2016年1月4日月曜日

あっぱれ!青学院大,箱根駅伝,完璧な2連覇。

 一区で首位に立ったタスキは最後までトップの座をゆずることはなかった。それどころか,一人ひとりがその役割を果たし,着実に二位との差を拡げていく。完璧と言ってよい2連覇を達成。感動しました。

 勝者の表情はいいものです。晴れやかな笑顔だけではなく,なにかをなし遂げた達成感のようなものが表出していて,それがじかに伝わってきて心地よい。しかも,冷静で,その奥に秘められた賢さも見え隠れしている。なのに,とても無邪気。天真爛漫。選手全員が並んでインタヴューを受けている間も,他の選手の発言や,監督の発言に,じつに素直に反応し,子どものような笑顔をみせ,頷いている。高感度100%。

 やはり,人間として立派。自律しているなぁ,としみじみおもいました。選手である以前に,まずはひとりの人間として自律(自立)しているなぁ,と。だからこそ,自分が任された区間の走りも,きちんと自分のペースを守り,その日の調子をみとどけた上で,徐々にペースを上げていくという理想的な走りをまっとうすることができる。もちろん,監督からの指示を背中に受けながら,右手を挙げて応答し,大きく顔をゆがめるような無理な走りはしない。冷静沈着。それでいてこころの奥底に秘めた闘志を燃やす。

 タスキの受け渡しもみごと。きちんと,両手でタスキを長く横に伸ばして,つぎの選手が受けとりやすくする基本を守っている。しかも,必ず待っている選手の右側に走り込み,右手で受けとれるように配慮されている。これも基本どおり。こんなことはどのチームも練習しているはずだ。しかし,いざ,本番となるとなかなか実行はできない。なぜ?

 オーバー・ペースで疲労困憊してしまうと,タスキをわたすことすら定かではなくなってしまう。なかには意識朦朧としてしまって,われを見失ってしまう選手もいる。タスキをわたすのが精一杯で,わたしたとたんにその場に倒れ込んでしまう選手も少なくない。だから,選手の右側も左側もかまわず突っ込んでいき,片手でタスキを渡したりする選手もいる。

 しかし,青山学院大の選手たちは,みごとにこの基本を実行している。というより,実行できている。なぜか?それは,オーバー・ペースで走ってしまうという選手がひとりもいない,ということの証明である。それほどにきちんと自らを律して,最高のペースを守り,自己ベストを叩き出していくことができる能力を身につけているということのなによりの証だ。

 アンカーの「としのり」選手にいたっては,ウィニング・ロードだったので,最後はペースを少しだけ落とした,とまで発言している。この冷静さには圧倒されてしまった。ゴールを目の前にしたら,嬉しくて舞い上がるはずなのに,レースが終わるまで,つまり,走りきるまで,きちんと自分と対話している。だから,ゴールしても余力があるので,仲間が横一列に並んで待っているのを見届けると,そこに向かってスピードを挙げて駆け込んで行きました。このゴール後の「走り」が,なぜか,とても印象に残りました。そして,胴上げ。

 レース後の記者会見もみごとでした。選手一人ひとりが,それぞれに固有のことばをもっていて,自分の思いをしっかりと述べていました。それもおざなりのことばではなく,そのとき,その瞬間の本人のことばがするりとでてくる。おもわず耳を傾けてしまう。借りものの,決まり文句のようなことばはひとつもない。全部,自分のことばだ。それも,その瞬間にしかでてこない,ありのままのことばだ。だからだろう,聞いていて心地よい。

 こんなところからも,日ごろ,どんな練習をしているのか,ということが透けて見えてきます。本番さながらの,気持ちの入った,密度の濃い練習を,日々重ねていることは間違いありません。言ってみれば,毎日が本番。だから,自分の能力の限界と可能性との境界領域を知り尽くしている。チームのメンバー全員が,こういう取組をしているとしたら,空恐ろしい。

 3年生以下の選手たちは,また,来年に向かってスタートだ。しかも,「3連覇」という重圧がかかってくる。この重圧をいかに克服していくか,また,新たな挑戦のはじまりだ。こんどこそ「俺の出番だ」と満を持している選手たちが目白押しだ,と聞いています。こうして,チーム内の切磋琢磨がはじまります。また,一段とたくましいチームが育っていく。たとえ選手になれなくても,立派な人間が育っていく。

 来年の,また,新たなるドラマを楽しみにしたい。
 いい駅伝でした。青山学院大学駅伝チーム(裏方さんも含めて)にこころからエールを送りたいとおもいます。ありがとう。こころの底から感謝しています。

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