2012年12月18日火曜日

早くも「世論操作」をはじめた『読売新聞』。来夏の参院選も「自公過半数超え」と報道。推計という名の騙り。

 えっ? もう,つぎの選挙運動? それも新聞社が? 眼を疑いたくなるようなニュースが「@niftyニュース」で流れている。びっくり仰天である。それも「参院選でも自公が過半数」という衝撃的な見出しで。読売新聞ならやりかねないし,別に驚くほどのことでもない,とも思うもうひとりのわたしがいるが,それにしても・・・・。

 しかも,もうひとりの醒めたわたしに言わせれば,単なる推計をもとにした読売新聞的結論にすぎない。もっと言ってしまえば,一種の騙りにも等しい。早くも,それらしき風評を流して,世論を誘導する,いつものやり口を繰り出しただけの,まことに無責任な報道の仕方にすぎない。が,それにしても,腹が立つ。なぜなら,この方法で,こんどの衆院選挙はまんまと誘導されてしまった部分が少なくないからだ。ごくふつうの日本人であれば,新聞に書いてあることはそのままほとんど信用してしまう。とりわけ,高齢者には多い。それを承知の上で,こうした推計結果とか,世論調査という名目で,自分たちにつごうのいい結論だけを,それとなく流しつづける。

 だから,腹が立つ。

 ネットに配信されたのは今日の午前9時09分。誤解を招くといけないので,全文を紹介しておくと以下のとおり。

 16日に行われた衆院選の各党の得票をもとに,来年夏に行われる参院選の行方を読売新聞社が推計したところ,自民,公明両党が参院でも過半数を占め,与党が少数の「ねじれ国会」が解消するという結果が出た。

 議席の推計は,各党が衆院比例選で獲得した票を,11月に成立した改正公職選挙法に基づき「4増4減」した選挙区選と比例選に当てはめた。選挙区選では,公明党が改選定数2と1の選挙区で自民党に協力することを前提として,改選定数2以上の選挙区では,各党の得票をドント式で配分し,複数の立候補者が出た場合を想定した。

 推計結果によると,野党各党が個別に候補を擁立した場合,自民党が31ある「1人区」をすべて制するなど圧勝し,14議席の比例選を含めて計62議席を獲得する。公明党も7議席を得る計算だ。仮に来年4月の参院山口補欠選挙で議席を獲得できなくても,自公両党は非改選議席と合わせ,参院(定数242)の過半数122を5議席上回り,ねじれ国会は解消する。野党では,23議席を得る日本維新の会が改選第2党となる。

 以上がネットを流れている文面である。
 まるで,二匹目のドジョウが目の前に待っているかのような書きぶりだ。しかも,こんどの選挙と同じような選挙が,来年夏にも展開されるとすれば,という留保つきの話だ。こんどのような選挙結果を,いったいだれが想定しただろうか。希望的観測という意図が丸見えながら,世論調査の結果として,自民圧勝とメディアは繰り返し報じていた。逆に,選挙結果をみて一番驚いたのは自民党だったのではないか。あまりの圧勝ぶりに驚いてしまったのか,安倍君のあの硬直した表情はなにを意味していたのか。にもかかわらず,読売新聞社は来年夏にも同じことが再現されるという前提に立ち,勝手な「推計」をもとにした結論を,さもありうるかのように書き立てる。この無責任ぶりに,わたしは腹が立つ。

 今回の選挙が,もっとも大事な論点をはぐらかし,民意を煽る上でつごうのいい論点にすり替えた,詐欺にも等しいものだったことはだれの眼にも明らかではないか。それが,もう一度,そのまま再現されると考える読売新聞社の考え方のお粗末さ。もちろん,そんなことは承知の上で,何回も繰り返し同じ情報を流すことが世論操作の上では有利だ,と考える確信犯なのだ。だから,なおさら質が悪い。

 こんどの選挙が,いかに異常で,異例の選挙であったかということは,これからしばらくの間,大きな話題となってメディアを駆けめぐるだろう。今朝の新聞にも,選挙の得票率をはじめとする詳しい選挙行動の分析が満載である。これから,もっと本格的な論説が,たとえば『世界』などで展開されることだろう。

 わたしたちは,安っぽい騙りのようなメディア情報にだまされていてはいけない。これからしばらくは要注意だ。各メディアがどのような戦略で,つぎの選挙に向けて,情報を「操作」しつづけるか,しっかりと見極めていかなくてはならない。

 恐ろしい世の中になったものだ。

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