2015年4月10日金曜日

『世界』5月号が面白い。翁長雄志×寺島実郎対談,小畑千代論,槇文彦談話,など。

 まっとうな月刊誌が少なくなってしまった現在(いま),岩波の『世界』が頑張っている。いま,まさに,「世界」を視野に入れてものごとを考えることのできる,あらゆる分野の識者にアンテナを張り,そのときどきの時流に合わせた発言を求めている。その感度が抜群といっていい。わたしなどは大いに啓発されることが多い。いまや,毎月の楽しみになっている。

 
今月も,例によって清宮編集長の「編集後記」から読み始める。理由はかんたん。面白いからだ。しかも,たった1ページのなかに,じつに的確に当該号の問題点を,ピンポイントで指摘してくれているからだ。嘘だとおもう人は,本屋さんで立ち読みでいい,確認してみていただきたい。いつも感心するのは,過激にとんがるわけでもなく,ソフトに,そして冷静に,それでいて鋭く問題の所在に光を当てていく,その情緒と炯眼とバランス感覚に教えられることが多い。

 「沖縄の基地問題の解決は,日本の国がまさしく真の意味でアジアのリーダー,世界のリーダーにもなり得る可能性を開く突破口になるはずです」(翁長氏)。明快なビジョンをもち「全体解」に向けて一つひとつ布石を打っていく,その静かだが力強い意気込みに圧倒された。

 清宮編集長はこのように書く。こんな風に書かれてしまったら,もう,そこから読むしかないわたし。読んでみて驚いた。これまでにえがかれてきたわたしなりの「翁長像」が一変してしまった。どちらかといえば足どりが重く,自己主張もあまり鮮明にしないまま,知事着任後の時間が無為のまま過ぎてしまい,いささか焦れていたわたし。でも,ようやく,沖縄防衛局に海上作業を停止するよう指示した(23日)ことによって,事態が動きはじめ,よし,これでいいのだ,とひとりごとをつぶやいたわたし。

 寺島実郎さんという絶好の対談者をえて,水を得た魚のように翁長節が流れはじめる。そうか,そんなことまで考えているのだ,とただ,ただ,感心してしまった。いやはやなまはんかな知事ではないぞ,と。「県益と国益は一致するはずだ。そのためにも,辺野古新基地は絶対に作らせてはならない」「沖縄はアジアの成長と連動する新たな経済圏のハブになりつつある」などなど,翁長知事の発言はじつに力強い。

 これを読むと,沖縄がこれまでとは違うまったく新しいステージに,着実に歩みはじめていることがみえてくる。少なくとも展望が開けている。そこに明るい光明をみる。沖縄県民が一つになる原動力がほのかに見えてくる。これからの動向が楽しみだ。それに比べると,政府のやっていることはまことに姑息で,自閉的だ。これまでの諸矛盾が一気に露呈されつつある。メディアはもっともっとオキナワに光を。その真実の姿を描き出すことに全力をそそいでほしい。

 このほかにも,面白い読み物が満載である。たとえば,以下のとおり。
 新連載「女子プロレスラー・小畑千代」闘う女の戦後史・第1回。秋山訓子。
 連載「建築から都市を,都市から建築を考える・第4回・メトロポリス東京の過去と未来。槇文彦・聞き手:松隈洋。
 ※東京五輪とメトロポリス東京との関係についても,鋭い指摘をしていて,刺激的。いずれ,このブログでも取り上げてみたいとおもう。上の「小畑千代」論も。

 このようにして挙げていくと際限がなくなってしまうので,このあたりで留め置くことにする。あとは,ぜひ,『世界』5月号を手にとってご確認のほどを。書店に並ぶのは数日後になるが・・・。
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