2015年6月3日水曜日

いま一度,憲法第9条・ポツダム宣言・カイロ宣言をしっかりと頭に刻め。そして,アベの嘘を見抜け。

 このところの連日の国会での「戦争法案」をめぐる議論が,想像を絶するお粗末さに,多くの国民がうんざりしていることは間違いないだろう。自民党支持者ですら今国会で「戦争法案」を通すべきでないとする人が過半数を超えている。「丁寧に説明されていない」とする人は8割を超えている。それでもアベ政権は民意を無視してなにがなんでも通過させようと必死になっている。もはや,まともな人間とはとても思えない。それどころか,すでに狂人の領域に入っている,としかいいようがない。

 第一,野党のよく勉強してきた議員による質問に対して,アベを筆頭に各大臣も,官僚も,誰一人としてまともには応答していない。いや,できないのだ。だから,全部,空回りの,はぐらかしの答弁に終始する。そして,自分たちの決まり文句を繰り返すばかり。勉強のレベルが違いすぎるほどに,アベも各閣僚も不勉強なのだ。あるいは,頭が悪いのだ。

 とおもっていたら,じつは,そうではないらしい。なぜなら,勉強すればするほど,自分たちの提出している法案がでたらめで,矛盾だらけで,無理難題を押しつけていることがわかってきたからだ。だから,ここは「のらりくらり」と交わして,すり抜ける手にでたのだ。だから,バカ丸出しの,矛盾だらけの答弁を平然とやるしか方法はないのだ。

 アベが「ポツダム宣言」を詳らかには「読んでいない」と答弁したのも,「ポツダム宣言」についての議論をしたくなかったからではないのか。それは,予期された意図的・計画的な戦略だったのではないか,とわたしはみている。一国の総理大臣が「ポツダム宣言」を読んでいないはずがない。なぜなら,全文を読むにしても,全部で13条,5分もあれば読める,そういう代物だ。しかも,むつかしい議論はなにもない。単純明快な取り決めだけである。

 たとえば,そのポイントとなる第7条・第8条・第9条を取り出してみよう。

 第7条 右ノ如キ新秩序ガ建設セラレ且日本国ノ戦争遂行能力ガ破砕セラレタルコトノ確証アルニ至ル迄ハ聯合国ノ指定スベキ日本国領域内ノ諸地点ハ吾等ノココニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スル為占領セラルベシ
 第8条 「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州,北海道,九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島に局限セラルベシ
 第9条 日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭に復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルベシ

 これがいわゆる「無条件降伏」の中核をなす部分である。しかも,この宣言はアメリカ・中国・英国の3カ国によってなされ,ソ連はそののちに加わった。つまり,中国が聯合国の主要な一員であったことを,わたしたちは忘れてはならない。

 しかも,改めて指摘するまでもなく,このポツダム宣言は「カイロ宣言」(日本国に関する米・中・英三国宣言・1943年12月1日)を前提にしてまとめられたものである。そこには,1914年の第一次世界大戦後に日本国が中国から奪った領土はすべて中国に返せ,と謳われている。この前提に立てば,尖閣諸島は中国のものであり,少なくとも「係争地」であることは間違いない。この事実を無視して,日本国は勝手に日本の固有の領土だ,と嘯いているにすぎない。アベはこのだまし絵をみごとに利用して「危機的情況」を生みだしているにすぎない。

 国会の場での議論で,ここに触れられると中国による脅威論が根底からくずれてしまい,「戦争法案」を提出する大きな根拠のひとつがなくなってしまう。だから,アベは「知らない」で押し通してしまった,とわたしは推理する。

 中国の言うように,尖閣諸島を「棚上げ」にもどせば,とりあえずは「係争地」として封印しておくことができる。そうすれば,日中の関係はもっともっとよくなっていく。事実,尖閣諸島を日本固有の領土であると宣言する前までは,この地での日中共同開発の計画も進んでいたではないか。中国が「歴史に学べ」と主張する根拠はこれだ。それに対して日本国は尖閣諸島をめぐる「領土問題は存在しない」という一方的な主張で切り抜けようと必死だ。中国が国際司法裁判所で決着をつけようという提案に対して,日本国はそんな必要はない,と逃げ回っているのが実態だ。

 最後に,日本国憲法第9条の条文を挙げておく。これをとくと眺めてみれば,素人でも,アベの提出している「戦争法案」が憲法違反であることは明々白々である。どうしてもやりたいのであれば,まずは,憲法を改めてから「戦争法案」にとりかかるべきではないか。つまり,順序が逆なのだ。この憲法第9条があるかぎり,「戦争法案」はいかなる理由があろうとも,国会を通過させてはならない。それは,日本の政治の堕落であり,日本国民の恥だ。

 日本国憲法第9条
 1.日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。
 2.前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。

 こうした経緯をしっかりと頭に入れた上で,いま国会で行われている茶番にも等しい「議論」を監視していくことが,いまのわたしたちにとっての喫緊の課題なのである。 
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