騒ぎなどよりもはるかに罪が深い。なぜなら,確信犯であるからだ。いくつもの「陰謀」に関する事実を知りつつ,それらを隠蔽し,逆に美談を捏造し,世の人びとを相手に嘯く。その方が売り上げが伸びるからだ。完全なる資本の僕(しもべ)。それがまたポピュリズムの温床ともなっているから始末が悪い。

 だから,これから書こうとしていることにも,相当の決断と勇気が必要だ。しかし,スポーツの現代史を読み解くためのひとつの手法として,あるいは,具体例として,あえて挑戦してみたい。

 かねてから,つまりは「東京五輪2020」招致運動を開始した段階から,精確には「2016」招致に名乗りを挙げたときから,なにか変だ,と直感していた。そのポイントは,晴海埠頭に選手村を設置し,そこを中心にした半径「8㎞圏内」でオリンピックを開催する,いわゆる「コンパクトなオリンピックの開催」というスローガンだ。一見したところ,文句のつけようのないみごとなスローガンである。しかし,よくよくその計画案をみていくと,「8㎞圏外」になるので駒沢のオリンピック公園の施設は使わない,という。そして,神宮外苑の国立競技場はぎりぎり「8㎞圏内」なので,これを建て替えて世界に誇ることのできる新国立競技場を建造する,というのである。

 いったい「8㎞圏内」という発想はどこからでてきたのか。その根拠はなにか。「コンパクト」にというスローガンはわかる。しかし,その線引きとなる「8㎞」はなにを意味しているのか,それがわからない。そして,8㎞からほんのわずかしか外れない駒沢オリンピック公園の施設を使用しない,という根拠もわからない。東京五輪1964の遺産として,いまも,盛んに活用されていて,年間をとおしてほぼ100%に近い利用率を維持しているという。人気のスポットである。この歴史的遺産を,さらに修復して,もっと活用しやすい施設にすることだってできるのに・・・・。

 じつは,ここに大きな陰謀が隠されているということが昨日(10月11日)わかった。

 第2回 提言討論会「みんなで考えよう 東京オリンピック」という会(日時:2014年10月11日 14:30~18:00。会場:文京シビックセンター26F スカイホール。主催:2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会・通称:オリパラ都民の会)での,岩見良太郎(埼玉大学名誉教授)さんの「問題提起」を聞いていたときのことである。

 岩見良太郎さんは膨大な資料を用意され,パワー・ポイントを使いながら,わずか40分の持ち時間のなかで,こんなにも・・・と感動するほどの密度の濃い「問題提起」をなさった。その詳細については,また,別の機会に紹介することにして,ここでは今日のブログの根幹にかかわる部分だけを取り出してみることにする。

 岩見さんが結論として提起された内容のポイントは以下のとおりである。もちろん,ここにはわたしの主観的な受け止め方も加味されていることもお断りしておく。

 「2016」招致のための計画書のなかに,石原慎太郎知事(当時)の陰謀がすべて埋め込まれていた。それは東京大改造計画。すなわち,世界に誇ることのできる「世界最強の都市,大東京」をつくること。そのために,石原慎太郎は,「東京発グローバル・イノベーション特区」を設定し,「世界に開かれたグローバル・ビジネス都市に東京を大改造」しようとしていた(「国家戦略特区東京都提案書」)。

 以下は,岩見さんの資料より。
 「国家戦略特区」は,「日本再興戦略」が述べているように,「大都市の国際競争力を高めるため,先行的に・・・・大胆な規制改革等を実施する」役割を担うものである。これは,「国家戦略特区」を突破口に,国のかたちを変えていくことをねらったものである。

 石原慎太郎はここに目をつけ,東京五輪招致をきっかけにして,「国家戦略特区」をわがものとし,東京大改造計画を立てたのだ,と岩見さん。もうひとつの根拠は,だれも買い手がつかずもてあましていた東京都所有の「遊休地」(悪評高き埋め立て地)に五輪施設を集中的に建造し,同時に高級マンションも建造して,長年の懸案を一気に解消しよう,と企んでいた,と。

 ここまで岩見さんのお話を聞いたときに,「8㎞圏内」の根拠がここにあった,と長年の疑問が一気に瓦解した。そうか,そういうことであったか,と。と同時に,新国立競技場のあのバカでかいデザインが採択された背景も透けてみえてきた。世界最強の都市・東京の新しいシンボルのひとつにしたかったのだ・・・と。その力学が,安藤忠雄を動かしたのか,と納得。

 石原慎太郎にとっては,「東京五輪」招致はまことに都合のいい隠れ蓑として使える,ただ,それだけの話なのである。「平和の祭典」という「隠れ蓑」。だから,「2016」招致に失敗してもあきらめるわけにはいかず,「2020」招致に全力投球をしたのだ。そのためには,膨大な資金が投入されたらしい,とこれはもっぱらの噂。

 「2020」招致計画は「2016」招致計画の焼き直しである。その根幹はほとんど変わってはいない。比較してみればすぐにわかる。

 この「8㎞圏内」という石原が仕掛けた陰謀を取り払ってしまえば,東京都にある既存の競技施設だけで,ほとんど無駄な金を使うこともなくオリンピック開催は可能なのである。東京都が「見直し」をはじめた根拠はここにある。言ってしまえば,「8㎞圏内」という呪縛(大原則崩し)との闘いである。舛添知事がどこまでその力量を発揮することができるか,みどころでもある。

 以上が,石原慎太郎が埋め込んだ「陰謀」の概略である。
 それを提示してくださった岩見良太郎さんに感謝。
 ここを起点にして,もう少し,東京五輪2020に埋め込まれた「陰謀」の数々を明らかにしていきたい,と考えている。とりあえず,今日のところはここまで。
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