2015年5月28日木曜日

「背伸びの運動やるまいかん」。「方言ラジオ体操」だって? そんなのもあるんだ!とびっくり。

 老人になると世の中に疎くなる,とむかしから言われています。わたしも,とうのむかしに老人の仲間入りをしています。ですから,世の中の常識からは遠のくばかり。もっと,若い人たちとの交流を大事にし,確保しておかないといけない,と反省。

 昨日のブログに,ラジオ体操のことを書きましたら,早速に,わたしの数少ない若い友人のSさんから「方言ラジオ体操」というのがあるのを知ってますか,というメールが入りました。親切に,方言ラジオ体操に関するURLをいくつも書き添えてくださったので,それを端から開いて,一生懸命に勉強しました。

 いやはや,ラジオ体操も,いまや,そこまできたかと正直,驚いています。
 Sさんから教えてもらった情報によりますと,以下のとおりです。

 わたしの出身地である愛知県豊橋市が「豊橋弁ラジオ体操」のスタジオ録音を5月21日に終えて,6月1日から市役所本庁舎内で放送する予定。さらに,これをCDにして市内の学校や福祉施設などに送る,という。

 このCDをなんとか手に入れて,内容をチェックしてみたいとおもっています。その上で,論評を加えてみたい・・・と。でも,このニュース・ソースであるYOMIURI ONLINE(5月22日)によれば以下のようなアレンジがされたということです。
 腕をまわします⇨腕をまわすまい
 ねじる運動⇨ねじりんよー
 といった具合です。その他にも,「調子いいじゃん」「目がまわりそうだら」「背伸びの運動やるまいかん」,など。

 なんともはや,くすぐったくて,想像するだけで笑ってしまいます。これを聞きながらラジオ体操をする豊橋市の市役所の職員や学校の子どもたちはどんな気分でやるんだろうか,とわたしには想像できません。ぜひ,現場で拝見したいものです。

 このご当地「ラジオ体操」なるものは,すでに,あちこちで行われているという情報もSさんから教えてもらいました。たとえば,震災を機に,宮城県石巻市で始められ,つづいて宮崎県都城市でもやっているとのことです。石巻市は「おらほのラジオ体操」,都城市は「みやこんじょ弁ラジオ体操第一」。いずれも,YouTubeでみることができます。

 また,毎日新聞・5月13日配信のネット情報によれば,「秋田弁ラジオ体操」なるものを大館市のまちおこし団体「大館市まるごと体験推進協議会」が作成。5月30日に,札幌市の中学生に披露する,とのこと。こちらは観光資源のひとつとして開発したものであることがわかります。

 Sさん情報によれば,沖縄バージョンもあるとのこと。「うちなーぐち朝のラジオ体操」(2012年3月7日配信,YouTube・Camploo Okinawaさんのチャンネル)がそれ。早速,動画をみてみましたら,びっくり仰天でした。なぜなら,「うちなーぐち」はともかくとして,ラジオ体操そのものが本土のそれとは違うのです。全部ではないですが,かなりの部分が,本土のわたしたちが馴染んでいるラジオ体操とは違います。わたしの目からは,沖縄風に「進化」しているようにみえます。手足の所作が体操であると同時に舞踊的なのです。

 これは意図的にアレンジした結果なのか,それとも自然にそのように変化してしまったのか,わたしの感触としては後者のような気がします。いかにも沖縄的なのです。言ってしまえば,空手の要素と舞踊の要素がミックスされているようにみえるのです。それらの要素がおのずからラジオ体操のなかにしみこんでしまった,というようにみえるのです。そして,この方がやりやすいのではないか,とおもいます。からだに合っているというか,沖縄のリズムに合っているというか,ともかくも沖縄の雰囲気がつたわってくるのです。

このように考えてきますと,こちらは,文化複合の典型的なサンプルになりそうですので,ちょっと真剣に考えてみたいとおもいます。とりあえずは,実際に,現場に立って,この目で確かめてみたいとおもいます。ラジオ体操という味もそっけもない体操が,島から島へと渡っていくうちに文化変容を起こすのはなぜか,文化の伝承とはどういうことなのか,を考える上での貴重なサンプルになることは間違いありません。

 この問題についての思考の結果については,また,いつか,このブログで書いてみたいとおもいます。とりあえずは,Sさんから教えてもらった「方言ラジオ体操」なるものの紹介まで。

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