2015年3月21日土曜日

照ノ富士の快挙。白鵬の連勝を止める。

 照ノ富士が念願の初の金星を挙げた。しかも,白鵬の34回目の優勝決定に待ったをかけ,連勝記録にもストップをかけた。相撲史に残る大一番での快挙である。

 それも,立ち合いから攻めつづける完璧な相撲で。文句無しの圧勝である。大横綱を相手にして,眼を見張らせるほどの強さをみせつけた。

 立ち合い,臆することなく白鵬の左頬を張ってでた。そして,素早く得意の左上手をとった。それも,これ以上にいいところはないという絶好の位置の上手を引いた。白鵬も右を差して,右下手を引いた。しかし,照ノ富士の左上手の位置がいいために,白鵬の右下手が半分殺されている。照ノ富士は右でおっつけながら前にでる。白鵬はあっという間に土俵際に追い込まれる。苦し紛れに右から下手投げを打って,こらえるのが精一杯。土俵中央で,機をみて照ノ富士は白鵬の胸に頭をつけ,右腕を差し込む。この攻防で勝負がついた。照ノ富士が右の差し手を返して前にでると,白鵬はスタミナが切れたかのように力を抜き,勝負をあきらめた。土俵際の攻防もなく,あっさりと寄り切られ,土俵下に転落。

 同じ,負けるにしても白鵬にいいところはひとつもなかった。完敗である。その分,照ノ富士の相撲が光った。

 張り差し,左上手を引く,頭を下げる,右をこじ入れる,前にでる,どこひとつとしてセオリーからはずれることなく攻め続けた。これが勝因。照ノ富士がこの相撲を身につけたら,あっという間に大関・横綱に駆け上るだろう。

 性格もよさそうだ。勝負前の土俵上でのふてぶてしさもいい。まさに勝負師として逞しいかぎりだ。どんな相手にも臆するところがない。正々堂々と闘志を剥き出しにする。勝って勝ち名乗りをあげ,花道を引き上げてくるときの,まるでいたずらっこのような童心丸出しの笑顔がいい。

 逸ノ城の活躍が,照ノ富士の闘志に火を点けたようだ。相撲留学をしてきた高校の先輩として,後輩にあっさりとさきを越されてしまったのがきっかけか。先場所から相撲が変わりはじめていた。この力士は面白くなる,と多くの相撲通は眼をつけたに違いない。そして,今場所の「大化け」である。しかし,この「大化け」はほんものである。少なくとも,今日の大一番をみるかぎり。

 さて,来場所からの楽しみは,逸ノ城との大関争いになる。この二人が,がっぷり右四つに組み合っての力相撲を展開し,水入りになるような相撲を期待したい。それを凌ぎ切った方がさきに大関に上がるだろう。

 新しい大相撲の幕が切って落とされた。この二人に待ったをかける力士の登場も期待したい。

 まずは,照ノ富士の快挙をこころからよろこびたい。おめでとう! 照ノ富士。残り二日の相撲も内容のある展開を期待している。

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